飯田コージ
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。
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香港競馬通信
9月17日
香港競馬の年度表彰には、チャンピオングリフィンというものもあります。
グリフィンとは、ギリシャ神話に出てくるワシの頭と翼を持ち、胴体がライオンの怪物のことですが、もうひとつの意味として西洋から東洋に来た新参者という意味もあります。
そこから転じて、香港へ転入してきた3歳馬のチャンピオンのことをチャンピオングリフィンと呼んでいるのです。
南半球と同じスケジュールで動いている香港競馬では、北半球のヨーロッパやアメリカ、あるいは日本とシーズンが半年ずれています。
そのズレを突いて、欧米でクラシックを戦った馬が翌年の4歳2月からの香港のクラシックシリーズに向けて香港に転入するわけです。
早めに欧米の競馬に見切りをつけたり調教セールで買われた馬は、3歳の春前からの転入もあり得ますから、そうすると香港で何戦もし、複数の勝ち鞍をあげることになります。
そうした馬がチャンピオングリフィンに選ばれるわけです。

昨シーズン(2016/17)のチャンピオングリフィンに輝いたには、ジョン・サイズ厩舎のプルミエール。
この馬は珍しく、香港移籍前にどこかで走ったわけではなく、香港がキャリアデビューでもあるという馬。
ハッピーヴァレーの芝1000mを3勝してタイトルをつかみました。

そして迎えた今シーズン。
初戦は昨日、沙田芝1000mのクラス2、チャイニーズレクリエーションクラブチャレンジカップでした。
ハッピーヴァレーでは勝てても、沙田の直線1000mではどうしても勝てなかったプルミエール。
しかし、香港で競走馬として大成するためには、大レースが行われるこの沙田で良績を残さなくてはなりません。
まさに今後の登竜門でしたが、ひと夏を越えて成長した若駒は早めに抜け出すと後続を見事に押さえきってゴール。
クラス2の一線級、アーキパス、カントリーメロディといったところを1馬身4分の1抑え、このクラスでも戦えることを証明しました。
騎乗したホアオ・モレイラ騎手は、
「沙田でもやれることを証明できて本当によかった。ハッピーヴァレーではいい走りを見せていたんだけど、どうも沙田の直線1000mじゃ窮屈そうに走っていたからね。でも、今日は乗ってみて馬が違ってるなと感じたんだ。トライアルでも感じたんだけど、馬がちょっと成長しているなと。一段上に行った感じがするよ」
と、馬の成長に手応えを感じています。
次にレースを振り返りますが、一筋縄ではいかなかったようです。
「スタートの一歩目はひどいもんだった。ちょっとよれて、その拍子に内の馬にぶつかりそうになった。バランスも崩したしね。そこから建て直して、先手を取りに行ったんだ。それでも、最後まで走り抜けられるとは思ったよ。そこからは力強く走ってくれたからね」

今回の勝利が、管理するジョン・サイズ師にとっては今シーズン初勝利になりました。
去年に続いて10回目のチャンピオントレーナーを目指す身としては少し遅い始動になっています。

さて、この日5勝の固め撃ちを果たしたモレイラ騎手ですが、将来を嘱望される若駒の騎乗はこのプルミエールだけではありません。
もう一頭、クラス3のテイラーバードハンデ(1000m)に出走したトップビューティフル(クリス・ソー厩舎)も期待の一頭。
こちらも、単勝1.6倍という人気に応え、トニー・クルーズ厩舎のビューティマスターに短頭差競り勝ち、通算成績を2戦2勝としました。

「見た目よりも中味の濃い一勝だったね」
と、レースを見守ったクリス・ソー調教師は語りました。
「前走はまさに楽勝って感じだったけど、今回はタフなレースだった。ここでタフなレースを経験できたことが大きいと思うんだ。これからクラスが上がれば、楽な競馬はさせてもらえない。前2頭は後続から大きく離れていたよね。ほぼ一騎討ちのストレスのかかる競馬を勝ちきったのは非常に良かった」
そして、この馬については、
「非常に大きな馬だから、より慎重にケアしているよ。こういったエキサイティングなレースを今後も続けたいね」
と、将来を楽しみにしているようでした。
4ヶ月先のクラシックへ向け、各陣営の駆け引きがすでに始まっています。




 
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