6月 6日
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今が聞き時、一朝師匠
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プロ野球シーズン、寄席の平日昼席なんて、
全く縁のないことだと思っていましたが、
2試合、2試合の交流戦の変則日程のおかげで可能になるんですね。
野球記事のスクラップと、各球団の記録付けに追われる毎日ですが、
交流戦の日程のお蔭で、今週もぽっかり平日火曜日が空きました。
前日のスクラップをそそくさと終えると、
好メンバーの池袋昼席へ!
東武デパート地下でお弁当買うのに手間取って、
午後12時半開演に間に合わない・・・。
かつての寄席ブームだったら、
たちまち立ち見の憂き目にあうところですが、
ブームがやや下火になって、
寄席の秘密クラブの異名をとる池袋演芸場の面目躍如!
地下二階の客席に駆け込んだら、92名収容のほぼ3分の1、
30人そこそこのゆったりとした空間が・・・。
う〜ん、人気があることに越したことはないけれど、
思いついていきなり飛び込んでも、
いつでもゆったりとした空間を提供してくれるのが、
我々、落語ファンにとっては魅力なんですよね。
午後一時、高座には一朝門下、惣領弟子・柳朝さんの、
陽気な「一目上がり」の最中。
柳朝 「一目上がり」
扇好 「のっぺらぼう」
のだゆき・音楽パフォーマンス
鉄平 「看板のピン」
正朝 「そば清」
笑組・漫才
志ん輔 「岸柳島」
お仲入り
一之輔 「麻のれん」
小はん 「親子酒」
小菊・俗曲
一朝 「黄金餅」
鈴本から池袋、このあと日本橋教育会館の、
夢吉さんとの二人会を控えて、大忙しの一之輔さん。
今夜の二人会の試運転か、またまた新ネタを仕込んで、
季節もの「麻のれん」の一席。
このネタを十八番にしている扇辰師匠に教わったまま、
器用に按摩さんを演じていました。
いや、うまい!
小菊姉さんの「さのさ」に「両国風景」に、
うっとりしているまもなく、昼の部主任登場。
「名前がイッチョウですから、
今日はイッチョウケンメイにやらしていただきます。」
これを聞かなくっちゃね!
一朝師匠、最近志ん朝ネタをさかんに高座にかけているのですが、
この日も、古今亭のお家芸「黄金餅」の一席。
いやぁ、休日の我が身をゆったりと癒してくれる語り口。
かる〜い味わいの黄金餅、
「なだの酒もかくやの味わいで…」結構でございました。
志ん駒師匠にお稽古してもらったものだとか・・・。
「噺家は60からが勝負だよ」とよくいわれますが、
目下、62歳の一朝師匠。
今が聞き時、ぜひ寄席に足をお運びください。
6月1日〜10日、池袋演芸場・昼の部トリ。
6月1日〜30日、上野鈴本演芸場の昼の部に出ていますよ。
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5月23日
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ひさびさの寄席三昧
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プロ野球も交流戦真っ只中、さわやかな陽気なのに、
2試合ずつの日程で、火曜日がぽっかりと空いて、久々のお休み。
少しだけ惰眠をむさぼって、おもむろにまずは新宿3丁目に・・・。
伊勢丹の地下で差し入れ用にあんみつを買って、
新宿末広亭の鶴光師匠を訪ねました。
相変わらず陽気な師匠に、鯉昇師匠・米福師匠も加わって、
ほんわか和んでから、客席に回ろうと楽屋口まで行くと、
鮮やかな黄色のシャツに紺の上着、白髪をなびかせてやってくる、
おしゃれな米丸師匠とばったり!
でまた、深々とお辞儀してご挨拶。
落語界最年長88歳、お弟子さんもつけず一人で楽屋入り・・・。
いやー大したものですよ。
紅先生の代演、神田蘭「新作・天照大神半ば」。
徳利をあしらった粋な羽織で鶴光師匠が高座へ。
弟子の学光さんからもらって、早十八番の一つに仕上げた「試し酒」で、
平日昼間、7割の入りの客席は大満足!
