介護していた3人を殺害~多様化する“恐ろしい介護時代”がやって来る

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月20日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。1人で両親と夫を多重介護していた妻が3人を殺害した事件について解説した。

3人の遺体が見つかった住宅=2019年11月17日午後1時27分、福井県敦賀市 写真提供:共同通信社

1人で3人を多重介護

17日、福井県敦賀市の住宅で90代の夫婦と長男3人の遺体が見つかった事件で、長男の妻の岸本政子容疑者が殺人容疑で逮捕された。容疑者は2年ほど前から1人で3人の介護をしていたとされ、介護疲れが事件の一因になった可能性もあると見て捜査を進めている。

飯田)多重介護は高齢者や障害のある方、複数を同時に介護する。多いケースだと、1人で2人以上を介護するケースもあるということです。

佐々木)今回は3人。

飯田)しかも仕事をしながら。

佐々木)お父さんとお母さんが93歳と95歳、長男で容疑者の夫が70歳。この3人を介護していました。8050問題がありますが、9070問題ですよね。高齢化で寿命が延びると、こういう話になります。そのうち100歳を80歳が介護とかね。

飯田)そうですよね。あり得る話ですよね。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

多様化する恐ろしい介護時代がやって来る

佐々木)子どもがいるから介護をするという話になりますが、結婚しない人が増えています。2040年には男性の3割、女性の2割が50歳まで未婚と言われています。50歳まで未婚は、生涯未婚とほぼ同じ意味だと言われています。子どもがいる家自体が減る。かつて標準世帯と言われた専業主婦と会社員の夫と子ども2人が、いまは1割くらいしかいません。実際いちばん多いのが、4割くらいを占めている単身世帯です。多重介護は重要な問題ですが、一方で過渡期の問題であって、その先、多様化して行く恐ろしい介護の時代がやって来るのではないでしょうか。

飯田)担い手をどうするか。家族のなかで完結するのが、物理的に難しくなります。

佐々木)いまの50代は、親が80代で昭和1ケタ生まれくらいですが、兄弟が多かったり、親戚がたくさんいます。そして高度経済成長期にサラリーマンであり、妻をやっていたので貯蓄があるし、年金も満額もらっていて、退職金もいい金額をもらっているので余裕があります。いまの8050は、金銭的にはまだ余裕があります。

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格差の拡がる団塊世代の親を非正規の多い団塊ジュニアが介護する厳しい時代に

佐々木)これが団塊世代になると格差が広がって、余裕がある人もいますが、そうでない人もいます。団塊世代が70代半ばくらいになって、そろそろ介護が必要な時期になっています。その息子世代が団塊ジュニア世代です。70年代生まれは就職氷河期で、非正規雇用が非常に多い。これからの8050問題は、格差が広がっている団塊世代の親を、非正規が多い団塊ジュニア世代が負わなければなりません。これはきついですよね。

飯田)その上、団塊世代は人口的にボリュームゾーンですから、あらゆる面で財政を手当しなければいけません。

佐々木)いま生まれて来る子どもは、年間80万人くらいです。団塊世代は200万人くらいいるボリュームゾーンです。団塊世代が高齢化する時代には、東京の都市部が高齢者だらけになります。いまは地方に行くと高齢者ばかりですが、東京には若い人がたくさんいます。今後、昭和1ケタ世代がいなくなると高齢化が終わります。一方で東京、大阪の高齢化が一気に進みます。2040年ごろが大変だと思います。そのころは高齢者だらけで介護も間に合わず、老人ホームも足りなくなる。老人ホームを増やしても、その後で高齢者が減るから、待機児童問題と同じで施設は増やせません。阿鼻叫喚になるのではないかと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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