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9月5日(6日)も前回に引き続き、世界ゆるスポーツ協会代表の澤田智洋(さわだ・ともひろ)さんにご出演いただきました。
今回も、ゆるスポーツの“競技”の話で盛り上がりましたが、昨年9月、ゆるスポーツは海を越え、バルト三国のひとつ、エストニアで普及活動が行われました。
言葉の壁を簡単に越えてしまうスポーツは、すぐに受け入れられたそうです。
スポーツで“ふざける”(遊ぶ)というアイデアは「日本らしい」と言われたといい、「こういう発想もあるんだね」「この競技なら私も得意かもしれない」と、評判は上々だったということです。
“ゆる”活動はスポーツに留まらず、昨年には「世界ゆるミュージック協会」を設立。
実は大人になってスポーツをやっていない人以上に、楽器に触れていない人の割合は高く、成人した日本人の90%が楽器を演奏してないといいます。
LGBTQや障がい者、スポーツ弱者に音楽弱者…隠れたマイノリティーは世界にまだまだいて、「僕がやっている“ゆる活動”というのは、隠れたマイノリティーを顕在化させて、その弱者の方でも好きになれるものを作ること」だと澤田さんは語ります。
ゆるスポーツを作るのと同じような発想で、楽器が苦手な人や過去にピアノ教室で傷ついた人でも安心して演奏できる楽器を、すでに8つくらい開発しました。
たとえば、「Type Player(タイププレイヤー)」という楽器。
一見ピアノかなと思いますが、よく見ると鍵盤がパソコンのキーボードになっています。
楽器を弾いたり吹いたりする時に高いハードルとして立ちはだかるのが「楽譜」だという点に目をつけ、このタイププレイヤーで楽譜となるのは五線譜ではなく文字列です。
すると、初見でもなんとなく打てて(弾けて)、速弾きも可能になります。
この楽器では「毎日パソコンをカチカチやっている方や一生懸命働いていっぱい書類作っている方…そういう方が勇者になれる」と素敵な特徴を教えてもらいました。
さて、ゆるスポーツに話を戻しましょう。
ゆるスポーツとパラスポーツ。
障がいのある方も楽しめるスポーツという点では共通点もありますが、ゆるスポーツから見たパラスポーツというのはどういう存在なのでしょうか?
「僕らは、ゆるスポーツを“ポップスポーツ”と言っていて、スポーツといろいろな人の接点を作るのが目的です。一方でパラスポーツは、より高みを目指し、成長を貪欲に追求する“トップスポーツ”です。スポーツは裾野を広げる“ポップ”とより高みを目指す“トップ”、両方が大事だと思っています。両方揃ってスポーツという山は裾野が広く山頂が高くなっていくので、パラスポーツはトップスポーツとしてもっともっとメジャーになって欲しいし、そこからスター選手や1億円プレーヤーが出てくると、日本のスポーツがもっと盛り上がると期待しています」
思いもよらなかった発想で楽しいものを生み出す様々な活動を通して、澤田さんが目指すビジョンとは?
「目指しているのはガチガチな世界を緩めるということです。なんか息苦しいなとか、窮屈だなと感じている方も多いと思うのですが、これはある意味、社会全体が凝っている状態ですよね。なので、そんな社会をもみほぐしたいというか、社会をマッサージして緩めることによって、みんながほっとできる空気感や新しい流れを生んで、誰もがほっとしながらも活躍できるような社会を作りたいと思っています」
最後に、上をめざして進もうとする方に伝えたい“Going Up”な一言”を伺いました。
『社会はいつだって未完成』
社会はサグラダファミリアみたいに常に建設中のような状態だと考える澤田さん。
完成されていないからこそどんどん社会を作るというプロセスに加担し、自分たちが住みやすい社会を自分たちで作ろう、そんなメッセージが込められています。
澤田智洋さんのリクエスト曲:Sing, Sing, Sing / Benny Goodman
ジャズの名手、ベニー・グッドマン。彼が活躍した20世期前半、ビッグバンドは人種が分けられていたそうです。そんな中、演奏が上手い人を優先しようというシンプルな基準で人種がミックスしたビッグバンドを結成したグッドマン。澤田さんはそれをダイバーシティーのはしりだと思う、と話していました。
8月29日(30日)のゲストは、世界ゆるスポーツ協会代表の澤田智洋(さわだ・ともひろ)さんでした。
“ゆるスポーツ”は、澤田さんたちが考えて造った言葉で、年齢や性別、運動の得意・不得意、障がいのあるなしに関係なく、みんなが笑いながら楽しめるスポーツです。
誰もが楽しめる新しいスポーツをどんどん生み出している「世界ゆるスポーツ協会」。
協会が設立されてからこれまでの5年間で、80ほどの競技を創ったといいます。
そこに至るまでにはなんと約2万アイデアも出され、その中から200案くらいを検討し、最終的に残ったのがこの80個ということです。
考え抜かれた“競技”はどれも魅力的で、鈴木さんも興味津々!
