中国政府がウイグル人を弾圧か~この状況で習近平主席を国賓で迎える日本

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月26日放送)にジャーナリストの有本香が出演。中国政府による大規模なウイグル人への弾圧について解説した。

中国政府、大規模な監視システムでウイグル人を弾圧か

中国政府が新疆ウイグル自治区で、イスラム教徒の少数民族ウイグル人の住民を再教育施設に収容しているとして、国際的な批判が高まっている問題。国際調査報道ジャーナリスト連合は24日、住民への監視や管理の実態を示す中国当局の内部文書を入手したとして公開した。この文書によると、最新のシステムを使って短期間に大勢の疑わしい人物を探し出し、1万人以上を施設に送ったことなどが記されている。これを受けて中国外務省の耿爽副報道局長は25日、「新疆のことは完全に中国の内政に属する。一部メディアが卑劣な手段で新疆問題を煽っている」と非難した。

飯田)この文章はいろいろな形で、いろいろなところから出て来ます。

有本)国際調査報道ジャーナリスト連合は、例のパナマ文書を公開した団体です。いくつものメディアが連合を組んでいるということです。もともとは、ニューヨークタイムズがスクープとして打ったものです。

飯田)400ページにわたって。

信憑性の高い国際ジャーナリスト連合が入手した中国当局の内部文書

有本)このスクープ記事に関わった記者の名前が2人出ていましたが、そのうちの1人は名うての記者で、特に中国報道に関しては、これまでも注目に値する記事を多く書いて来た人です。ですから、これもかなり信憑性が高いと思います。400ページを全部読むことは難しいのですが、最初のニューヨークタイムズの記事や、国際調査報道ジャーナリスト連合の報道も読んでいます。いままでウイグル人側、あるいはアメリカのラジオ・フリー・アジアなどがウイグル人から情報を取って、いままで報道して来たこととかなり符号しています。

監視が行き届きすぎ、暴動が起こせない状態の新疆ウイグル自治区

有本)この一連の動きに対して中国側から、新疆のことは完全に中国の内政だということ以外に、「この3年間で、新疆ウイグル自治区における暴動は1件も起きていない」と言っています。つまり、教育施設をつくることでウイグル人たち、あるいは新疆の人たちは幸せになっているのだということを言っているのですが、まったくそうではありません。3年間、確かに言われてみれば大きな暴動は起きていません。しかし、それは暴動を起こせない状況まで抑え込んでしまって、監視が行き届きすぎているのだと思います。私もこの問題については、もう10年以上取材をしています。この3年間は、聞いているだけで言葉を失ってしまう状況です。こんなことが隣の国であるというのは信じがたい。中国側は常に、チベットでもウイグルでもそうですけれど、「これは内政問題である」と。「外国がとやかく言うのは内政干渉だ」と言いますが、ここまでの人権問題に対して、本来であれば私たちはあらゆる手段を使って、介入して助けに行くべきだと思います。

飯田)監視カメラの数もおびただしい。

有本)私は直接の友人もいます。亡命ウイグル人の組織としてはいちばん大きい、世界ウイグル会議のいまの総裁であるドルクン・エイサ氏。また、かつて米軍がグアンタナモにウイグル人を収容していたことがあって、その人たちが釈放される前に通訳を務めた、ルシアン・アッバスさんという女性の活動家の友人がいます。

中国政府がウイグル人を弾圧か~この状況で習近平主席を国賓で迎える日本

中国弾圧「最悪の状況」 日本外国特派員協会で記者会見する「世界ウイグル会議」のドルクン・エイサ総裁=2018年11月20日午後、東京・丸の内 写真提供:共同通信社

77歳の活動家の母親を強制収容所へ~手段を選ばない状況に来ている

有本)国際社会でも注目度の高い活動家であるドルクン・エイサ氏は2018年、77歳のお母さんが危険思想にかぶれているという形で強制収容所に入れられ、1年のうちに亡くなっています。ルシアン・アッバス氏は、医師であったお姉さんが2018年から行方不明ですが、強制収容所に入れられたのだろうということです。お姉さんは医者ですので、いまさら職業訓練など必要ないのですが、職業訓練のために連れて行かれたということを聞かされているようです。しかし、50代の医師として仕事をして来た女性に対して、あり得ないことです。これは要するに、国際的にも注目度の高い活動家に対しての見せしめと報復です。いままでは、これほどのことはなかった。彼らの親族が逮捕されることがあっても、それは本人もかなり活動している人でした。77歳のお母さんを収容所に引っ張って行くなんてことは考えられなかったのですが、手段を選ばない状況に来ているわけです。

飯田)77歳のお母さんを。

有本)今年(2019年)に入ってからも在日ウイグル人の方に、顔や名前を出さないという条件で、何人か話を聞いています。家族や自分の友人知人まで含めると、何人もの人がいなくなっているという話があるだけでなく、自分の実家が団地なのだけれど、外界と簡単に接触できないように団地自体を取り巻くくらいの巨大な塀をつくって、団地そのものが牢獄になっているという話です。そこに監視員がいる。もはや監視カメラというレベルの話ではありません。居住空間そのものを監獄にしてしまうということですから。こんなことが21世紀に行われているというのは、本当に恐ろしいことです。そしていろいろな点から見ても、まったく嘘だとは思えません。

中国政府がウイグル人を弾圧か~この状況で習近平主席を国賓で迎える日本

20カ国・地域(G20)首脳会議(大阪サミット)に出席するため来日した、中国の習近平国家主席(中央)=2019年6月27日午後、関西国際空港 写真提供:産経新聞社

この状況で習近平主席を国賓として迎えていいのか

有本)このような状況のなかで、日本はどうするのかということです。本当に中国の国家主席を来春(2020年)、国賓で迎えるのでしょうか。安倍総理はウイグル問題に古くから携わって、直接いろいろな働きかけもしています。政界で最もこの問題に詳しい人です。王毅外相とも国家主席の国賓訪問に向けて、これからも連帯して行きましょうということを言っていますが、これだけは理解に苦しみます。

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