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2019年12月14日(15日)の放送では、前回に引き続き、車いすラグビーの今井友明(いまい・ともあき)選手をお迎えしてお送りしました。
中学3年生のとき、プールに飛び込んだ際にプールの底に頭を打って首の骨を折り、車いす生活となった今井選手。
その後、陸上競技や、腕にも障がいがある人ができるように日本で考案されたツインバスケットボールに励みます。
今から10年程前、ツインバスケットボールをやっていた時にチームメイトだった官野一彦選手(※現在は、官野選手も車いすラグビーの選手として活躍されています)に誘われ、車いすラグビーを始めることになりました。
車いすラグビーでは障がいの程度や体幹などの機能により、「0.5」から0.5点刻みで「3.5」まで、7つのクラスに分かれています。(※数字が小さいほど障がいが重い)
今井選手は2番目に障がいが重い「1.0」クラス、”ローポインター”と呼ばれる選手です。
とくに守備において欠かすことができない、このローポインターの役割について伺いました。
「”ハイポインター”と呼ばれる、点数が高い・障がいが軽い選手たちが、ボールを持ってゴールまで進む間に、相手選手が(ボールを奪おうと)タックルしてくるんです。それをブロックしたり、ゴールまでの道筋を作ったりする、裏方のような縁の下の力持ちです。トライすることは少ないので、目立つシーンが少なくて、最初は嫌だな、つまんないなって思っていました(笑)でも、もともと裏で支えることも好きだったので、自分たちがいないとゴールまで行けないというような、そんなプレーがわかってくるにつれてだんだんその面白さがわかってきました」
車いすラグビーを体験したことがある鈴木亮平さん。
「ローポインターの動きを見られるようになってくると、俄然、面白くなってきますよ!」と玄人発言。
10月に行われた国際大会を観戦した際にも「今、ゴールに行けたのはあそこでローポインターのあの選手が止めてたからなんだよ」と友人に説明していたそうで、その話を聞いた今井選手は、「それ、どんどん広めてください!(笑) ローポインターは試合中、献身的に動いているので、裏方でがんばっているというのを見てもらえると僕たちもちょっと救われます」と、とてもうれしそうでした。
今井選手は、2013年に初めて日本代表に選ばれ、2016年のリオパラリンピックでは日本の車いすラグビー史上初の銅メダルに輝きました。そして、昨年には、4年に一度開催される世界選手権で優勝し、世界チャンピオンになりました。
これまで出場したなかで特に印象に残っている試合は、リオパラリンピックの3位決定戦だと話す今井選手。
「初めてパラリンピックのメダルを手に入れましたが、私たちは銅メダルではなくて金メダルを目指していました。準決勝で負けてしまって、金メダルには届かなかった。でも、今できる最低限の最高の結果を求めるため、3位決定戦で勝ってメダルを持って帰ろうという気持ちで、チーム一丸となってメダルを獲りに行き、銅メダルを獲得することができました。メダルを獲ったことはすごく嬉しかったのですが、そのあとすぐに金メダルを獲れなかったという悔しさが残りました。そういう嬉しさや悔しさ…いろいろな感情が混ざった試合だったなというのがリオの3位決定戦でした」
そうして、その翌年には、世界選手権で優勝した日本。
「世界一を獲れたというのはすごく自信にもなりましたし、うれしかったです。でもやっぱり、自分個人で考えるとプレータイムもそんなに長くなかったということもあって、そこでもやっぱり悔しさが残りました」
その世界選手権の後、日本代表のチームメイトでもある池崎大輔選手と準備を進め、2019年4月に東京で車いすラグビーの新チーム「TOKYO SUNS」を結成しました。
「日本代表にも少しずつ若手の選手が入ってきていますが、日本全体のレベルアップということを含めて若手の育成をしたいという思いを池崎選手と持ちました。若手の実力を上げることが日本の底上げにもなるという気持ちが一致してこのチームを立ち上げました」
8名の選手のうち日本代表候補選手が半数を占め、ニュージーランド代表のハイポインターが所属するTOKYO SUNSは、日本選手権の予選で全勝し、本大会・優勝候補の一角として存在感を示しました。
「このまま全勝して初年度から優勝というところを目指したいです。そして、優勝という結果だけではなく過程も大事にして、選手それぞれのレベルアップを図っていきたいと思っています」と、日本選手権への意気込みを語っていた今井選手。
その言葉通り、12月に開催された日本選手権では圧倒的な強さを見せ、見事、全勝優勝を果たしました!
