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7月25日(26日)の放送では、前回に引き続き、カヌーの瀬立モニカ(せりゅう・もにか)選手と電話をつないでお話を伺いました。
瀬立選手は、昨年8月に開催された世界選手権でカヤック種目5位入賞を果たし、東京2020パラリンピックの出場権を獲得しました。
目標はメダル獲得、最低でも東京パラリンピックの出場権を獲得することを目指し臨んだこの大会。
パラリンピック競技のカヌーは200mの直線コースを誰が一番速く漕ぎ切れるかを競いますが、スタートダッシュが得意の瀬立選手は、スタートで一気に前に出て、中盤ではスピードを維持したまま軽くパドルを漕ぎ、ラストに向かう、というレースプランで挑みました。
「最後までとにかく漕ぎ切ることだけを意識して、自分のレーンだけに集中して漕ぎました」
レース中は周りの選手を見る余裕は全くなく、自分が何位でゴールしたのかは掲示板を見ないとわからないのだそうです。
5位入賞によりパラリンピックへの切符を掴むことができましたが、この結果に決して満足はしていません。上位にいる選手たちのさらに上に行くために、新たな課題に取り組んでいます。
「もっともっと効率の良い水の掻き方だったり、パドルを掻くうえで軌道にムラがないかというところをしっかり動画で分析をして、最短で効率よく水を掻ける軌道を目指して、今、修正しています」
それでも、パラリンピック初出場となった4年前のリオ大会のときと比べると、大きな成長を感じています。
「4年前のリオ大会のときはアスリートとしても未熟な段階で、競技者としての心構えもまだまだでしたが、今はアスリートとしての心構えといった気持ちの部分でも大きく成長したと思います」
2年前の出演時には「常に前向き」という言葉を“Going Upな一言”として紹介していただきましたが、現在はそこに「時々、振り返る」という一言が付け加えられたといいます。
「自分の良い点や悪い点をしっかり振り返ることが、『常に前向き』でいることを支えるひとつになる」と、その理由を語りました。
昨年9月には、東京2020大会のテストイベントが本番の会場である「海の森水上競技場」で行われました。
海外の選手も出場して行われたレースで瀬立選手は3位。メダルを獲得したことで「とてもいいイメージの会場」として刻まれました。
「海の森水上競技場」は東京2020大会に向けて新設された競技場ですが、その印象はどうだったのでしょうか?
「ほかの会場と比べるととてもコンパクトです。観客席とコースがとても近いので、観客の声が聞こえやすいという良いところがあります。あとは、魚がすごく飛んでいて“活きのいい”会場です(笑)」
この“活きのいい会場”という答えには、鈴木亮平さんもびっくり!
「ほかの会場で魚が飛んでいるのを見たことはほとんどないですが、東京はやたらめったら飛んでいます。魚がもしも体やパドルに当たってしまうと一気にバランスが崩れてしまうので、うまくよけながら、当たらないことを願いながら行くしかないですね。カヤックの中に入ってきたらバタバタしたり、匂いも強烈なので、選手としては入ってきてほしくないです(笑)」と茶目っ気たっぷりに競技場の特徴を教えてくれました。
最後に、東京2020パラリンピックに向けての意気込みを伺いました。
「地元の江東区で金メダルを獲ることが、今、私の一番のモチベーションであり、生きる目標になっています!」
★瀬立選手情報★
◆6月24日、自身の半生を描いた自伝本「パラアスリートの折れないココロのつくりかた」を出版。
「人生を歩んでいたら良いことも悪いこともありますが、自分の捉え方次第で前向きに、自分にとってより良いものに変えていけると思っています。落ち込んでいる人とかに読んで頂ければと思います」と、リスナーの方々にメッセージをいただきました。
瀬立選手の言葉が綴られたこの一冊、ぜひ手にとってみてはいかがでしょうか?
◆瀬立選手の人生にヒントを得て作られた映画「水上のフライト」公開。
(新型コロナウイルスの影響により公開が延期されていましたが、先日、11月13日に公開されることが発表されました!)
ストーリーは実話とは違う内容ですが、カヌーの魅力がたっぷりと描かれた作品となっています。
「カヌーはマイナーな競技なので、映画として取り上げていただけるのはかなりうれしかったです!」と話す瀬立選手。公開が待ち遠しいですね。
次回のゲストは、陸上・走り高跳びの鈴木徹選手です。
どうぞ、お楽しみに!
瀬立モニカ選手のリクエスト曲: Shape of You / Ed Sheeran(エド・シーラン)
昨年の世界選手権では、パドルを回すピッチ(速さ、テンポ)を96と決めていたという瀬立選手。その96のテンポの音楽がこの曲。ウォーミングアップ中にずっと聴いて体に染み込ませ、動揺しても何をしてもこのエド・シーランのテンポに合わせてパドルを漕ぐことで5位という成績を収めることができ、思い出の一曲になったそうです。
7月18日(19日)の放送では、カヌーの瀬立モニカ(せりゅう・もにか)選手と電話をつないでお話を伺いました。
Going Upには2018年の春以来、約2年ぶりのご出演となりました。
新型コロナウイルスによる練習への影響はありましたが、先月から水上での練習も再開し、今は「100%トレーニングができている」といいます。
現在は、カヌーの強化拠点となっている石川県小松市でトレーニングをしているそうです。
瀬立選手は、昨年8月にハンガリーで開催された世界選手権で「カヤック」種目5位入賞、浮き具付きのカヌーを使って行われる「ヴァー」種目では金メダルを獲得!