中トリが米丸師匠。
黒紋付きにはかま姿、末広亭の高座に心持膝をかばいながらも、
にこやかにあがって、万雷の拍手、拍手。
今日も自作の「さくら通り商店街」の一席、
途中でネタを忘れてしまったのもご愛嬌。
15分の受け持ち時間をしっかり勤めて、
「おなーーーかいーーりーーーー」
少年時代、ラジオから流れてくる米丸師匠の「電車風景」には、
お腹かかえて笑ったものですよ。
さあ、米丸師匠のお元気なことを確認してから、
遅めの昼食を取りに浅草のヨシカミに。
(お休みの日に限る、昼間のジンフィズと
ヒラメのムニエルが愉しみで・・・)
オーナーの熊沢さんとおしゃべりして、久々のムニエルに舌鼓。
おっとり刀で浅草演芸ホールへ・・・と、あらーーー!
昼夜お立見が、出ておりますとの従業員の方のお話。
なんとか一席空いてる席を発見、
森三中の大島さんみたいなおばさんの隣が・・・。
窮屈なこと、この上ないけど立ち見よりましと、
ギュギュと我がお尻をねじ込んで、
志ん輔師匠「替り目」に大笑い。
トリの喬太郎師匠の上がりでは、ぎっしり満員の客席の至る所から、
「待ってました!」「たっぷり!」の声が飛び、
まだまだ落語ブームは健在を再確認。
師匠が描くクレイジー・キャッツ版古典落語に、
すっかり作り上げた「抜け雀」。
心地のよい出来栄えで、追いだしの太鼓を背に、
すっかり人通りの少なくなった“ロック”に出て、
ふらふらと地下鉄浅草駅に向かう酔っぱらいのおっさんの頬を、
さわやかな風が撫でていきました。
「あーーーーあ、いいやすみだった・・・」
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5月15日
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我が家に総桐箪笥がやってきた!
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さあ、5月も中旬、衣替えも近くなりました。
好みの着物は、もう既に単衣に変えたのですが、
気にかかるのが、これからの湿気・・・。
昔から着物をしまうのに最適な総桐箪笥って、
一言で言うのは簡単ですが、さて購入するとなると「超高級品」。
とてもとても・・・。
とっ、ところが!
わが女房のお友達のお宅の納戸に埃をかぶった
総桐の箪笥があり「誰か要らないかしら・・・?」との
お話が飛び込んできたのですよ。
「いただきます、頂戴します、大事にします」の懇願に、
「おばあちゃんの嫁入り道具だったんですよ。
そんなに喜んで下さるなら・・・」と快く下さいました。
我が部屋にやってきて、明るい所で見てみたら、
相当な時代がついていて、太平洋戦争の戦火からも逃れた
歴史的な箪笥。
箪笥のリフォーム専門の業者さんを見つけて、
梅雨入りまでには、お化粧直しが整いそうなのです。
着物をおさめる桐箪笥・・・。
とうとう趣味が本物になってきましたよ!
あとは夏場に身に着ける絽・紗などの薄物が、
どうしても欲しくなってきました。
いきなり、オークスでその資金稼ぎといきますか!
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5月 1日
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でてきたあ・・・思い出の封書
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ゴールデンウィーク前半は、デーゲームの野球場に通う毎日。
我が家では、ささやかな模様替え。
普段は誰も入らない二階の六畳間。
何しろ落語関係のCD、カセットテープ、DVD、MDが、
部屋の四方、足元に散乱。
そして、埃まみれの万年布団が真ん中に・・・。
そうです、私のささやかながら自由な空間を誇示する大事なお部屋。
その暗黙の不可侵区域に、我が女房の手が入ったのです。
「あの部屋、汚いから布団じゃなくてベッドに変えようよ。
貴方がやると、あれこれ広げて手が止まっちゃうもの。私がやる」との
ありがた迷惑なお言葉・・・。
早速、彼女に見られてはまずいものを撤去。
後は全て任せていたら、ものの三日で、
見違えるようなきれいな部屋に変身!
