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飯田コージ |
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。 |
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香港競馬通信 |
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10月 2日 |
中国本土は国慶節の連休で、世界各地へ出かけて行って爆買いをする姿が報道されています。
その旺盛な需要に期待するのは、地理的にも近い香港も同じですが、一方で一国二制度と言いながら中国化が進む香港では行きがかり上国慶節を盛大に祝います。
香港競馬も、イギリスからの返還以降、ナショナルデーカップをはじめとする国慶節競馬を行っています。
暑い夏を避けて9月から始まる香港競馬の番組表上、この国慶節競馬のメインであるナショナルデーカップ(1000m)とセレブレーションカップ(1400m)の2つのG3がシーズン最初の重賞となります。
12月の国際レースを睨んで、有力馬の始動戦にはまだ早いこの時期。
ハンデ重賞ということもあり、上り馬が名乗りを上げるか、それとも実績馬が重いハンデに打ち勝って健在ぶりをアピールするのか、馬券的にも妙味のあるレースです。
今年は重賞多頭出しでおなじみのジョン・ムーア調教師が主役でした。
が、ムーア師本人にとっても少し意外な結果となりました。
先に行われたナショナルデーカップでは、ムーア勢が1着2着4着を締めましたが、勝ったのは10頭立ての7番人気、単勝25倍のダッシングフェローという大番狂わせでした。
レース前に注目されていたのは、ジョンはジョンでもジョン・サイズ調教師が送り出した3頭、DBピン、レーティング評価最上位のミスタースタニング、そして去年のこのレースの覇者、アメイジングキッズでした。
結果はDBピンが3着、ミスタースタニング6着、アメイジングキッズ8着と振るわず…。
雨のそぼ降る稍重馬場を利したダッシングフェローとヴィンセント・ホー騎手のコンビの引き立て役に終わってしまいました。
「う〜ん、これはちょっと驚きの結果だね、だろ?」と、管理するムーア師もショックを受けた様子でした。
「今回は馬場に助けられたと思うね。この馬にぴったりの馬場になったよ。それでも、こんなに鮮やかに勝つとはほとんど想定していなかった。シーズン最初の調教試験ではよくある仕草だったとはいえ、トライアルでは馬群に沈んでいたし、厩舎でもうるさいところを見せていたからね」
と、正直な胸の内を明かしてくれました。
2014年にこのレースが直線1000m戦に短縮されてから、ホー騎手とムーア師はともにこのレース2勝目となりました。
ホー騎手は短縮初年度の2014年にバンドルオブジョイでこのレースを制覇。
一方、ムーア師は2015年にノットリスニントゥミーで制しています。
レースは、序盤ペニアフォビア、ミスタースタニング、ファビュラスワンの3頭がかなり速いペースで引っ張りました。
残り600mでこの3頭にDBピンが絡んでいき、ダッシングフェローはまだその後ろに控えていました。
その後、前のスピードスターたちが失速。ホー騎手は外ラチ沿いに出し、僚馬ノットリスニントゥミー(トミー・ベリー騎手)とともに猛然と差し脚を伸ばします。
馬場の真ん中で併せ馬のように伸びていく2頭。ダッシングフェローはゴールまでクビ差リードを守り切りました。
勝ち時計は56秒59。そこから1馬身4分の1差の3着にDBピン、そしてムーア勢のもう一頭、マジックレジェンドが4着に入りました。
「僕自身はこの勝利は驚きでもなんでもないよ」
と話すのは騎乗したホー騎手。
「ムーア師のようなトップトレーナーからの騎乗依頼なら、チャンスがあると思うでしょう?同じ厩舎のノットリスニントゥミーに比べてハンデが軽かったから、これなら最後に伸びると思っていたんだ。その通り、素晴らしい末脚を見せてくれたね。いい勝ち方だったよ」
と、満足げに語りました。
ダッシングフェローはこれまで1400m戦の逃げ馬というイメージでした
実際、過去7度の勝ち鞍はすべて沙田の1400m戦。
今回はこの馬の35戦のキャリアで初めての直線1000m戦でした。
直線1000mの競馬の速い流れで、この馬に刺激を与えてみようというのがムーア師の目論見だったようです。
「忙しい流れの短い競馬に入れてみて、この馬のスタミナが最後の叩き合いで生きたね。それに、軽ハンデ。これがカギだったよ」
と、ムーア師はホー騎手と同じニュアンスで勝因を語りました。
「今までこの馬は今回よりも長い距離を走っていたから、今回勝てたとも言える。テンの脚では周りの馬に敵わないけれど、道中折り合えば最後までしっかりと伸びてくれる。今回はしっかりと折り合って気持ちよさそうに走っていたね」
ムーア師はこの勝利で、ダッシングフェローの当面の目標を12月の香港スプリントに置いたようです。
それに向け、今月22日のプレミアボウル(1200m)に使うことを明かしました。
「(今回の勝利は)軽ハンデに助けられた部分はあったけど、それだけに定量戦でトップレベルの馬たちが集まったときにどういう競馬を見せるのか興味があるね。そこ(プレミアボウル)である程度の結果を出したら、当然次は国際レースになる。でも、オーナーも含めてこの馬がどの程度のレベルにあるかは弁えていて、本質はG3レベルのハンディキャップホースさ。今日のレースがもし定量戦なら、4着か5着だったろうね」
最後は冷静に愛馬を分析しました。
ムーア厩舎の僚馬、ノットリスニントゥミーとマジックレジェンドも同じく次走はプレミアボウルです。
特に、2015年にこのレースを勝ち、去年はG2ジョッキークラブスプリントを制したノットリスニントゥミーの復調をムーア師は喜んでいました。
「この重いハンデで素晴らしい競馬だったよ。満足さ。プレミアボウルに向けて視界良しだね。今日のような競馬をしてくれれば、ジョッキークラブスプリントの連覇はおろか、本番の香港スプリントだって十分に戦えると思うよ」
一方、マジックレジェンドについては、
「この馬はダッシングフェローとよく似た馬なんだ。短距離のハンディキャップホースだね」
とあっさりと言い切りました。
他方、3着DBピンに騎乗したカリス・ティータン騎手は一皮むけたと語りました。
「レースを通じて、非常に気持ちよく走ってくれたよ。ハンデ差がなかったらもっといい末脚を繰り出せたと思う。この馬は自分の気持ちに正直な馬で、良いときは折り合えるんだ」
10月に入り、徐々に香港競馬も休みモードから実戦モードに変わっていきます。
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