この結果により東京2020パラリンピックへの切符を手にしました。
(瀬立選手が参加するクラスは、東京大会でカヤック種目のみ行われます)
地元・東京で開催されるパラリンピックに向けて準備を進めるなか、東京2020オリンピック・パラリンピックの延期が発表されました。
「大会の延期が決まった直後は、やったー!金メダルに近づけるチャンスが増えた!と前向きに捉えていましたが、そこから2週間ぐらいしてワールドカップや各地の大会が中止になったり、練習ができなくなっていったりという現実に直面して、モチベーションを維持するのが大変でした」
それでも、前に進んでゆく強さを持つのが、瀬立モニカというアスリートです。
「私たちアスリートは目標を持ってそこに進んでいくというのが仕事です。何か特別なきっかけがあったわけではありませんが、ひとつ目標を見つけてそこに向かって行くということを繰り返していくうちに自然と来年の東京パラリンピックに目標を定めることができ、よりイメージがしやすくなったことでモチベーションも同時に上がっていきました」
外出自粛期間には大好きなジグソーパズルをやっていたそうで、どんどんとレベルは上がっていき、しまいには絵のない無地のパズルにチャレンジしたそうです。
「ピースをはめることで、自分のやってきたことが形として現れるのがパズルの魅力」だと語り、集中力や忍耐力も高められたといいます。
競技では、前回出演した2年前と比べ、大きくパワーアップしていました。
とくに手応えを感じているのは「水の上でのテクニック」。
カヌーはパドルを回して進みますが、いかに体重をパドルにかけて水を捉えられるかが推進力を生むうえで大事だといいます。
この2年の間に、1回のパドルで掻ける水の量と進める距離が確実に上がったと話しました。
また、筋力も2年前と比べると「180度変わった」と語り、トレーニングや食事の管理により使える筋肉を増やし、使えない脂肪は減らしたことで肉体改造されたと言います。
そんな中、昨年末からは沖縄で長期合宿を行いました。
東京2020パラリンピックのカヌー会場である「海の森水上競技場」が海水であることから、より本番に近い環境で練習ができるように、海水のほか風の向きなどのコンディションが会場と似ている沖縄・大宜味村にある塩屋湾でトレーニングすることを決めました。
海水と淡水では浮力が違うため、水を捉える感覚や艇の上のバランスもだいぶ変わってくるそうです。
人口3000人程の大宜味村は「長寿の村」として知られ、思いやりや助け合いの心を意味する「ゆい(結い)」という言葉を大切にしており、瀬立選手たちが合宿で訪れたときには、とても温かく迎え入れてくれたそうです。
練習場からすぐの所にあるペンションのオーナーは近所の方と協力して、車いすの瀬立選手のために、階段しかなかった入口に手作りのスロープを作り、合宿所として使えるようにしてくれたといいます。
村民の方々のたくさんの愛情とサポートにより、充実した合宿生活が送れたようです。
最後に、1年後の本番に向けて、意気込みを語っていただきました。
「まだまだ伸びしろがたくさんあるので、もっともっと細かい部分を詰めて、より金メダルに近づけるように、やり残したことがないように、精一杯がんばっていきたいと思います!」
次回も瀬立モニカ選手にお話を伺います。
どうぞ、お楽しみに!
瀬立モニカ選手のリクエスト曲:雲の向こう / 井手綾香
すごくメロディーが好きで、練習の前に必ずかける一曲だということです。
7月11日(12日)の放送では、前回に引き続き、車いすテニスの船水梓緒里(ふなみず・しおり)選手と電話をつないでお話を伺いました。
現在19歳の船水選手。
2018年には日本人で唯一世界ジュニアマスターズに出場し、シングルス準優勝、ダブルス優勝を果たすなど、ジュニア時代から活躍しています。
今ではシニアの大会に出場していますが、試合の中でジュニアとの違いを感じることもあると話します。
「ジュニアの選手は一回メンタルが崩れるとそのままバタバタと試合が進んでしまうことがありましたが、シニアの選手はセット間で気持ちを入れ替えてきて、自分がリードしていても全く油断できないところがあります。それと、海外の選手は感情表現がすごいので、そこで圧倒されないようにしています」
パラリンピック出場に向けてはメンタルの強化が必要だと感じている船水選手ですが、一方で、フィジカルにおいては筋力がだいぶ増えたといい、「高校生のときに着られていた服はもう全然着られない」ほどだそうです。
学生アスリートの今は、競技と勉強の両立にも励んでいます。
公欠制度があった高校時代と比べると大会に行くことが難しくなったそうですが、夏休みは高校生のときより長くなったため、期末テストが終わるとすぐ海外に行って大会を回るなど工夫をしています。
パラリンピックの出場権を手にするためには、大会に出場してより多くのポイントを獲得する必要があるので「(大会に出られないことが)正直、不利になってしまって嫌だなとネガティブな気持ちになることもある」と言いますが、「知識を身につけたいと思って自分は大学進学を選んだので、『競技と大学生活を両立しているのは自分くらいだろう』という気持ちでがんばっています」と強い信念をのぞかせました。
鈴木亮平さんも「そういうことが自信になったりメンタルの強さにもつながる!」とエールを送りました。
東京2020パラリンピック出場に向けての自身の現在地については、「あともう一歩」と話す船水選手。
「最後まであきらめず、やり抜きたいです!」と頼もしく意気込みを語りました。
次回のゲストは、カヌーの瀬立モニカ選手です。
どうぞ、お楽しみに!
船水梓緒里選手のリクエスト曲:ECHO / Little Glee Monster
大学の部活で、大会前に士気を高めるため、自分たちが今までやってきたことを動画にまとめて作ったというモチベーションビデオ。そのテーマソングとして使われていたのがこの曲。部員のみんなとがんばる!という気持ちで、船水選手自身も試合の前によく聴く一曲だということです。