飯田コージ
1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。
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香港競馬通信
10月29日
香港競馬を長らく支え続けてきたトップジョッキーといえば、ダグラス・ホワイト騎手。
21世紀の初頭はホワイトを買えば間違いないというほどの信頼度で、毎年のようにリーディングジョッキーの座を占めてきました。
私などは絶対王者という印象だったのですが、最近は若手の台頭の中で地道に勝ちを重ねる姿が見られます。
ジョン・サイズ調教師とのコンビで数々の重賞も勝つ一方、サイズ厩舎の特徴ですが下級条件でも勝ち鞍を重ねてリーディングを獲るというスタイルで鳴らしていました。
そうして積み重ねた勝ち星が、昨日のハッピーバレーの昼開催でまた一つの節目を迎えました。
第9レース、汀九ハンデをグッドオーメンで制し、見事に香港通算1800勝をマークしたのです。

この日のハッピーバレー開催は年に一度の昼間開催。
普段は水曜日のナイター開催を行っているハッピーバレー競馬場がこの日は少しのんびりとした休日のムードに包まれます。
1800勝に王手をかけて臨んだこの日、ホワイト騎手には7鞍が予定されていました。
その中でいくつかのレースはチャンス濃厚と言われていましたが、残念ながらチャンスと目されていたレースでは2着が2つと勝ち星を挙げることができず、この汀九ハンデの人気薄、単勝10倍を超えるグッドオーメンで大台をマークすることになったのです。
かつては乗れば人気になるホワイト騎手だったので、少し時代の移り変わりを感じる記録達成でした。

「思いがけない形での記録達成だね。記録にリーチを掛けると、大概はしばらく足踏みするものだけど」
と茶目っ気たっぷりに語りました。

下馬した後のそんなコメントとは対照的に、レースでは非常に冷静な騎乗が光ったホワイト騎手。
「努めてポジティブに、そしてボクがこう乗りたいというよりも馬がどう動きたいかを意識して乗ったんだ」
とレース全体を振り返りました。勝ったグッドオーメンについては、
「この馬はボクにいろいろなことを教えてくれる。気性の難しい馬なんだけど、決してひねくれているわけではないんだ。というのはどういう意味かというと、いい枠を引いたからといって入着できると色気を持って道中好位に付けたりなんかすると、まぁそこそこ、クラス3か4程度の馬なんだけど、思い切って道中寝たフリ、馬のリズムで走らせると素晴らしい末脚を見せてくれるんだ。残り100m足らずでライバルの息の根止めるくらいのスゴい脚を繰り出すんだぜ」
と、解説してくれました。

ホワイト騎手はこれで15億香港ドル以上を稼ぎだし、1800勝となりました。
この通算勝利数は現役ではダントツで、2位に付けるザック・パートン騎手に900勝の差を付けています。
そして、ホワイト騎手は次の目標やプロとしての今後について、レースがすべて終了した後記者団の質問に答えました。
「1800mまで来たかな。10ハロン(2000m)のレースでね」
あくまでレースに例えるところが、常に馬第一主義の彼らしいところです。

「きっと今夜じっくり考えるんだろうね。実は今後についてはここ何日かちょっと考えていたんだけど、今回は素晴らしい節目の日になったけど、大目標はまだ先にあるんじゃないかな。とにかく、今日はこの馬で勝てたことが一番嬉しいよ。」

最後は、まだまだ現役という気概を見せました。
思えば、ホワイト騎手が香港で初めて勝利を挙げたのは1996/97年のシーズン。短期免許での騎乗でした。
クイーンエリザベス2世杯をロンドンニューズで勝って認められ、香港に移籍し本格的に乗るようになったのです。
「初勝利は運命みたいなものだったんじゃないかな。ここへ来るまで、いろんな期待があったし、同じだけ挑戦や競争があった。それらが何一つ欠けても今回の節目にはたどり着けなかったよ。もちろん、今後どうなるかは分からない。最後に墓に埋葬されるまで分からないね」
「常にベストを尽くさなかったら、ここではいい馬に乗ることもいいレースに乗ることもできない。あっという間に今いる立場を追われてしまうのさ。数多のトップジョッキーたちの栄枯盛衰をこれまで見てきたからね」
ここ数年はかつてのようなきらびやかな輝きが薄れてきたようにも見えるホワイト騎手。
目下今シーズン9勝でジョッキーランキング5位タイとなっています。
今狙うは12月のハッピーバレー競馬場で行われるジョッキーコンテスト、インターナショナルジョッキーズチャンピオンシップ。
キリの良い2000勝ではありませんでした。
これについては、
「何でって?ボクは健康だしまだまだ乗れる。競馬を楽しみたいじゃない」
と46歳となった名手は現役感バリバリに答えました。

グッドオーメンはイップ師にこの日2勝目をプレゼントしました。
この日は、第6レースでビクター・ウォン騎手騎乗のスターライトで勝っています。


 
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