飯田コージの外はおまかせ！

飯田コージ

1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。

香港競馬通信

12月13日

香港国際レース結果紹介、３日目の今日は香港マイルです。
普段レース結果の紹介といえば、主役は馬やオーナー、調教師ですが、今回はジョッキー。
それも、普段のように海外出身のジョッキーではありません。
地元香港出身のデレク・リョン騎手が今回の主役です。
２９歳のリョン騎手。香港ジョッキークラブの騎手養成学校出身者としては、マシュー・チャドウィック騎手に続き２人目の国際Ｇ１ジョッキーとなりました。
この香港マイルを、ジョン・ムーア厩舎のビューティジェネレーションで見事に逃げ切り勝ちし、栄冠をつかみました。
そもそも勝つのが難しいこのレース。ビューティジェネレーションは今シーズン最初のＧ３で勝っていて才能は認められていましたが、決して人気を集めていたとは言えません。
直線、沙田競馬場を埋めた観衆は、リョン騎手に大声援を送って後押ししました。
その中には、身重のリョン騎手の妻、キットさんの姿もありました。
予定日まで一か月足らず。臨月の妻と初めての子供に、一足早い大きな大きなプレゼントになりました。
大声援を送ったのは観衆だけではありません。
検量室のスタッフも、同僚のジョッキーも、こぞってこの勝利を称えました。
その一人、オリビエ・ダリューズ騎手からは暖かい祝福の言葉もかけられていました。

「本当に、本当に幸せだよ」
と、記念撮影に向かう直前、勝利ジョッキーは拳を天に突き上げガッツポーズ。観衆に応えました。
その後しばらく、感極まって声を出せずにいました。ようやく言葉を継いだリョン騎手は、
「サポートしてくれたすべての人に感謝を言いたい。特に、オーナー（パトリック・クォック氏）とジョン・ムーア調教師に。こんな大きな機会を与えてくれて、しかも乗せ続けてくれて。いつか大きなレースを勝って自分の実力を証明したい、国際Ｇ１に乗って、勝ちたいって思っていたんだ」
と、周囲への感謝を述べました。そしてレースを振り返り、
「作戦は、とにかく前へ行けと。先頭か２番手には付けようという話だったけど、その通りになったね。すべてがスムーズに運んで、付かず離れずの半馬身ほどのリードを保ちながら、残り４５０ｍでスパートしたんだ。この馬は長い脚を使える馬だし、実際最後までしっかりと伸びてくれたね。早仕掛けだとは思わなかったよ。その通り、馬は走ってくれた」
と語りました。

現在ジョッキーランキング第５位に付けているリョン騎手。
ビューティジェネレーションは今回単勝８．４倍の穴人気に推されていました。
「今シーズン初戦のＧ３（セレブレーションカップ）に勝ったときに、Ｇ１を狙えるんじゃないかって思っていたんだ。今回それを最高の形で証明することができたね」
と、満足そうに語りました。

この勝利はジョン・ムーア調教師にとって７度目の香港国際レース制覇、３度目の香港マイル制覇となりました。
また、オーナーのパトリック・クォック氏にとっては去年のビューティオンリーに続き、馬は違えど２年連続の香港マイル制覇となりました。
ちなみに、去年の覇者ビューティオンリーは７着に敗れています。
香港勢はこのマイルを牙城としていて、２００６年からの１２年間で見ると実に１１度目の香港馬による制覇。
ジョッキークラブマイルからの制覇は１０頭目となり、ゴールデンルートが確立しています。
２０００年に香港マイルが国際Ｇ１に昇格してからも１４頭目の香港調教馬の優勝馬となりました。

ムーア師は今回の勝利に関して、
「驚きはないよ」
とさらりと語りました。続けて、
「ウチの厩舎に来てから、この馬は一度も間違ったことをしていないんだ。前走ちょっとうるさいところを見せたりはしたけど、今日は素直な競馬をしてくれた。今日のような競馬をしてくれれば、もっともっと可能性が広がるんじゃないかな」
と話し、将来性については、
「去年は経験を積ませて、競馬に慣れてきた。もうちょっと長い距離も行けるんじゃないかと思っているんだ。ただ、この馬のスピードと末脚を考えると、今はマイルが適距離かな。今日は本当にいい競馬だった」
と語ってくれました。

なお、２着ウェスタンエクスプレス（サム・クリッパートン騎手、ジョン・サイズ厩舎）、３着ヘレンパラゴン（トミー・ベリー騎手、ジョン・ムーア厩舎）と、上位４着まで香港勢が占め、牙城をがっちりと守りました。