『ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町』では、毎週、とっておきの映画をご紹介していますが、番組ではお伝えしきれない面白い映画も沢山あります。
そこで、『サンデー早起キネマ』で少しずつご紹介しています。
感動の韓国映画『いつか家族に』
原作は、中国の大ベストセラー、余華の『血を売る男』。
日本はもちろん世界中で翻訳・出版されていますが、この『いつか家族に』は国や時代背景を変えて映像化することが認められた唯一の作品なのです。
物語の舞台は、1953年、朝鮮戦争の終戦直後。
現場仕事で生計を立てるサムグァンは、現場でポップコーンを売るマドンナ・オンナンに一目ぼれ。彼女には羽振りのいい恋人がいると知りながらもプロポーズします。オンナンの父親を説得し、結ばれた2人。
利発な長男イルラクをはじめ3人の子宝にも恵まれ、貧しいながらも幸せに暮らしていましたが、11年間育てたイルラクが他人の子ではないかという噂が流れ始めます。
疑いを晴らすべく血液検査を受けさせてサムグァンでしたが、無情にも噂は真実でした。
その事実を受け入れられず荒んでいくサムグァンと、それでもサムグァンを父と慕い続けるイルラク…
そんなある日、イルラクが予期せぬ病に倒れ、田舎では治療はできないとソウルの病院に連れて行きます。その法外な治療費のため、サムグァンは自らの「血」を売りながらイルラクが入院するソウルを目指しますが…。
古き良き時代とよく言いますが、これは、古き辛き時代の片鱗が見えます。
終戦の混乱期にいろんな仕事で食いつなぎ、力強く生きている市井の人々の逞しさは眩しいほどですが、その反面、病気やほかの事情で過分なお金が必要になった時、どうやってお金を手に入れるのか…自分にできること、自分が持っているもの…を代えるしかありません。
戦後にそうやって頑張って来た人たちがいたからこそ、今の繁栄があるのだと思わずにはいられません。
俳優陣も素晴らしいです。
監督・主演は、名実ともに韓国の第一線で活躍するハ・ジョンウ。今年は日本でも『1987、ある戦いの真実』が公開されました。
美しく優しい母オンナンは、ドラマ「チェオクの剣」「奇皇后」「シークレットガーデン」などで日本でもファンが多いハ・ジウォン。息子のイルラク役はナム・ダルム。幼少期役などいろんなドラマに引っ張りだこ。今回も涙なしには見られないいい演技でした。
そうそう、ドラマ「コーヒープリンス1号店」や「宮~love in palace」など日本でもおなじみのユン・ウネも意外な役で登場します。最初は誰かわからなかったほど、新たな一面を見せてくれました。
原題は『ホ・サムグァン』主人公の名前ですが、日本ではとても素敵なタイトルをつけたなと思います。
家族とは血の繋がりが大切なのか?それとも?
『いつか家族に』…是非ご覧になってこのタイトルの素晴らしさを実感して頂きたいと思います。
『いつか家族に』12/22(土)シネマート新宿、シネマート心斎橋他でロードショー
監督:ハ・ジョンウ
出演:ハ・ジョンウ『1987、ある闘いの真実』、ハ・ジウォン『マンハント』、チョ・ジヌン『お嬢さん』、ユン・ウネ「コーヒープリンス1号店」
2015/韓国/韓国語/124分 原題허삼관 英題Chronicle of a Blood merchant 原作「血を売る男」余華(河出書房新社)
配給:ファインフィルムズ © 2015 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & DHUTA. All Rights Reserved