新チーム結成に込めた、日本車いすラグビー界への思い。
一人ひとりの思いが、日本を強くしていきます。
今井選手の今後の活躍、そして、東京パラリンピックで悲願の金メダル獲得を目指す、車いすラグビー日本代表の活躍に期待しましょう!!
最後に、上をめざして進もうとする方に伝えたい“Going Upな一言”を伺いました。
『挑戦』
「満足したらそこで終わり。常に挑戦、チャレンジというのを意識しながら、自分の力を上げてチーム力も上げていきたい」という思いが込められた言葉です。
今井友明選手のリクエスト曲:終わりなき旅 / Mr.Children
高ければ高い壁の方が上ったときに気持ちいいものだというフレーズが心に響いて、練習の時や大会の試合前に聞いている曲だということです。
2019年12月7日(8日)では、車いすラグビーの今井友明(いまい・ともあき)選手をゲストにお迎えしました。
鈴木亮平さんがパラリンピック競技に挑戦する動画「鈴木亮平の熱血!パラリンピックスポーツチャレンジ」の車いすラグビー篇で共演したおふたり。
今井選手は「まだまだ走りこみが足りないですね〜(笑)」としながらも「車いすラグビーのセンスがある!指示を出したら的確に動くし、パスのセンスもある」とお褒めの言葉。
まだ見ていないというみなさん!ぜひ、こちらのホームページからアクセスしてみてください!
さて、車いすラグビーといえば、10月16日~20日に東京体育館で開催された「車いすラグビーワールドチャレンジ2019」。
日本がラグビーワールドカップで盛り上がるなか、”もうひとつのラグビー世界大会”として話題を呼んだ今大会では、日本を含む世界ランキング10位以内の強豪・8カ国が世界一の座をかけて連日熱い戦いを繰り広げました。
日本は、予選リーグ3戦全勝と好スタートを切りましたが、準決勝で因縁のライバル・オーストラリアに惜しくも1点差で敗れ3位決定戦へ。
予選リーグに続き2度目の対戦となったイギリスに勝ち、銅メダルを獲得しました!
守備に加え、得点力も光った今井選手は、このように大会を振り返りました。
「結果として3位でメダルを獲れたということはうれしかったです。でもその喜びはほんの一瞬で、僕たちが目指していたのは金メダルだったので、その悔しさが湧いてきました。次に向けて自分たちの実力を上げて行くしかない、チーム力を上げていくしかないと気持ちを切り替えています」
今大会でとても印象に残っているのが、ホームの大応援団。
5日間でのべ3万人を超える観客が訪れ、選手の名前を呼んだり、JAPANと書かれた赤い応援ボードを揺らしながら応援する姿がありました。
今井選手もコートで戦いながら、応援の力を感じたと話します。
「今までに感じたことがないくらいの大声援で、コート上の(選手同士の)声が通らないくらい大きな声援でしたが、すごくそれがパワーになりました。プレッシャーにもなりますが、そのプレッシャーも僕たちのパワーに変えるくらいの気持ちで、どんどん来年のオリンピック・パラリンピックに向けて力を蓄えて、金メダルに進めるようにもっともっと努力していきたいなと思いました」
東京2020パラリンピックでは、金メダル獲得を目指す車いすラグビー日本代表。
本番で金メダルを獲るため、勝利のカギとなるものとは?
「必要なのは、チーム力を上げるための強い”闘争心”。今までの日本チームというのは受け身で、相手に対してどう対応するかということを考えてばかりいました。自分たちのラグビーに対して相手のプレーをさせないというのも大事ですが、自分たちのプレーをいかにするかというところで、闘争心をむき出しにして自分たちにボールが来るように、運もつかみとれるくらいの闘争心で頑張らなければいけないと感じています」
パラリンピック本番まで、残り8ヶ月。
たくさんの勇気と感動を与えてくれた、車いすラグビー日本代表の活躍に期待しましょう!
