 |
 |
 |
 |
飯田コージ |
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。 |
|
 |
|
|
 |
 |
 |
 |
|
 |
 |
香港競馬通信 |
|
 |
10月22日 |
12月の国際レースに向けて、徐々に香港代表馬が絞り込まれていきます。
マイル戦線は中心を担うと言われていたビューティジェネレーションが今年も存在感を示しています。
昨日行われたG2沙田トロフィー(1600m)でトップハンデ133ポンドを背負ったビューティジェネレーションは見事な走りを見せました。
トップハンデだけに今回は勝負にこだわらないと陣営も戦前控えめに話していたのですが、さすがに昨シーズンの年度代表馬は伊達ではありません。
管理するジョン・ムーア調教師が「感動したっ!」と話す競馬で見事に表彰台の一番上に駆け上りました。
「133ポンドというハンデを見て、口の悪い批評屋はまぁ独自の戦いだよねと惨敗を予想していたけれど、どうだい?」
と、ムーア師は胸を張りました。
昨シーズンの年度代表馬は香港マイル、クイーンズシルバージュビリーカップ、チャンピオンズマイルとG1を3勝したビューティジェネレーションと、クイーンエリザベス2世杯、チャンピオン&チャーターカップとシーズン終盤にG1を連勝して追い込んだパキスタンスターの2頭が激しく争いました。
今回のレースも4コーナーから直線、リードするビューティジェネレーションに追いすがるパキスタンスターという同じような様相でした。
ビューティジェネレーションはレース前の時点で現役マイラーでは世界一タイのレーティングでしたが、今回の勝利でさらに評価が上がれば、現役単独トップに立つ可能性があります。
ムーア師もそれを意識していて、
「まさにエクセレントなマイラーだよ。世界一のマイラーだ。今シーズンはまさに能力のピークを迎えているんだ。競馬を楽しんでいるように見えるし、レースにおいて何をすべきかを馬が完璧に理解している。だからこそ、世界一のマイラーたりえるんだけどね」
と、手放しで愛馬を褒め上げました。
ビューティジェネレーションはこの日のレースを完全に支配しました。メインスタンドの影法師が広くかかった最後の直線まで、後続に自分の影を踏ませずスタートからずっと先頭を走っての完勝。
それも、名だたるライバルたちを向こうに回し、ハンデ差もありながらなので立派な成績です。
そのライバルとは、前述のパキスタンスターに加え、タイムワープ、ウェルテル、シーズンズブルーム、シンガポールスリングとG1馬やG1の常連ばかり。
それらがひしめく馬群を尻目に、2着シンガポールスリングに半馬身差を付けて余裕の勝ち名乗り。
勝ち時計1分33秒07で、単勝2.1倍の人気に応えました。
「このハンデじゃ、文句はないよ。それに、2着はたったの117ポンドに過ぎなかったんだからね」
この勝利で、今シーズン初戦のG3セレブレーションカップ(1400m)からの連勝、さらに去年に続いて沙田トロフィーを連覇したビューティジェネレーション。騎乗したパートン騎手は、
「斤量が増えてより厳しい環境になったのに、これだけの完勝だからね。着差以上に収穫の多いレースだったと思うよ。12月の本番まで、この調子をキープしてほしいね」
と饒舌に話しました。
パートン騎手にとって、4コーナーまでのレース序盤に絡んできたタイムワープ(アービン・ング騎手)が非常に気になったようです。
外からプレッシャーをかけられ続け、馬群に飲まれるかもとよぎったようですが、
「まずは自分の仕事に集中しようと思ったんだ。リズムを崩さずに、馬の気持ちを遮らないようにね。ただ、タイムワープが常に絡んできてレースの間中ちっともリラックスできなかった。息を入れられなかったから、厳しい戦いだったよ。軽ハンデのシンガポールスリングが最後に差を詰めてきたでしょう?勝てるとは思っていたけれど、危なかったよ」
予定通り、ムーア師はビューティジェネレーションの次走をG2ジョッキークラブマイル、そして12月9日の香港マイルに進むと記者団に明かしました。
「いやぁ、タフな馬だよ。レース後も何事もなかったかのようにしているからね。馬格のある馬で反応もいい。パワフルだし、毛艶もいいしね。去年の再来も期待していいんじゃないかな」
さて、香港のマイルでは敵なしとなってくると、次に視野に入るのは海外遠征です。ムーア師も、
「現役では世界一のマイラーとなれば、当然海外遠征しなければいけないだろうね」
と前向きです。
「もちろん、オーナーの郭氏とそのご家族の判断を仰がなくてはいけないけれど、チャンスがあれば海外で腕試しをすべきだと進言するつもりだよ。具体的には、3月のドバイ、1800mのレース(G1ドバイターフ)かな」
と、遠征プランもあることを明らかにしました。
一方、2着に入ったシンガポールスリングは去年の4歳クラシック戦線のレベルの高さをある程度見せた形になりました。
トニー・ミラード厩舎の新星は去年のクラシック三冠のうち香港クラシックカップ(1800m)を制覇。
今回はチャド・スコフィールド騎手を背に、上り400mを22秒85の末脚でビューティジェネレーションに半馬身差まで差を詰めました。
「いい末脚だったよ。道中も気持ちよく走っていたし、ゴール前は最後までしっかりと伸びてくれた」
と、スコフィールド騎手も満足げに話しました。
また、末脚と言えば管理するジョン・ムーア調教師を興奮させた、3着イーグルウェイでしょう。
マシュー・チャドウィック騎手を鞍上に上がり400m22秒82の末脚で、香港ヴァーズに向けて良い仕上がりを見せました。
「もう一頭ウチから出していたイーグルウェイだけど、素晴らしいレースだったね!」
とこちらも大喜びで話すムーア師。続けて、
「次走はレディースパースを予定しているんだけど、ここはシルベストリ・デ・ソウサ騎手を予約してあるんだ。ウェルテルはレディースパースには向かわないからデ・ソウサ騎手が空くからね」
と、次走まで言及する上機嫌ぶりでした。
実力馬で言えば、4着にはパキスタンスターが入りました。
勝ち馬とは対照的に今シーズン初戦だったので、残り200mまでは追いすがっていたものの最後に力尽きました。
騎乗したカリス・ティータン騎手は、
「いいレースだったと思うよ。今回は休み明けだからね、ここで叩いて馬が変わってくるんじゃないかな」
と落ち着いて話していました。
1頭気になるのは、去年の香港カップ馬タイムワープが最後方の14着に沈んでしまったこと。
12月までに馬を立て直してディフェンディングチャンピオンとしてレースに臨めるのか、こちらは正念場を迎えています。
|
|
 |
|
|
 |
 |
 |
|
|
|