2月15日
■雑草魂、メジャーへ〜上原浩治(オリオールズ)■
上原浩治は間違いなくメジャーリーグで活躍する。
その理由は第一に、彼の気の強さである。
新人ながら20勝目を挙げた1999年10月5日、神宮球場のヤクルト戦。
上原はペタジーニへの敬遠を指示されてマウンドで涙を流した。
松井秀喜がぺタジーニと1本差でホームラン王を争っていた。
松井は全ての打席で敬遠をされていた。
しかし上原はその年、ペタジーニをノーヒットに抑えていた。
もちろん、それまでの2打席も、である。
マウンドを蹴り上げ、涙をぬぐった上原はのちにこう言っていた。
「敬遠の経験はある。でも、やっていい敬遠とやってはいけない敬遠がある」。
プロの不条理にぶち当たり、やってはいけない敬遠の四球を投げる
上原のボールは速かった。意地だった。
ピッチャーはそれくらいの闘争心がないとやっていけない。

彼のキャッチフレーズ「雑草魂」も大学時代に芽生えたという。
東海大仰星高校ではエース・建山義紀(現日本ハム)の控え投手。
一年浪人して一般入試で大阪体育大学に入った。
野球だけで名門大学に入った奴には負けたくないという気持ちがあった。
大学では頭角を表し、全日本メンバーに選ばれた。そこで出会った
東京六大学の選手らは用具もメーカーから提供されていると聞いて
反骨精神が増した。「僕らは一個のボールだって新品を下ろしたら、
自分の名前を書いて一ヶ月くらい使う」「六大学の奴らに負けたくない」。
そうして大学球界ナンバー1になった。

日本のドラフトにかかる年、すでに彼は「メジャー志望」と言われていた。
エンゼルスに誘われており、巨人への入団条件に「数年後のメジャー移籍」が
含まれたとも噂されたが、しかし、ちゃんとFA取得の年数を全うしたところを
見るとそんな密約はなかったのだろう。
決して若くない。プロへは松坂大輔と同期入団だが、高卒と大卒の違いがある上、
大学入学前に浪人しているから5歳上。4月には34歳になる。
ポスティングの落札金額と年俸総額で1億ドルの男といわれた松坂に対して、
金融不況の折に入団する上原は2年契約で1000万ドル前後と見られる。
「雑草魂」の上原らしいメジャー入りである。

松井秀喜も「上原はメジャー向き」と太鼓判を押している。
上原の試合は球数が少ない。コントロールがよくてテンポがいい。
メジャーでは先発は100球を目処に交代させられる。
100球以内で5回以上を投げないと無失点でも勝ち星がつかないこともある。
上原はメジャーで先発要員として、十分やっていけるだろう。
ボルチモア・オリオールズは昨シーズン下位に低迷した。
先発投手陣が不足しており、上原は先発の二番手と見られている。
ローテーションを守っていけば12-13勝は堅いだろう。
内野ゴロを打たせて取るピッチングもできる。

オリオールズはアメリカン・リーグ東地区。松井のヤンキース、松坂・岡島ら
日本人4人のレッドソックス、岩村のレイズと、ブルージェイズ。
大変なリーグに入ってしまったがまったく可能性がないわけではない。
去年のレイズがワールドシリーズにまで行くなんて誰も予想しなかった。
ア・リーグ東地区はボストンとニューヨークで二議席は堅いと。
ボルチモアだって歯車がかみ合えばわからない。
万年Bクラスのチームで上原が反骨精神を見せて頑張ってくれるのを期待したい。
松井、岩村との対決。松坂との投げあいが楽しみだ。








 
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