飯田コージ
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。
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香港競馬通信
1月29日
この週末は、年が明けて初のG1ウィークとなりました。
それも、G1が2つ。
1600mのスチュワーズカップと1200mのセンテナリースプリントカップが行われました。
今日は、伝統と格式のG1、スチュワーズカップの結果をご紹介します。
今回は、今シーズンに入って頭角を顕し、G1戦線を賑わしてきたシーズンズブルームが念願のタイトルを手にしました。
騎乗したのは、名手ホアオ・モレイラ騎手。
実はモレイラ騎手、G1制覇は去年4月のクイーンエリザベス2世杯以来。およそ9か月ぶりのG1口取りとなりました。
管理するダニー・シャン調教師にとってはさらに久々のG1制覇で、2012年にイギリス・ロイヤルアスコット開催のキングズスタンドSをリトルブリッジで制して以来7年半ぶりの勝利となりました。
「ホッとしたぁ!」
嬉しいというよりも、安堵の言葉が思わず飛び出したシャン調教師。
香港ベストマイラー決定戦とも言われるこのレースを抜群の末脚で勝った愛馬の充実ぶりに手応えを感じていました。
シーズンズブルームは、直線の末脚一閃、2着に入った5歳の上がり馬フィフティフィフティに半馬身差を付けてゴール。
3着には実力馬ウェルテルがアタマ差で入りました。
勝ち時計は1分34秒74でした。

陣営は今回の勝因について、馬がリフレッシュして疲労を回復したことを第一に挙げています。
前走は4着に敗れた12月の香港マイル。
そこから7週間、間を開けて今回の本番に臨みました。
「この馬に関しては何よりもフレッシュな状態でレースに臨みたいんだ」
と、シャン師は明かしました。続けて、
「国際レースの時はちょっと期待はずれだったんだよね。もちろん、この馬なりにはいいレースをしてくれたと思うよ。でも、あの時はホアオ(・モレイラ騎手)を手こずらせていたし、馬にとっても辛そうに見えた。実際、レースから戻ったときに馬は喉から血を吐いていたからね。だから、しばらく休ませて疲れをとることに専念させたんだ」
と、前走がいかに極限状態だったかを語りました。そして、
「その後、トライアルでは問題なかった。最初のトライアルは1200mだったけど、あっさりと最先着することが出来たしね。そこから僕らも自信が出てきたし、勝てるんじゃないかなって思えるようになってきたんだ」
と、休養の効果が如実に現れたことを語りました。
中間の状態の良さはファンの間にも伝わり、フタを開けてみると単勝4.1倍の2番人気に推されたシーズンズブルーム。
ファンの関心はモレイラ騎手が道中、中団のラチ沿いで折り合えるか、そして直線に向いて前が開くのか、その2点に集まっていました。
終わってみれば、スムーズな競馬で上がりの400mも23秒08でまとめ、一刀両断にして見せたシーズンズブルーム。
下馬したモレイラ騎手は、
「今日はゲートの出も良かった。前よりも見違えるほど良かったよ。だから、以前と比べると先頭集団に近いところで道中進めたんだ。直線に向いて前が開くと、ああ前の馬は交わせるなって自信満々に追うことができたんだ」
と上機嫌で語りました。
今シーズンの重賞勝利も、11月のG2ジョッキークラブマイルを同じシーズンズブルームで勝って以来のモレイラ騎手。
饒舌は止まりません。
「残り200mですでに先頭に立っていたんだけど、おそらく本来からするとちょっと早かったんじゃないかな。でも、それでも押しきれたことが、この馬がベストホースの1頭であることを証明していると思うんだ。それでも勝てるだけ強いってことだもんね」
「何よりも、ダニー(・シャン調教師)の馬でG1を制覇できたことを誇りに思うよ。彼はボクが香港に移籍して以来ずっとサポートしてくれているんだ。素晴らしい馬を仕上げて送り出してくれて、今日のようにボクに勝ち鞍をプレゼントしてくれるんだ」
と、報道陣に話しました。

今後については、シャン師は複数のプランを思い描いているようです。
そのうちの一つが2000mへの距離延長。
これに関しては、去年の香港ダービー4着である程度の適性があることはわかっています。
「オーナーやホアオ(・モレイラ騎手)とも相談しなくちゃいけないけど、次走はクイーンズシルバージュビリーカップ(1400m)か香港ゴールドカップ(2000m)だろうね。今後2〜3日はどれだけ疲れが残るのか様子を見なきゃいけないけど、2000mだってトライする価値はあると思うよ」
と、マイラーではなく中距離路線への進出を示唆しました。

さて、そのシャン師はこの日の競馬場に痛々しい姿で登場しました。
というのも、およそ10日前、厩舎内のアクシデントで肋骨を骨折していたのです。
しかし、シャン師にとってはそんな痛みを吹き飛ばすような一日になりました。
彼のキャリアで初の一日4勝の固め撃ち。
グッドデイズ、エベレスト、バルティックウィスパーがシーズンズブルームの快挙に花を添えました。
「初めてだよ!」
と、シャン師。
「中国じゃ、こんなにツイてて死ぬんじゃないか?なんてからかわれそうだよ」
と冗談を飛ばす余裕も見せました。

カリス・ティータン騎手は騎乗したフィフティフィフティがG1初挑戦で2着と健闘したことに興奮しているようでした。
「素晴らしい競馬をしてくれたよ。後方で馬群に揉まれちゃったんだけど、すぐに折り合えて、そこからはラチ沿いが空いていたんで徐々にポジションを上げていってね。最後はあと一歩届かなかったけど、最後までしっかりと伸びていい脚を見せてくれたよ」

ジョン・ムーア厩舎のウェルテルは納得の3着。
というのも、陣営の目標はここではなく、来月の香港ゴールドカップ(2000m)だからです。
「枠が違えば結果も違っていた。(13頭立ての11番枠)でも、言い訳はしないよ。次走の2000mの方がこの馬には合っているし、すでに次に照準を合わせているからね」
と、騎乗したヒュー・ボウマン騎手は話しました。

もう一頭末脚が目を引いたのが、キャスパー・ファウンズ厩舎のサザンレジェンド。
最後方から直線一気の末脚で4着に飛び込んできましたが、上がりの400mは22秒59をマークしました。
手綱を取ったウンベルト・リスポリ騎手は、
「この馬の走りに非常に満足だよ。前走よりも見違えるように良くなってきている。僕らはこの馬にチャンスを与え、今日この馬はゴール前の末脚でその可能性を見せてくれた。上がり400mは素晴らしかった。この馬にとってもこの4着は大きいと思うよ」
と、今後に期待を寄せていました。

一方、良いところなしで馬群に沈んだのが単勝4倍の一番人気に推されたタイムワープ。
あっと驚く逃げ切り勝ちを収めた先月の香港カップの再来は叶わず、マイル戦とのペースの違いに戸惑ったのか先手を奪うことも出来ずに10着敗退。
レース後陣営はコメントを残さずに検量室前を去りました。


 
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