飯田コージ
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。
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香港競馬通信
11月20日
12月の香港国際レースに向けて地元勢の最終ステップレース、ジョッキークラブカップ、マイル、スプリントの3レースが行われました。
今までのステップはハンデ戦が多かったので、特に実力馬にとっては厳しい戦いを強いられることもありましたが、今回はG1別定。
G1タイトルホルダーは多少斤量が重くなりますが、それでもハンデ戦に比べれば差はつきませんから、実質は本番の定量戦に近いものとなります。
となると、名の知れた実力馬がその力通りの走りをするもの。
中長距離戦線のステップ、ジョッキークラブカップは昨シーズンの年度代表馬、ウェルテルがゴール直前で差し切り勝ち。
沙田の芝2000mでは、香港ダービー、クイーンエリザベス2世杯、香港ゴールドカップに続いての勝利。
得意の距離で、地元には敵なしというところを見せつけました。
「この馬はこちらの期待通りの走りをしてくれる馬でね。今後も楽しみだよ」
と、騎乗したトミー・ベリー騎手は話しました。
ゴール直前、タイムワープをクビ差交わしたウェルテル。
直線では末脚を伸ばし、計ったかのように差し切りました。
「直線入り口でちょっとリズムの悪いところを見せたけど、いいレースだったよ。休み明け2戦目ということを考えればね」
と話すのは、管理するジョン・ムーア調教師。
重賞の常連のムーア師。このジョッキークラブカップは今回で5勝目となりました。
「このレースで調子を測ることが出来たし、これで一叩きすればさらに良くなってくれるんじゃないかな」
と、まずはこの先の展望を話してくれた名伯楽。
続いて、レースを振り返ります。
「ハーバーマスターがレース全体を速いペースで引っ張ったんだけど、この流れが馬の行く気を見るのにうってつけだったね。あの行きっぷりを見るに、ウェルテルは今回100%のデキではなかった。ま、本番は香港カップだし、この馬は大一番に合わせて調子を整えてくれるはずだよ」
ムーア師が指摘する通り、ウェルテルは道中、先頭から9馬身離れた4番手に位置しました。
さらに、最終コーナーを回る時点でも先頭とは距離があり、場内からは悲鳴にも似た歓声が起こりました。
人気を背負ったもう一頭、タイムワープは道中2番手に付け、残り400mで逃げたハーバーマスターが失速、
タイムワープは抜け出しを図ります。
ウェルテル鞍上のベリー騎手はこの時点で、勝てるかどうかは五分五分といったところ。
ベリー騎手の指示にこたえて追撃を開始するウェルテル。
しかし、抜け出したタイムワープはすでに必勝体制で逃げ込みを図ります。
最後の叩き合い、年度代表馬のプライドに賭けても負けられない戦いは、辛くもクビ差、ウェルテルに軍配が上がりました。
勝ち時計は2分1秒52。
「道中も全て順調というわけではなかったし、(G1別定で)5ポンド余分に背負っていたからね。それだけに、3週後(の香港カップ)が余計に楽しみだよ」
と、ムーア師は次走に期待を示しました。

降ったりやんだりの天候が続いたこの週末。
お陰で沙田の芝コースは若干走りづらくなっていることにベリー騎手は気づいていました。
そして、それがこの馬にとって有利に働くであろうことも。
というのも、どしゃ降りの重馬場のクイーンエリザベス2世杯で2016年に勝利したという実績がウェルテルにはあったからです
「この馬は初戦から末脚を伸ばして常に期待にこたえてくれているけど、今日は今までよりもちょっと伸びが足らなかったね。ただ、この馬場はこの馬にピッタリだったと思うよ」
と、ベリー騎手。続けて、
「前から繰り返している通り、なんと言っても大目標は12月(の香港カップ)なんだから、まだまだ復調途上。そのことは今日のレース内容からも分かってもらえると思うけど、残り100mでほとんどガス欠を起こしていたからね。もしタイムワープが馬体を寄せてきていたら、バランスを崩していたかも知れなかった。ま、運も実力のうちって言うし、何より12月にこの馬で参戦できるのはとても楽しみだよ。
100%の仕上がりまでは、あと10%ってところじゃないかな。今日のようなレースをしたとして、最終コーナーであれほどは立ち後れないと思うんだ。もっと末脚の点火が素早いはずだからね。
通常の流れなら、おそらくもうちょっと控えていたんじゃないかな。その方が脚をためて、最後の末脚をもっと爆発させられたからね。今日は3つか4つほどの逆風があったのをはねのけての勝利。いい仕事をしてくれたよ。最後に伸びなかった原因は、まずは本調子でなかったこと。それから、ちょっと馬場を気にしていたかな」
と、レースでの愛馬の素振りを分析しながら記者の質問に答えていました。

一方、2着入線のタイムワープ。騎乗したホアオ・モレイラ騎手は結果に満足そうでした。
「いい走りを見せてくれたよ。逃げたハーバーマスターはちょっとペースが速すぎた。だから、その直後に控えられた我々は非常にいい位置を占めることができたわけだ。先頭に立った時には、ゴールまでまだ距離があった。で、残り100mで交わされたわけなんだけど、これは買った馬が強かったということ。この馬自身は非常にいいレースをしてくれたと思っているよ」
タイムワープは前走ササレディースパース(G3)でナッサの2着に入って以来のレース。
そのナッサはさらに1馬身半差の3着でした。
ナッサに騎乗したチャド・スコフィールド騎手は、
「いい走りだったよ。逃げ馬が速いペースで引っ張るというタフな展開だったけど、ウチの馬はタイムワープをマークしていったんだ。ウェルテルは追い出してからの反応が素晴らしかったね。直線の入り口では行ける!って思ったんだけど…。」
トニー・クルーズ厩舎のゴールドマウントが後方一気の末脚で4着に入りました。
2016年にはロイヤルアスコット開催での勝ち鞍もあるこの馬。
上がりの400mはメンバー中最速の22秒62でした。

今回、実力馬のウェルテルが単勝2.2倍の期待にこたえて勝ちました。
これは実はこのレースでは珍しく、2008年のビバパタカが単勝1.3倍の支持にこたえて勝って以来。
珍しく「荒れない」前哨戦だったわけですが、果たしてそれがどう本番に影響してくるのか?
本番のメンバーについては、今月22日発表となります。


 
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