議題 「ニッポン放送が伝えたイチロー選手、歴史への挑戦」
第279回番組審議会が10月19日に開催され、アメリカ・メジャー・リーグ「イチロー選手」による「年間安打新記録」達成の瞬間を伝えたニッポン放送の放送体制等について審議した。審議の冒頭、ニッポン放送は10年前に野茂英雄投手がメジャー入りした時以降、国内でのラジオ独占中継権を持っており、2001年にイチロー選手がマリナーズ入りしてからは、放送拠点を「シアトル」に置いてスポーツ部アナウンサーが常駐し、イチロー選手を追い続けてきたこと、そして昨年、松井秀喜選手がヤンキース入りしてからは、本拠地を「ニューヨーク」に移したこと、そのため西海岸の取材が手薄になり、スポーツ・ジャーナリストの木崎英夫氏に取材を委託したことなどが明らかにされた。その木崎氏は2年間、たった一人で「イチロー選手」を追い続け、ニッポン放送にリポートを送っていたことが報告された。
メジャーの情報については、ニッポン放送では今年も平日7本、土曜3本、日曜4本の「メジャー・リーグ情報」枠を作って、積極的に日本人選手の活躍ぶりを伝えてきたが、9月に入り、イチロー選手のメジャー年間安打数塗り替えという大記録達成が迫ってきた頃からは、殆どのメジャー情報を「イチロー選手大記録達成カウントダウン」に切り替えたこと、そして大記録達成まで残り1本に迫ってきた10月2日(現地時間10月1日)には、ニッポン放送では和田アキ子さんの番組でイチロー選手の打席を中継したことを紹介し、記録達成の瞬間の木崎氏の中継をテープで聞いた。
こうしたメジャー・リーグへの取り組みについて委員からは、イチロー選手の大記録達成を賞賛する声とともに、海外で活躍する日本人全般についての話題、さらに、こうした明るい話題がある一方でテロや悲惨な事件もあることを忘れてはならないなどの指摘があった。また中継した木崎氏は、アナウンサーではないことから、その中継ぶりを巡って「アナウンサー論」に話が及んだが、今回の木崎氏の中継は、2年間たった一人でイチロー選手を追い続けてきた結果であり、本人の「喋り」よりは、その「取材力」がもたらした中継、つまり、いわゆる野球中継ではない別の面で、説得力を持っていたと評価する委員の声もあった。最後にニッポン放送から、中継の難しさなどの課題を乗り越えて、今後も、より聞き応えのあるスポーツ中継を目指したいとの決意を述べ、第279回番組審議会を終了した。次回は11月16日に開催の予定。
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