飯田コージ
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。
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香港競馬通信
10月19日
木曜の最終追い切りでは、今週末のメインレースに向けて有力馬が精力的な動きを見せました。
香港国際レースに向けてここから始動する馬も多く、調教スタンドにも活気が溢れていました。

そんな中注目されていたのが、去年の香港年度代表馬、ビューティジェネレーション。今やジョン・ムーア厩舎の大エースにまで成長したこの馬は、G2沙田トロフィー(1600m)に向け順調な仕上がりをアピールしました。
降り続く雨の影響もあり、かなり重い芝コースでの追い切り。
夜明け前にコースへと出てきたビューティジェネレーションはザック・パートン騎手を背に、1800mのハロン棒辺りから動き始めました。
そこから徐々にスピードを上げていき、直線上がりの400mを25秒9でまとめました。
「ザック(・パートン騎手)はいい感触だったようだよ」
と、傘を差しながら語るのは、管理するジョン・ムーア調教師です。
「道中も自分のペースで走れていたし、あんまり馬場も気にしていない様子だったしね。ここまでの調教は満足いくものだし、今回もかなり期待を持って送り出せるんじゃないかな」
と語りました。
一方、主戦であり目下リーディングジョッキーのザック・パートン騎手も騎乗してみての感触に満足そうでした。
「馬場は水が浮くようだし、霧雨で視界は悪い。その上夜通しの雨で地盤はたっぷりの水を含んでスポンジのようになっていたんだけど、これがかえってこの馬には良かったのかな。あんまりパンパンの良馬場ってのはこの馬は好きじゃないんだ。馬自身も気持ち良さそうに走っていたし、こちらも落ち着いて馬の様子を観察する余裕があった。スムーズにギアチェンジして、最後までしっかり走ってくれたね。今朝の調教は始めから終わりまで、非常に気分よく走ってくれたよ」
と饒舌に話してくれました。続けて、
「追い切った後もすぐに息が戻るし、我々の期待通り体調は良いんじゃないかな。前走後体調が戻るかどうかが最も気にかかっていたところなんだ。あの切れ味を維持するためには、そこが一番必要だからね」
と、少しホッとした表情を見せました。

ビューティジェネレーションは今回、去年に続いての沙田トロフィー連覇を狙っています。
シーズンの始動のしかたは去年とまったく同じで、まず10月アタマのG3セレブレーションカップ(1400m)を勝ち、そこからこの沙田トロフィーに駒を進めてきました。
ただ、去年と違うところはレーティングの評価が大きく上がったところ。
それはそのまま、今回のようなハンデ戦では斤量の増加という形で跳ね返ります。
今回はトップハンデ133ポンドを背負うことになりました。
これについてパートン騎手は、
「確かに重いハンデだよね。まぁ、500キロを超える馬格のある馬だから走りそのものに大きな影響を与えるわけではないんだけど、周りの上がり馬たちが軽ハンデで出走してくることを考えると、どう作用するのかはやってみないとわからないね」
と表情が少し曇りました。
ただ、馬自身については100%信頼しているようで、
「この子はとても真面目な馬でね、だから今回もベストを尽くしてくれると思うよ」
と前を向きました。

もちろん、今回は12月の香港国際マイルに向けた前哨戦のさらに前のステップレースです。
管理するムーア師も、騎乗するパートン騎手も今回の沙田トロフィーの勝ち負けにさほど拘っているわけではありません。
「負けたとしてもこの馬なりにいい走りを見せてくれればそれで十分だよ。負けたのは馬のせいじゃなくハンデのせいだということになればね」
と、パートン騎手。続けて、
「この次は基本が定量で少しだけ別定条件が乗るジョッキークラブマイル(G2)に、完全に定量戦となる香港マイルだからね。今回はハンデ戦だからどうしても厳しい戦いになる。むしろこのタフな戦いをどう切り抜けるのか、その先にはちょっと楽になると思って頑張るよ」

その意味では、前走のセレブレーションカップは大きな勝利だったということになります。
ハンデ戦で不利な中勝ち切ったということで、国際レーティングの評価も上がり、123ポンドとなり、現役マイラーでは世界トップタイにまで上り詰めました。
「もしも、本当に仮にもしもだよ、今回この馬が勝ったら、これは(現役時世界一に立った)エイブルフレンドの領域に入ることになるよね。まぁただ、僕も普段は2番じゃ意味ないって考えているタイプだけれども、今回に関しては無理して勝ちにいく時ではないと感じているのも確かだよ。今回負けてレーティングが少し下がったとしても、それは我々陣営のシナリオ通りだし、狼狽えたりはしないよ」
と、あくまで馬を気遣っていました。

さて、ビューティジェネレーションの所属するジョン・ムーア厩舎といえば重賞多頭出しが昔から有名でしたが、今回も3頭を送り出します。
ムーア師が熱い視線を送っているのが、往年の年度代表馬、ウェルテルです。
木曜の追いきりはビューティジェネレーションと同じ組で走り、今シーズン初戦に向けてこちらも順調さをアピールしました。
香港ダービーとクイーンエリザベス2世杯を連勝し、一気に年度代表馬にまで上り詰めたのは実に2年前。
すでに古豪とも呼ばれる7歳になりましたが今だ健在。
前走は日本に遠征し、宝塚記念(G1)で2着に入る活躍を見せました。
そこから休養し、先週オールウェザーの調教試験に出ましたが、まだまだ大人しい姿だったようです。
「今朝のウェルテルは良かったね。馬はもっと行きたがったんだけど、攻馬手が抑えたんだ。この馬はパンパンの馬場がいいタイプだから、今日は躓かないように気を遣ったんだね」
と、ムーア師は記者団に明かしました。
このところのウェルテルの調教には、南アフリカの若武者カラン・マレー騎手が乗ることが多いそうです。
そして、日曜日の本番でもそのままマレー騎手がウェルテルの手綱を握ります。
「今回はマレーに乗ってもらって、次のトライアル(ジョッキークラブカップ)と香港カップは主戦のヒュー・ボウマンに戻ってきてもらうつもりだよ」
とムーア師は今後について話しました。続けて、
「ひょっとしたらトライアルの前にササ・レディースパースを挟むかも知れない。今回のレースでどこまで勝負勘だとかが戻っているか次第だけどね。まぁ、レディースパースをスキップしたからといって計画が大幅に変更になったとかそういうわけではないよ。むしろ、あんまり本番までに無理させたくはないんだから」
と、今回の沙田トロフィーの結果に関しては予防線を張りました。
トライアルのさらにステップということで、各陣営勝負を越えた思惑、駆け引きがありそうです。


 
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