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飯田コージ |
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。 |
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香港競馬通信 |
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12月11日 |
昨日行われた香港国際レース。
ご存じの通り、1日に4つのG1レースを行うという大イベントです。
今日から、行われた順に結果をご紹介していきましょう。
まずは、4つのG1のトップを切るのは例年通り香港ヴァーズ。
沙田競馬場2400mという、香港で行われるレースの中では最長距離で争われるこのレース。
短距離主体の香港競馬にあっては、この距離で世界レベルと張り合える馬はそう多くありません。
したがって、毎年海外勢の活躍が目立つレースとなります。
今年注目されたのは、2015年のこのレースの勝ち馬で去年2着のハイランドリール。
毎年香港に遠征してきているので、香港の競馬ファンからも絶大な人気を誇ります。
今回は単勝3.1倍の支持を受けました。
数々の活躍馬を世に送り出してきたエイデン・オブライエン厩舎のスターたちの中でも異彩を放つハイランドリール。
なんと言ってもこの馬は遠征に強い。
地元アイルランドよりも海外で競馬をした回数の方が圧倒的に多い上、欧州、アメリカ、中東、アジアとまさに世界を股にかけてレースをし、各地でG1勝ちを積み重ねるという離れ業。
今回のレース前後、管理するオブライエン師は何度も、
「他に代わりのいない馬」「余人をもって代えがたい」
と繰り返しました。
そして、今年の香港ヴァーズでもその実力を遺憾なく発揮。
引退レースに選んだ、本拠地アイルランドから遠く離れた香港のG1でもしっかりと勝って通算G1勝利数を7とし、有終の美を飾りました。
手綱を取ったのは、2015年の香港ヴァーズ勝利の時と同じくライアン・ムーア騎手。
もちろん、去年のこのレースで最後にサトノクラウンに逆転を許し2着に終わったときにもその鞍上にいたのはムーア騎手でした。
香港ヴァーズを2勝した馬は史上3頭目。ただ、2年連続ではなく間を空けての2勝は史上初めてです。
喜びも悔しさも共にした名手は、今回の勝利を称えました。
「ここ3年間、常にこの馬を仕上げ続けた全てのスタッフの努力の結晶が今回の勝利だよ。何しろ、地球上のどこでレースをしても馬を仕上げてくれたんだからね。もちろん、馬の実力があってこそだし、この馬は素晴らしい輝きを持った馬だということは言うまでもないけどね」
レース前半を引っ張ったのは地元香港のヘレンカリスマ。
それを見るように2番手に付けたのがハイランドリールでした。
3番手にはゴドルフィンのタリスマティック。
向こう正面までは控えていましたが、3コーナーあたりから早めの仕掛けで前を行くヘレンカリスマを捕らえにかかり、直線に向くと早くも先頭。
そこからムーア騎手は古豪を励まし、ゴールを目指しました。
「この馬はいつだって前向きな馬で、道中も上手に走ってくれたよ。手応えも抜群で僕は満足だったし、勝てるって思っていたよ」
直線、1馬身ほどリードを保って残り400mを過ぎますが、そこから後続が束になって押し寄せます。
香港のスタージョッキー、ホアオ・モレイラ騎手騎乗のトーセンバジル、さらにタリスマティック。
前走、アメリカ、デルマー競馬場で行われたブリーダーズカップターフでも対戦し、敗れた相手が末脚を伸ばして襲いかかってくる。
ライバルにまたもやられてしまうのか!?
残り150mで馬体が合い、叩き合いの様相を呈しました。
が、ハイランドリールはライバルを上回る粘りを見せます。
「この馬は、長くいい脚を使うタイプの馬なんだよ。一度戦闘モードに入ると、そこから決して諦めない。今回も、残り1ハロン(200m)からさらにもう一伸びしてくれて、ゴールの時にはむしろもう一度突き放していたからね」
と、ムーア騎手は馬の闘争心の高さを解説してくれました。
結果、ハイランドリールは挑戦者たちを1馬身4分の3退け、芝2400mを2分26秒23で走破しました。
2着タリスマティック、3着には日本のトーセンバジルが入りました。
今後、ハイランドリールはクールモアスタッドで種牡馬として第二の人生に入ります。
通算成績は27戦10勝。7つの国で勝利を挙げました。
「この馬は本当に特別な馬さ。さまに、代わりのいない馬なんだよ」
と、オブライエン師は称えました。
「こんなに旅に強い馬なんて、そうそういるもんじゃないよ。何しろ、たった2歳の時のヴィンテージS(G2)からイギリスのグッドウッドに遠征して勝って以来、ほとんどずっと遠征続きだったんだからね。本当に信じられない馬さ」
「本当に余人をもって代えがたい馬で、こんな馬を5歳を全うするまでずっと管理できてボクらはラッキーだったよ。」
そして、オブライエン師は最後に、
「本当に、代わりのいない特別な馬さ」
と、噛み締めるようにもう一度繰り返しました。
ムーア騎手はハイランドリールのG1勝ちのうち5つで手綱を取りました。
「彼の戦績を見れば、どれだけ能力の高い馬だったのかがわかるよね。そして、そのお手伝いができたと思うとボクも嬉しいよ」
と、ムーア騎手。続けて、
「この馬はどんなことに対しても非常に前向きで、その上タフ。世界中でレースをしてきて特筆すべきはその堅実さだよね。いつでも、どこでもこの馬はベストのレースを繰り広げてくれる。乗っていて楽しい馬だったし、願わくばそれを次の世代にも伝えてほしいね」
と、別れを惜しみました。
一方、2着にはアンドレ・ファーブル厩舎のタリスマティックが入りました。
騎乗したマキシム・ギュイヨン騎手は結果に対して何の言い訳もしませんでした。
「いいレースをしてくれたよ。勝ち馬の直後に位置して、まさに完璧な道中だった。長い脚が使えるというよりも一瞬の切れ味を生かすタイプの馬だから、出来るだけ仕掛けを遅らせて爆発力に賭けたんだ。前走のブリーダーズカップではそれが上手くはまったんだけどね。ま、言い訳はできないよ。馬は素晴らしい競馬をしてくれた」
と、今回は展開が向かなかったことを示唆しました。
モレイラ騎手は3着に入った日本のトーセンバジルについて、
「ファンタスティックなレースをしてくれたよ。全て完璧なレースをしてくれた。直線も素晴らしい伸びを見せてくれたんだけど、今回は何しろ勝った馬が良すぎたよ。誇れる3着だね」
と話しました。各陣営、ハイランドリールには脱帽という香港ヴァーズだったようです。
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