その中から、いくつかの競技を紹介していただきました。
まずは、「ベビーバスケ」。
センサーが入った特殊なボールを使って行いますが、激しくボールを扱うとボールが赤ちゃんのように「え~ん」と泣くようになっています。ボールが泣いたら相手側のボールになる、というのが基本ルールです。
泣かさないようにそっとパスを繋ぎ、最後にゴール…ではなく「シッター」というプレーヤーが持っているゆりかごにそっとボールを置けたら2ポイントベビー(2点)!
反則プレーも「子煩悩」(ボールを持って4歩以上歩くこと)、「過保護」(3秒以上ボールを持ち続けること)など、とてもユニークです。
「Bリーグの選手たちにどうやったら一般人が勝てるかという発想で考えた」というベビーバスケ。
ドリブルやダンクシュートといったバスケットボール選手の得意技を全部封じようと論理的に考えた結果、ボールを赤ちゃんにしよう!というにアイデアが浮かんだそうです。
「僕らが新しいスポーツを創るときには既存スポーツの価値基準の逆をいく」と話す澤田さん。
既存のスポーツでは速い人が活躍して褒められますが、このベビーバスケではその逆。「優しさや母性がある方が勝ち」だと、とっておきのコツを伝授していただきました。
続いて、「IMOMUSHI RUGBY」。
“イモムシウェア”と呼ばれる、絵本の「はらぺこあおむし」みたいな着ぐるみを全員が着て、ごろごろ寝転がって行うラグビーです。
この競技のヒントとなったのが、パラアイスホッケーのパラリンピックメダリスト・上原大祐(うえはら・だいすけ)さんの、ある得意な動きでした。
車いすユーザーである上原さんのお宅に遊びに行った時、上原さんは車いすを玄関に置いて、家では這って生活していました。車いすのタイヤは地面に直接触れるので汚れているためです。
その這う動作があまりにも速くて「空を飛ばないスパイダーマンみたいな動き」だったそうです。
そこで「這う動作が生きるスポーツってあるの?」と上原さんに聞いた澤田さん。
「ない」という答えに、だったら創ってしまえばいい!と思い立ったと話します。
障がいのある彼が僕ら健常者と言われている人たちより強いんじゃないか、そんな仮説を持ち開発されたのが「IMOMUSHI RUGBY」でした。
全員足が使えないこの競技では、上原さんのように車いすユーザーで日頃這って生活をしている人が俄然速く、健常者をなぎ倒していく。
そうすると、車いすユーザに対する見方も変わっていく。「ちょっとだけかわいそうな人」から「ボコボコにされた強いやつ」というように。
そうして、直感的に障がい者理解が進むと語ります。
世界ゆるスポーツ協会では、このようなスポーツもたくさん創り出しています。
数ある競技の中で、鈴木さんがやってみたい!と声を弾ませたのが「ブラックホール卓球」。
このブラックホール卓球では、なんとラケットの真ん中に穴が開いています(笑)
実は、澤田さんの得意な競技でもあり、オリンピックに出場した卓球選手に勝ったこともあるそうです。
また、一度も健常者にスポーツで勝ったことのない車いすユーザーが、なんのハンデもつけずに戦って勝ったこともあると言います。
ボールが穴を抜けてしまうと“空振り”となりますが、「その姿が美しんですよ、ブラックホールに吸い込まれるみたいで!」と力を込める澤田さん。
その時は、敵味方関係なく「ナイスホール!」と称えるのがルール。
ミスしたのに褒められるというのがこの競技の大きな特徴で、「スポーツが苦手な人はミスするのが恐いので、恐怖心を取り除くために褒めポイントを入れるようにした」という、開発時のこだわりを教えていただきました。
コロナ禍によってゆるスポーツのイベント開催が難しい今は、オンラインで楽しむことができる「ARゆるスポーツ」の開発も進められていて、顔だけでプレーできる競技も多く揃っています。
興味のある方、ぜひ一度「世界ゆるスポーツ協会」のウェブサイトをご覧になってみてはいかがでしょうか?
