5月 2日
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今の寄席定席は、いたれりつくせり…
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ゴールデンウィーク祝日のハザマ、都内の寄席定席の様子はいかにと、
新宿末廣亭の夜席へ行ってきました。
斯く言う私、新宿末廣亭友の会・会員なんです。(注)
4月下席、楽日夜は、二つ目のほたる君が上がった時、87人。
仲トリの小満ん師匠が上がった時、113名。
(この日は、閉まっていた2階桟敷も開けると310人は収容可能)
スカスカでもなく、まったりとした昔ながらの末広亭という雰囲気。
のんびりと波間にたゆとうごとく、のんびりと過ごしました。
私の座っていた正面左手の桟敷もゆったり。
友達の下宿に遊びに行ってるような余裕で堪能しました。
トリは、権太楼師匠の十八番「佃祭り」。
与太郎がいい味出してるんですよ。
仲トリの、いかにも大正時代から抜け出したような風貌の柳家小満ん師匠。
珍しい与太郎が、吉原に初めて遊びに行く「磯のあわび」を
飄々と演じられましたが、
桟敷の落語研究会の部員っぽい青年が、小満ん師匠の高座中、
ごそごそそわそわ、首をかしげて不思議そう。
それまで、噺家さんのネタを嬉しそうな雰囲気で、
プログラムにボールペンで書いていたのですが、
どうやら小満ん師匠のネタの演題が判らず、落ち着きのないこと。
「あっこりゃ、わさびが利きすぎた」のサゲと同時に、
女子従業員に突進。
「小満んさんがやったネタ、何というネタですか?」との質問。
従業員の方、丁寧に楽屋のタテ前座
(楽屋でネタ帳を記録する、もっとも年季のある前座さん)に電話して
聞いてあげて「磯のあわびというネタですって」と懇切丁寧な対応。
従業員の方の話ですと、持ちネタ豊富な小満ん師匠の時は、
よくお客様から質問されるんですって。
最近の寄席は、お客様の要望に充分応えようとする姿勢が見えて、
嬉しくなっちゃいました。
(注)新宿末廣亭の会員制度
年間1万円の会費を払ってさえおけば、
回数多くいらっしゃる方には、かなりお得な特典が付きます。
詳しくは新宿末広亭のホームページをご覧下さい。
※新宿末廣亭ホームページ
http://www.suehirotei.com/
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4月24日
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災い転じて…!
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「皆さん、客席から見てると、噺家って馬鹿な商売と思うでしょ?
ところが馬鹿じゃぁできません。悧巧なら尚、やらないでしょうが…」
よく噺家さんが使うギャグですが、長年落語会や寄席に通って、
本当に、大変な仕事だと思います。
今日、正蔵さんがテレビ出演後、体調崩し、緊急入院されました。
無理が響いたのでしょう。
先月21日から、都内4つの定席で、
弟さんのいっ平改め、二代三平襲名披露興行の真っ最中。
連日、披露目の関係者の皆さんの接待、饗応は、
特に手厚い海老名家ですから、いっ平さんご本人以上に、
兄として、兄弟子として、林家の総帥として、
大変なプレッシャーの連続だったのです。
しかも、今夜は、六本木オリベホールでネタおろし3つを、
演じる独演会の当日だったのですよ。
合わせて、去年の秋から、午前10時前に始まる
テレビのレギュラー司会までやっていたのですから、
身体が、ここまで持ったのが不思議なくらいです。
今夜は、珍しい安兵衛狐(当代馬生さんしかやらないネタ)に、
新作一本、定席の間に挟まって喋る軽いネタと、
課題を設けて、日夜練習に励んでいたのだと思います。
以前、ず〜っと昔、勉強会で噺を忘れて、
絶句した苦い思い出のある方だけに、
打ち込みようは大変なものだったでしょう。
4つの定席の披露目は、今の池袋で終わるのですが、
残った日程は、しっかり、
当人のいっ平改め二代三平さんが立派に勤めてくれるでしょう。
この試練で、お二人ご兄弟が、
さらに一皮、いやふた皮むけてくれるといいですね。
しかし…、いくら初代三平がパーマ頭だったからといって、
二代三平までパーマ頭にすることはないと思うんですけど…。
正蔵師匠の一日も早い回復をお祈りしています。
