イランの思惑はフランスとドイツを取り込むこと

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月19日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。ホルムズ海峡でイランが外国のタンカーを拿捕したニュースについて解説した。

ホルムズ海峡の衛星写真(ホルムズ海峡-Wikipediaより)

イランがホルムズ海峡で外国のタンカーを拿捕

イラン革命防衛隊は18日、ペルシャ湾のホルムズ海峡にあるイラン領ララク島沖で、燃料を密輸しようとした外国のタンカーを拿捕したと明らかにした。これを受けアメリカ政府はイラン側にタンカーの即時解放を要求している。

飯田)これは一体どこの船籍なのか、イギリス政府はこのタンカーが英国船籍ではないと発表したということですが、そこも明らかになっていませんね。

宮家)船籍はあまり重要ではなくて、むしろ誰がオーナーかということですよね。イランにとっては、ジブラルタル海峡付近でイギリスに自国のタンカーが拿捕されましたよね。

飯田)シリアに行くか行かないかで。

宮家)それもあり、イギリスかという議論もあったのですけれども。いずれにせよ、やられたものはやり返すと。しかし、これまでのタンカー攻撃を見ても、それなりにバランスがうまく取れていて、決して死者は出さないということが暗黙の了解でしょう。だから船を沈めたりはしません。人が死んでしまうから。でも、無人機は落とします。お互いに落としているでしょう、アメリカもイランも。目には目を、歯には歯を、ですよね。今度はタンカーをやられたからイランもやると。しかし、人が死んだり大事故になったり船が沈んだりすることは、いまのところないですよね。つまり対応は慎重にコントロールしているということです。

イランの最高指導者ハメネイ師(右)と会談する安倍晋三首相=2019年6月13日、イラン・テヘラン[ハメネイ師のツイッターより] 写真提供:時事通信

イランが求めているもの~フランスとドイツを取り込むこと

宮家)イランが求めているのはアメリカに対する戦争ではありません。どうせアメリカは言うことを聞かないから、今はイラン核合意に署名したイギリス、フランス、それからドイツを取り込みたいということです。どうせ中国とロシアは支持してくれるだろうと。アメリカはだめだから、中間にいるイギリスとフランスとドイツを何とかイラン側に取り込みたい。だから、「僕の言うことを聞いてくれなかったら悪い子になるから」と思っておいたをやっているわけですよ。でもイギリスを説得するのはもう無理ですよね、既にタンカーを拿捕されていますから。そうするとイランができることは限られてくる。これで何とか小康状態になることを祈ってはいますけれど、果たしてこれで済むか。事態はもう少しエスカレートするかもしれませんね。

イラン学生通信(ISNA)が13日、AFP通信に提供した、オマーン湾で黒煙を上げるタンカーの画像=2019年6月13日 写真提供:時事通信

日本へのハードルが下がったホルムズ海峡での有志連合

宮家)そういう状況の下で、有志連合の話が出て来たわけです。これには日本国内でもいろいろな議論があるのですけれど、それについてまだ結論を出すのは早いと思います。一般論として言えることは、報道を聞く限り、アメリカは参加国に民間船舶の警護を求めない。つまり有志連合全体で守り合うことまでは求めない。アメリカもアメリカ以外の船を警護する気はないし、各国が自分の国に関係のある船舶を守るかどうかは、各国の判断である。しかも、これは軍事的な連合ではないのだとのことです。ホルムズ海峡の付近で安全に船が航行できればいいということであれば、結論を出すのは少し早いけれども、自衛隊法には海上警備行動というものがある。別にドンパチやるわけではないし、日本の船を自衛隊が守るのは当たり前の話ですから、船籍がどこであれオーナーが日本人の船なのであれば、それを守ってもおかしくはないわけです。

この「有志連合」なるものは当初言われたときよりもハードルが下がっている。それはアメリカ側も良く分かっている。アメリカは各国に対して、自分の船くらい自分で守れと言っているのだから。自分の国の船を守るのは当然ですよね。アメリカが他の国の船は守らない、警察官をやらないと言っているのだったら、それはみんなが勝手にやればいい。みんなが勝手にやれば、自然にそこで警戒活動というものが広がるから、誰がやったのか知らないけれど、おいたをする人が減るでしょうという発想だと思うのですよね。ですからそんなに大きな、昔言われた集団的自衛権がどうこうという議論には至らないかもしれない。もう少し様子を見て、アメリカの説明を聞き、そして来週以降に考えて行けばいいのではないですかね。

2016年2月のキャンペーンイベント。左から、イヴァンカの夫ジャレッド、長女イヴァンカ、トランプ、妻メラニア、エリックの妻ララ、次男エリック(ドナルド・トランプ-Wikipediaより)

アメリカの説明を聞いてから決めればよい

飯田)現地で19日、日本時間では20日に説明会があります。それから日本は決めればいい。

宮家)そういうことだと思います。

飯田)船を出すということになると、対テロ特措法などを思い浮かべますけれども、そこまでせずとも。

宮家)国際的に軍事オペレーションをやる場合はね。

飯田)オペレーションだったら、そうなってしまうけれども。

宮家)しかし海上自衛隊の艦船は公海上どこの地域にも行けるのです。だから、その範囲で各国がみんなでやればいいという考えもあるかもしれません。

飯田)なるほど。そうすると国内の議論というのもまた変わって来る。

宮家)その議論がどうなるか次第ですけれども、それはみんながいま何をしようとしているのか、理解してからでも遅くはないということですよね。先走って「大変だ、大変だ」と言うのではなくて、まずはお話を聞きましょうと。それでいいのではないでしょうか。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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