次回も、澤田智洋さんをゲストにお迎えしてお送りします。
どうぞ、お楽しみに!
澤田智洋さんのリクエスト曲:Care / beabadoobee(ビーバドゥービー)
今イギリスでブレイクしているという、フィリピン出身のシンガーソングライター・ビーバドゥービー。今の時代やフットワークの軽さを象徴しているようで澤田さんもお気に入りの一曲だということです。
8月22日(23日)の放送では、前回に引き続き、ブラインドサッカーの増田周平(ますだ・しゅうへい)選手にリモート出演して頂きました。
7年前、大学1年生のときにブラインドサッカーを始めた増田選手は、2018年から「ブラインドサッカーナショナルトレセン」に選抜されています。
ナショナルトレセンとは、2024年のパラリンピック・パリ大会で金メダル獲得を目指す次世代の強化指定選手で、20代の選手を中心に全国のクラブチームから現在11名の選手たちが参加しているといいます。
さらに「ユーストレセン」(小学生、中学生の若い世代が参加)もあり、未来に向け競技力向上に努めています。
ナショナルトレセンでは国内合宿のほか海外遠征も行っており、増田選手はドイツに遠征したときのエピソードを語ってくれました。
貴重な機会となった海外チームとの試合では、攻め方の違いを知ったと話します。
パスをあまり出さずにオフェンスをし、ディフェンスのときにはフィールドプレーヤーがまとまって動く、そういう攻め方もあるんだと学んだそうです。
また、ブラインドサッカー専用コートが常設されていて「すごくいいな」と感じ、練習環境の違いを知ることにもなりました。
ナショナルトレセンでともに汗を流す仲間を「ライバル」だと話す増田選手。
一緒にトレーニングをするなかでそれぞれの練習方法やプレースタイルを学び、海外の選手と戦うときに生かしていきたいと意気込みを語りました。
仕事では、日本ブラインドサッカー協会の職員として、学校や企業での競技紹介や、ブラインドサッカーを通じたコミュニケーションの大切さを伝える活動など、普及活動に取り組んでいます。
来年行われる東京2020パラリンピックについては、「やっぱり出たかった」と率直な心境を語ったうえで、「海外チームや日本代表の選手を純粋に応援したい」、そして「次に生かすために海外の選手たちのプレーをしっかり見たい」と話しました。
見据える先は、パラリンピックの金メダル。
「日本代表として活躍する川村怜選手のようなオフェンス、佐々木ロベルト泉選手のようなディフェンスを身につけて、両方生かせる選手になりたいと思っています!」と力強く目標を語りました。
最後に、上をめざして進もうとする方に伝えたい“Going Upな一言”を伺いました。
『人生楽しく生きよう!』
視覚障がい者としてネガティブなことばかり考えていても全然楽しくない。楽しく過ごした方が自分のためにもなるし、いろいろな人との関わりもできてくる。そのような考えから、この言葉を常に心にとめているということです。
次回のゲストは、世界ゆるスポーツ協会代表の澤田智洋さんです。
どうぞ、お楽しみに!
増田周平選手のリクエスト曲:StaRt / Mrs. GREEN APPLE
ワクワクして「頑張ろう!」という気持ちになるというこの一曲。増田選手は毎日聴いているそうです。