香港デモ~日本のメディアは大きく報道すべき

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月17日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。香港で6月16日に行われた大規模デモについて解説した。

5月11日の会議における議員間のもみ合い(2019年逃亡犯条例改正案 – Wikipediaより)

香港で16日に逃亡犯条例反対の大規模デモ

香港で6月16日、身柄を拘束した容疑者の中国本土への移送を可能とする逃亡犯条例の改正に関して、これまでよりも大規模なデモが行われた。香港政府は改正の無期限延期を決めたが、デモではあくまで完全撤回を主張している。

飯田)主催者発表では、9日を上回る200万人が参加したと伝えています。現地からのライブカメラを見ると、かなり大規模になりましたよね。

須田)200万人が参加したとなると、香港の人口は700万人ですから。3人~4人に1人という、とんでもない状況になっています。その割には日本での報道が少ないですね。

飯田)少ない感じがしますね。

2019年6月9日のデモ(2019年逃亡犯条例改正案 – Wikipediaより)

香港基本法を公然と破るもの~大きな危機感を持つ香港の人々

須田)欧米のテレビではトップニュースでこれを報じていますし、新聞各紙も連日大きなニュースとして報じています。海外の報道を見ていて何が問題になっているのかと言うと、中国の合法の仮面をかぶった非合法ということです。
中国はよく法に基づいて法治という言葉を使うのですが、確かに形式上は法治だけれども、実態はまったくの非合法で反民主的という批判が根強いです。
香港が一国二制度に移管した後、香港基本法というものが憲法に相当するのですが、これは自由と民主主義が担保される憲法です。その憲法が、公然と破られている異常な事態にある。憲法改正をしてこういった手続きを踏むのならまだしも、憲法すら改正しないで、なし崩しに独裁政治的なことが行われていく。そういったところに対する危機感が香港の人にある。
香港基本法は1997年、香港が返還された際に「50年間、一国二制度は維持されます」というものです。50年間、香港の自由と民主主義は維持されることになり、「50年後に見直します」というものなのです。それに基づいて香港統治をして行かなければならないのに、逃亡犯条例という、憲法の精神とまったく逆なものが作られて来る。これは香港の人たちにとって、相当な危機感だと思います。

飯田)2014年の雨傘革命のときは、完全な民主的選挙を求めるデモだったけれども、今回は認めてしまったら失うものが多すぎる。かなり切羽詰まった形だからこそ、これだけの人が集まった部分もあるのですよね?

香港島中心部の幹線道路を占拠するデモ参加者(中国・香港)=2019年6月12日 写真提供:時事通信

日本のメディアは報道すべき

須田)加えて、いきなり大規模デモが起こっているわけではなく、その前段があるのです。2015年、香港の書店主たちが相次いで失踪する事件が起こっています。中国国籍あるいは香港に籍を置いている人ではなく、外国籍の中華系の人たちもどんどん失踪して、どうやら中国本土の方に連れ去られたことが分かって来た。しかも8ヵ月間の非合法な拘束を受けて、相当激しい取調べや恫喝が行われていたことも伺えます。こういったことが中国の警察や特殊部隊、情報機関によって行われていた。このこと自体が異常なのだけれども、今回の逃亡犯条例が成立してしまうと、そういうことが白昼堂々と合法の名のもとに行われるという、とてつもない危機感があるのです。
今度は失踪ではなく、公然と連れて行かれるという状況に対する香港の危機感。それがなぜ日本のメディアできちんと報じられないのか。日本メディアがこれを無視することが、私は問題だと思います。

飯田)そもそも一国二制度のなかで中国の法執行、公安や警察は香港には及ばないことになっているにも関わらず、連れ去りが起こるということが1点。それから今回の法律の改正で、対象となる犯罪は7年以上の重罪と規定されていますが、それも中国国内の司法ならいくらでも罪のでっち上げができることを、香港の人たちは危惧しているのでしょうか?

須田)ええ。法による統治が行われていない中国の、そのルールが適応されてしまったら、いくらでもでっち上げが行われる状況はありますよね。

飯田)台湾でもかなり大きなデモが行われました。香港の次は台湾だと、危機感を抱いているという報道もされていますね。

須田)香港、台湾と来たら、次は日本ですよ。日本でもそういったことが起こりかねないリスクはあります。
香港のトップを選ぶということは、1200人からなる選挙委員会によって選ばれるというルールです。こういうこと自体がおかしいのです。直接民主にすべきなのですが、1200人からなる選挙委員はすべて中国の意を汲んだ人たちです。ルールとしては、1200人の選挙委員から選ぶという民主的な手続きを踏んでいるけれど、民主派は様々な妨害工作があって、その1200人になれないのです。そうすると行政庁長官という香港のトップは、民主的な手続きを踏んで選ばれた人ではない。その人が物事を決めて行くという異常な状況に陥っていることを、もっと報道すべきだと思います。

飯田)行政のトップがそれで、では立法のトップである議員たちはどうかと言うと、職能団体から選ばれる人たちがいて、民主側は常に少数派となってしまう形の選挙になっている。今回の法律が変わることで司法が潰れてしまったら、三権すべてが真っ赤に染まってしまう危機感があるのですよね。

須田)最後の砦なのですよ、この司法の部分は。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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