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4月18日
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ミッキーとの想い出
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今年の夏、公開予定、渋谷のハチ公をモデルにした、
アメリカ映画「HACHI」を試写会で観てきました。
去年、邦画「犬と私の10の約束」
そして今、公開中「マーリー・世界一お馬鹿な犬が教えてくれたこと」など、
犬を取り上げた映画が、ここへ来て、盛んに制作されていますね。
未曾有の不景気、人の心がすさみがちな昨今、
無償の愛を振りまいてくれるワンちゃんたちと織り成すドラマが、
人の心を動かすんですね。
そんな折、14日、プロ野球「マツダ・ズームズーム・スタジアム広島」に、
半旗が、掲揚されていました。
広島東洋カープのボール犬(ベースボールドッグ)ミッキーが、
8日、老衰で亡くなったのですよ。
旧・広島市民球場で、当時、客足が遠のいていたのを、
ファンサービスの一環として、2005年から2007年まで、
3年間、22試合に登場して大人気を集めていました。
広島出身の私もミッキーの携帯ストラップがお守りでした。
2005年夏、広島市民球場に出張した時に、
本当はベンチ情報担当なんですが、レポートを最低限に控え、
勤務中のミッキーとゲーム中、ず〜っと一緒にいました。
人間が大好きなひょうきんな奴でした。
携帯電話のカメラで、何枚も記念撮影したのですが、
そのたびにクイッと、あごを引いてポーズをとる賢い犬でした。
ゴールデンレトリバー種という大型犬で、
11歳11ヶ月の寿命は、天寿を全うしたと言っていいのだそうです。
広島市の郊外に住み、お婆ちゃんの作るきゅうりをかじるのが
大好きだったとか…。
犬を飼うのはいいのですが、確実に別れが来るというのが、
辛いですね。
でも、天国のミッキーに見守られて、
新球場、新生・広島東洋カープは好スタートをきりました。
追伸
先日、広島東洋カープさんが受けとられ、
RCC・中国放送のスポーツの方を通じて、
私宛に「マツダ・ズームズームスタジアム」のオープニングシリーズ、
4月8日の中日戦のチケットを下さった方がいらっしゃいました。
残念ながら、どなたなのか、お名前が書いてなかったのですが、
私の手元に届きました。
勤務の都合で帰広はかないませんでしたが、
このチケット、大切にお守りとして保管させていただきます。
どなた様か判らないのですが、
この日記を御覧いただければ幸いです。
本当にありがとうございます。
お気持ちは、しっかりと頂戴しました。
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4月10日
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なぜ日本のプロ野球選手はメジャーを目指すのか?
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日本プロ野球に続き、アメリカ大リーグも開幕し、
いよいよ球春到来ですね。
1995年に野茂が、大リーグの重い扉をこじ開けてから、
今年も日本人大リーガーの活躍が海の向こうから伝わってきています。
ドジャース・黒田が、開幕戦勝利投手、
オリオールズ・上原がメジャーデビュー初勝利と、
うれしいニュースが続いています。
開幕前のWBC連覇…。
野球発祥の国・アメリカが、お世辞にもベストといえない
代表チームだったとはいえ、
確実に日本・韓国と、アメリカの野球の実力は超接近してきています。
昔、サッチーさんに案内されて観戦した
1971年のワールドシリーズ、パイレーツの
ロベルト・クレメンティーが忘れられないと仰る楽天・野村克也監督も、
アメリカ・大リーグのレベルダウンを嘆いていらっしゃるようですが、
私がメジャーに興味を持ち始めた1970年代と比べても、
相当実力は落ちています。
キャッチャー・ショート・サード、外野手の肩の強さは、
アメリカでは、過去のものになってしまいました。
日本のプレイヤーがアメリカで活躍しているのは、
何ら、不思議なことではないのですよ。
1988年に「26球団」だった大リーグは、
20年後の現在、「30球団」ですから、
当然、質は落ちてしまいますよね。
それなのにレベルの高い日本プロ野球から、
メジャーをめざすのか?
