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飯田コージ |
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。 |
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香港競馬通信 |
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12月14日 |
香港国際レース総括、最後に残ったのがメイン中のメイン、香港カップです。
今年の香港国際レースは、ヴァーズをアイルランドのハイランドリールに取られましたが、スプリントのミスタースタニング、マイルのビューティジェネレーションと、香港馬が連勝。
最後に残った香港カップも香港馬がとれば、久しぶりに地元香港馬圧勝という国際レースデーとなります。
香港の赤地に国花ボウヒニアの旗を振るファンは、地元馬の活躍を期待してレースに臨みました。
前回、香港マイルで珍しくジョッキーが馬や調教師、オーナー以上に注目されたレースとなったと報告しましたが、この香港カップもある意味ジョッキーに注目が集まる結果となりました。
香港代表タイムワープに乗ったザック・パートン騎手があれよあれよの逃げ切り勝ち。
パートン騎手は4つある香港国際レースをすべて制覇。グランドスラムを達成したのです。
管理するトニー・クルーズ調教師は、2011年と12年にカリフォルニアメモリーで連覇して以来の香港カップ制覇。
スマートレイヤーやネオリアリズムを引き連れて向こう正面を進むタイムワープを見て、クルーズ師はニヤリとしたようです。
そして直線、同じく香港のウェルテルが後続馬群を引き連れて追いすがるも、パートン騎手は温存しておいたタイムワープの末脚に点火。
昨シーズンの香港年度代表馬に対して、それ以上差を詰めることを許さず、2馬身4分の1差をつける見事な逃げ切りを果たしました。
「道中非常にリラックスして走れたので、最後の末脚を温存することができたね」
と、パートン騎手は振り返りました。
「今回はどの馬にも絡まれることなく道中を進めたので、この馬の良さが見事に出たよね」
と、展開に恵まれたことも明らかにしています。
ここまで3度の重賞挑戦で、3着→2着→2着とイマイチ君ぶりを発揮していたタイムワープ。
期待されながらあと一歩応えきれない愛馬に対し、パートン騎手はレース前から疑いなく期待し続けていました。
「出走予定馬の一覧を見て、このレースは逃げる馬がいないなって思ったんだ。誰か他の馬が逃げていたら全く別の展開になっていたと思うよ。これは、先手を取ってレースを進められるなと。その通り、すんなりと逃げることができたんで、それがこの結果を生んだよね。トニー(・クルーズ調教師)は馬に対して全幅の信頼と自信を持っていて、今朝もこの馬について電話して話したんだけど僕も含めて陣営は非常に自信をもってレースに臨むことができたよ」
と、パートン騎手は調教師の努力を称賛しました。
パートン騎手は、2012年にアンビシャスドラゴンで香港マイルを制したのを皮切りに、翌13年にドミナントで香港ヴァーズ、14年にエアロヴェロシティで香港スプリントを制して一気にグランドスラムに王手をかけました。
「パズルが完成して、とてもうれしいよ!」
と、喜びを爆発させました。
この日パートン騎手はここまでやや残念な結果に終わっていました。
最先着がゴールドマウントの香港ヴァーズ5着。
そんなフラストレーションを一挙に吹き飛ばす鮮やかな逃げ切りでした。
しかしながら、この勝利は騎手の腕だけでは成し得ませんでした。
クルーズ師からの手紙も大きな役割を果たしたのです。
「ザック(・パートン騎手)には常に冷静でいろとアドバイスしたんだ。それがこの馬に乗るときのセオリーだってね」
と、クルーズ師はここ香港で大レースに勝つためには必要不可欠な要素を指摘しました。続けて、
「ザックはボクが求めた通りの競馬をしてくれたよ。先頭に導いてくれて、他の馬に一切絡ませなかった。そして、ボクは彼に後続が来るまで我慢しろ。ゴーサインを出すのはそこからでいいって言ったんだ。彼はその通りにしてくれて、まさに馬群がタイムワープに襲いかかったときゴーサインを出した。そうしたら、あの末脚さ」
と、満足げに話していました。
タイムワープは香港移籍前、ニューマーケットの名伯楽、サー・マーク・プレスコット師の下で活躍していました。
香港との繋がりでは、かつて名を馳せたアーキペンコの息子ということで人気を集めたこの馬。
フランス・サンクルー競馬場でのリステッドレースでの勝利を引っ提げての香港入りとなりました。
クルーズ師はこの馬に関しては、フランスでの競馬ぶりが参考になると感じていました。
「フランスでの勝ち鞍を見ると、この馬は逃げるのが好きなんだろうなって思うよ。今回は、テンにそれほど速い馬がいないから、誰にも邪魔されないと思ったよ。仮に前にいこうと思っても、この馬のテンのダッシュには勝てなかっただろうけどね」
香港移籍後、ようやくこの馬らしさを出せたタイムワープ。
得意距離の2000mなら、十分に逃げ切れることを証明しました。
そして、クルーズ師は今後について、得意距離ならば遠征も辞さない考えを示しました。
「ボクにとっては何の驚きもないよ。この馬はこのクラスでも十分に戦えるって思っていたからね。沙田の2000mはたしかにこの馬に最も合っていると思うよ。重馬場だろうが、良馬場だろうが、ダートだろうがこの馬は沙田ならパーフェクトに走ると思う。ここで競馬する以上、この馬はどんな馬だって負かせないと思うよ」
「ただ、ボクは海外に遠征するのが好きなんだ。この馬は非常に堅実に走ってくれる馬だから、少なくとも着は拾ってくれると思うな。反応のいい馬だし、従順な馬だからね。まだ今後は決めていないけれど、この馬はどこでだって勝てると思うよ」
と、自信を見せました。
タイムワープは前走G2ジョッキークラブカップではウェルテルのクビ差2着でした。
そのウェルテルは今回、道中7番手に控えたのが裏目に出た格好となりました。
管理するジョン・ムーア調教師は、
「テンのスピードはない馬だから、残念ながら前に行くことは難しかったね」
と話しました。続けて、
「本当はもっと先行勢の近くで競馬をしてほしかったんだけど、ご覧の通りボクの望み通りのポジション取りからはほど遠かったね。前を楽に行かせちゃったから、どんなに最後に鋭い末脚を繰り出そうとも残っちゃうよね。ただ、この馬なりにはいい競馬をしていたから、あまり今後について悲観しすぎる必要はないよ。予定通りスチュワードカップからゴールドカップ、そして可能ならばドバイを目指すよ」
と、最後は胸を張りました。
日本のネオリアリズムは3着。
最後に末脚を伸ばしましたが、勝ち馬の序盤のリードに泣かされた格好になりました。
さすがに、今年のクイーンエリザベス2世杯馬でも、鞍上は名手ホアオ・モレイラでもタイムワープの序盤のペースに惑わされました。
「この馬は素晴らしい競馬をしたよ!」
と、モレイラ騎手。続けて、
「レース序盤、この馬はちょっとうるさいところを見せていた。だだから、極力道中はリラックスさせることに腐心したんだ。いい競馬が出来たんで、その結果がこの3着さ」
と話してくれました。
このレースに6頭出走していた欧州馬は揃って厳しい結果となりました。
最先着はポエッツワードが直線大外を回して追い込んでの6着に終わりました。
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