今井友明選手のリクエスト曲:Goal / JILLE
車いすラグビー日本代表の応援ソング。「車いすラグビーワールドチャレンジ」の大会期間中、自分たちの背中を押してくれた一曲だということです。
今回も、車いすバスケットボール女子日本代表キャプテンの藤井郁美(ふじい・いくみ)選手をゲストにお迎えしてお送りしました。
女子日本代表といえば、8月末~9月初に東京で開催されたオーストラリアとの国際強化試合が記憶に新しいですが、最終日に会場で観戦した鈴木さんが特に印象に残っているのは、第4Q終盤での大逆転劇。
そこで、強いメンタルでチームを勝利に導いたのが、藤井郁美選手でした。
日本の1点ビハインドで迎えた場面。フリースローに臨むのは藤井選手。
(自分が決めるんだ。絶対、大丈夫!)
いつもは無心でボールを打つそうですが、その日はそんな考えが頭を巡り、珍しく手が震えたといいます。
「今のチームに必要なのは”勝つ”という経験。若い後輩たちを勝たせてあげたい」
その強い思いで、見事にフリースローを2本とも決めてみせ、日本が逆転。
しかしその後、オーストラリアに得点され逆転を許します。
残り4秒、日本ボール。
サイドラインからのボールを受け取ったのは藤井選手。
藤井選手が思い切り放ったボールはネットを揺らし日本が逆転!
キャプテン自らがプレーで引っ張り、59ー58で日本が勝ち切りました!
そのラストシーンには、女子日本代表・岩佐義明(いわさ・よしあき)HCとの信頼関係がありました。
試合後、岩佐HCは「藤井のシュート力、フィニッシュの精度はこれまでの信頼関係からわかっていたので、絶対に入れてくれると思いました。もし仮にそれで勝つことができなければ、もう一度反省して、もう一度練習すればいいと思っていました」と当時の心境を明かしました。
岩佐HCは長年にわたり藤井選手が所属するクラブチーム・宮城MAXの監督を務めていたこともあり、その師弟関係は10年以上に及びます。
藤井選手は岩佐HCについてこう語ります。
「仙台の父というか、もう一人のお父さんという感じなんです。12年前、仙台に何の伝手もなく来た時も、監督の家で過ごしたりご飯食べさせてもらったりと、公私ともに面倒をみてもらいました。(乳がんの手術をした後の)北京での世界選手権予選の前も、ずっと練習に付き合ってくれました。私の全てを分かっているというか、わかられているというか、岩佐監督も多分私のことを、しょうがない娘のように思ってくれていると思います」
現在、車いすバスケットボール日本代表は、11月29日にタイで開幕した「2019アジアオセアニアチャンピオンシップス」に出場しています。
この大会は、東京2020パラリンピックの予選会を兼ねた大会で、日本はすでに開催国枠としてパラリンピック出場が決まっていますが、チームにとって、とても重要な大会となります。
大会に向け出発する前、藤井選手に意気込みを伺いました。
「日本は開催国枠として東京パラリンピックの出場権は得ていますが、今回の予選会で必ず、中国とオーストラリアに勝って優勝するというのを目標に掲げています。中国は昨年の世界選手権・4位のチーム。中国を倒さないと東京でのメダル獲得というのは難しいので、しっかりと中国に勝ち切るという強い気持ちを持って臨みたいと思います」
そして、その先にある東京パラリンピックにも強い思いを抱いています。
「プレーヤーとして集大成になる大会だと思いますし、次の世代につなげるためにも、しっかりと結果を残して、戦い抜きたいと思っています」
最後に、上を目指して進もうとする方に伝えたい“Going Upな一言”を伺いました。
『自分の感覚に正直に生きる』
何か悩んだ時、困難にぶち当たった時、常に自分はどうしたいんだと問いかけるという藤井選手。それを考えた時の感覚に逆らわず正直に来て、それで後悔していることは一つもないといいます。「上を目指すならば、自分の感覚に正直に生きてもらえれば」そんな思いが込められた言葉です。
藤井郁美選手のリクエスト曲:くるみ / Mr.Children
仙台に行こうかどうしようかと悩んでいる時に聞いていたという曲。希望に満ち溢れている自分もいるし、すごく不安で怖い自分もいたりする。そんな当時の気持ちを代弁してくれているような曲だそうです。
次回は、車いすラグビーの今井友明選手をゲストにお迎えしてお送りします。
どうぞ、お楽しみに!