それは、緑鮮やかな天然芝のグランド、
手放しでエンジョイする観客の観戦風景が、
野球を志す人たちにはおとぎの国なんです。
お天気でも青い空を見られず、
コンクリートのように固い人工芝のグランドでは、
気持ちのよいプレーは出来ないですもんね。
そういえば4月10日、わが故郷・広島の
「マツダズームズームスタジアム」がこけら落としとなりました。
不景気のどん底の広島市で、屋根つきのドームスタジアムを
作る資金が集まらず、やむをえず天然芝のグランドになったのですが、
怪我の功名で、日本の野球場も、
アメリカのベースボールパークへの憧れが
強くなってくれるといいですね。
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3月29日
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落語ブームとはいうものの…。
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2年半にわたって私をアシストしてくれた
フッチー(淵澤由樹)のラスト…。
「あなたと朝イチバン」にこんなにも強い思い入れで、
担当してくれていたのかと、フッチーの涙に実感しました。
春は別れの季節であり、また出会いの季節。
次回の「あなたと朝イチバン」から、
ニッポン放送の局アナ、増田みのりアナウンサーが、
私の相手を務めてくれることになりました。
アシスタントが変わったからといって、
私は変わりも、変えることもありません。
毎週、あっかるく陽気にのんびりと放送するつもりです。
引き続き「あなたと朝イチバン」をよろしくお願いします。
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※先入観なく映画を観たい方、読み飛ばして頂いて構いません。
ところで放送後、フッチーの御苦労さん会をかるくやってから、
28日、楽しみにしていた映画公開日。
世界一お馬鹿な犬「マリー」にするか、
いつも見ている「相棒」スペシャル版「米沢守 事件簿」にするか?
悩んだ末、流山おおたかの森のシネコンで、
「相棒 米沢守事件簿」に決めて、公開日にもかかわらず、
少人数のお客さんで、ゆったりとVIP気分で鑑賞…。
と、ところが!!!
宿直明け、睡眠不足の私の頭に、ガ、ガ、ガ〜ン!と大きな衝撃。
映画の構成は非常に面白く、事件の謎解きのきっかけを作る、
右京さんからのお互いの趣味という設定の、
志ん生「四段目」のCDを貰った鑑識米沢さん。
落語「四段目」、商家の旦那が、
芝居好きの小僧がこっそりさぼって芝居を見てきたのを
鎌をかけて馬脚を現させるという手法を使って、
犯人逮捕に結びつける…。
私たち、落語ファンにもたまらないストーリーなんですが…。
が!!!「四段目」。
読み方をなんと!落語おたくという設定の米沢さんが、
事もあろうに「ヨンダンメ」と何回もいってしまってるのですよ。
しかも、全国公開の映画の封切りされてしまったスクリーーンで!
お芝居「仮名手本忠臣蔵の『四段目(ヨダンメ)』を題材にした、
上方落語「蔵丁稚」。
そのころ、東京では8代目柳枝、2代目円歌さん以外は
やらなかったねたを、上方の松鶴さんから志ん朝師匠が譲り受けて、
「四段目」として、晩年おやりになるようになったんです。
映画のようにお父さん・志ん生の「四段目」があれば、
収集家にも垂涎もの…、ありえません。
我がニッポン放送のライブラリーでも、
志ん生師匠は「四段目」はおやりになっていないのがわかります。
ま、それはいいとして、世は落語ブームとはいうものの、
実は名ばかり。
落語を引用して墓穴を掘ってしまった映画を観てしまいました。
最近、日本映画が元気だと喜んでましたが、
実は粗製乱造だったのですよ。
試写会から、沢山の識者にみてもらったにもかかわらず、
こういう基本的なミスをおかしてしまうなんて…。
とても残念でしたし、情けなかったですね。
「四段目」は「ヨダンメ」で、「ヨンダンメ」じゃありません。
落語ファン、お芝居にちょっと興味のある方なら、
ひっくり返ってしまうでしょうね。
噺家さんがこの映画観たら、自分たちの咄の世界が、
まだまだ辺境なことを、感じてがっかりされることでしょう。
落語に詳しい人の監修が必要でしたね、映画のスタッフさん。
でも、コレって、公開したらDVDでまた一儲けと言うことでしょうから、
今後、恥ずかしい作品として残ってしまうのでしょうか???
も〜せっかく1800円払ったのにぃ…。
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