飯田コージ
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。
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香港競馬通信
11月 6日
競馬も勝負事ですから、ゲンのいいレース、ゲンの悪いレースというものが出てきます。
馬券を買う我々にも得意不得意があるように、厩舎関係者や騎手、オーナーにも相性のいいレース、悪いレースが何となくあるものですが、トニー・ミラード調教師にとっては先週末のメイン、ササ・レディースパースがここ数年とても相性のいいレースです。
馬を変えながら、通算4勝。その上、ここ3年間連勝しています。
今年は、将来を嘱望される素質馬ナッサでこの登竜門レースを制しました。
愛馬を狙い通りにステップアップさせられたことで、ミラード師は例年に増して大喜びです。

ササ・レディースパースを3連勝というのは、ちょうど10年前の2004年から2006年にかけて達成したトニー・クルーズ調教師に続き香港競馬史上2人目。
ミラード師は2009年にアイロンフィスト、2015年トップアクト、2016年ホースオブフォーチュン、そして今年のナッサと、通算4勝としました。
「何より、今年ナッサで勝てたのは特別だよ。南アフリカのイヤリングセールでこの馬を買って香港に連れてきてこの方、この馬は非常に利口で言うことをよく聞いてくれていてね。僕ら関係者はみんなこの馬の実力を知っていたから、今日それを示すことが出来てよかった。この馬は特別な馬だと思っているよ」
と、その喜びを語りました。

ナッサは今後、12月の香港カップを目指していくようです。
現状、ナッサは香港マイルへの登録がありますが、オーナーに香港競馬最高賞金レースである香港カップへの転針を進言するつもりのようです。
「国際レース、その中でも香港カップに参戦しようと思っているんだ。この馬は2000mが最適だと思うんだよね。オーナーにもその旨提案して議論しようと思うよ。今回ようやく思い通りの競馬ができた。この馬には輝かしい未来が待っていると思うよ」
そして、本番の香港カップまでのステップについては、
「僕は、カップの前にはレースに出す必要はないと思う。すでに今日までで十分に競馬をしたよ。それもオーナーに話すつもりだけどね」
と、本番直行を示唆しました。

ゴール前、まさに鬼脚を繰り出して豪快に差し切ったナッサ(115ポンド)。
上りの400mは22秒88を記録、ライバルたちをアタマ差交わし、1800mを1分45秒41で走破しました。
ハンデ戦のこの重賞、2着には8ポンドのハンデ差があったタイムラップ(123ポンド)が入り、3着は7ポンド差のロマンティックタッチ、4着は同じミラード厩舎のホースオブフォーチュン(131ポンド)と、ハンデの重い実力馬たちが入り、ハンデ重賞らしいところを見せました。

「言葉では言い表せないよ!何しろ、直線の入り口じゃ万に一つも勝ち目ないんじゃないかって思ったからね」
と語るのは、ナッサの手綱を取ったチャド・スコフィールド騎手です。
単勝7.9倍の4番人気に押されたナッサ、道中は中団に位置取りました。
レースを引っ張ったのは一番人気単勝2倍、トップジョッキー、ホアオ・モレイラ騎手が手綱を取ったタイムラップ。
折り合いよく気持ちよく逃げたこの馬は、直線に入り後続を引き離し残り250mで独走態勢を築きます。
後続との差は3馬身〜4馬身。もはや勝負あったという、後続にとっては絶望的な差だっただけに、スコフィールド騎手の気持ちもわかろうというものです。
しかしながら、ナッサの末脚はその固定観念をぶち破りました。
南アフリカではG1で2着にも入った素質馬がその眠れる能力を呼び覚まし、軽ハンデも生かしながら一完歩ずつ差を詰めます。
「直線に入って前が開き、差を見るとこりゃ大変な仕事だぞと思ったよ。もうホアオ(・モレイラ騎手)は安全圏にいるように思ったからね。でも、ゴーサインを出してみたら伸びる伸びる伸びる!残り200でもまだ差はかなりあったけど、これはひょっとするぞと。手ごたえは十分だったから、捕まえられるぞとにわかに自信が出てきたんだ。いやぁ、この馬は素晴らしい末脚を見せてくれたね。もちろん、軽ハンデってのもあったけど、乗っていてうっとりするほどの加速だったよ」
と、スコフィールド騎手は今回の勝利を振り返りました。

今回のササ・レディースパースはナッサにとって香港移籍後5戦目で初勝利となりました。
移籍前、南アフリカでも6戦しかしておらず、実はまだまだ若い馬。
ということで、スコフィールド騎手もこの馬の伸びしろは大きいと期待しています。
「今まで移籍後4戦してきたけど、いずれも不完全燃焼だった。今回ようやくこの馬の潜在能力を見せることができたね。おそらく、今までは期待先行だったんだね。不運もあってなかなか結果が出なかった。今回のような競馬ができれば、将来も期待できると思うよ」

香港中距離戦線に新星登場。ただし、今回はハンデに恵まれた面も否めません。果たしてこれが本物なのか、12月にその真価がわかります。


 
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