合わせて、これまでどこに行ったか分からなくなっていた、
様々なものが救助されて机の上に・・・。
「うわっ!でっ、出てきたあ・・・」と思わず叫声をあげてしまいましたよ。
確か5〜6年前の年末大掃除の時に、
「おかしい?ないよ。小さん師匠からいただいた手紙!!」
大騒ぎした末、諦めていたあの手紙が机の上に・・・。
「押入れの天袋の奥に袋にいれて放り込んであったよ。
大事なものなら、ちゃんと分かる所に置いておきなさいよ!!!」
トホホ・・・有難きはわが女房。ただひたすらに感謝感謝。
思い起こせば昭和44年1月(1969年)。
今から44年前、高校で落語研究会を創部して、
当時、江戸落語とはおおよそ縁のない広島で、
どうやって活動していこうかと思い悩んだ末に、
テレビの落語中継に出ていた、
5代目柳家小さん師匠の落語に魅せられて、
先方様のご迷惑も顧みず、返信用の封筒を同封して、
目白の師匠のお宅に生意気にも地方で落研を起こすにあたっての
アドバイスをお願いしたんですよ。
まさか、返事がご本人の達筆な筆跡で届くとは、
夢にも思っていなかったんですがね。
まっ、若気の至りと申しましょうか・・・。
落語の基本から(上下のきりかた)丁寧に説明して下さり、
学生らしい高座名、甘栗亭金とんがいいでしょう・・・なんて、
大看板の師匠からご返事をいただきました。
15歳・高校1年生の栗くり坊主は、もう舞い上がっちゃって、
「よし!このまま師匠のそばで、噺家の修行をさせていただこう」と、
一人で思いこんだものでした。
もう、懐かしくて懐かしくて、あの頃の思い出が
走馬灯のようにめぐってきて・・・。
ま、その後のことは、以前ブログにも書きましたが、
翌年アルバイトでお金を貯めて、昭和45年12月上京。
新宿末広亭の楽屋に師匠を訪ね
「師匠のおそばにいさせてください。お弟子入りをお願いいたします。」と、
突撃弟子入り志願へと至るわけで・・・。
てへへ・・・「あんちゃん、ちゃんと学校だけは行きな!」
師匠の出番前、一時間粘りましたが、
「大学行って趣味で落語を楽しみなさい」と、
頑として許しては下さいませんでしたね。
そうこうしているうちに、世の中は、
ラジオの深夜放送が流行りだし、ついには
「アナウンサーになりたい!それがだめなら噺家だ!」てな、
決心をするに至るわけで・・・。
ホント、人生ってわからないものですね。
明日にでも、鳩居堂に行って、
手紙を入れる額を買おうと思っています。
「わが青春の思い出」に。
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4月24日
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単衣もの着て歌舞伎座へ
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こけら落としの歌舞伎座へ行ってきました。
何とか友人に頼み込んで、大奮発して一等席20000円!
チケットが手に入ったのが、一か月前。
いやぁ、それからこの日を指折り数えて待ちました。
これまでも、一年に2〜3回は観に行っていましたが、
一等席のようないいお席でみるのは初めてのこと。
まっ、それにしても20000円とは・・・。
趣味の落語なら高くても4000円。
寄席なら新宿末広・池袋・浅草、昼夜入れ替えなしで2800円と、
比べること自体が間違っているんですよね。
これまでの大看板、団十郎・勘三郎2枚も続けて失った歌舞伎の世界が、
試練のスタートですが、連日満員の大盛況。
せっかくの機会だから、どっぷりとこの優雅な世界に浸かろうと、
手持ちの4枚の着物、3枚の羽織、選りすぐりの・・・へっへっ。
数は少ないんですが、迷いに迷って、
縞の紬の長着にあられ模様の墨色の羽織、
ちょっと肌寒い外気にも袷(あわせ)か単衣(ひとえ)か?
迷った末に単衣に決めて、着物で歌舞伎座に向かいました。
雪駄の音も軽やかに、歌舞伎座こけら落し興業第3部。
前から7列目のまん真ん中という好ポジションで
「盛綱陣屋」に、歌舞伎十八番「勧進帳」堪能しました。
普段、ポッコリお腹に、何度もずり下がるズボンをずりあげながら
落ち着きのないことこの上ない私ではありますが、
着物だと、ピッタリ帯の上にポッコリお腹が乗っかってくれて、
実にゆったりと楽しめました。
斜め後ろに林家正蔵師匠親子のお二人が・・・。
前には生島ヒロシさんの姿も・・・。
娘と共に優雅な世界に心行くまで浸らせてもらいました。
合わせて、ますます着物の魅力にとりつかれそうで・・・。
まっ、しばらくはコツコツ働くとしましょう。
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