1242 ニッポン放送
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みのりの日記
栗村 智
栗村 智
 
diary
10月24日
嗚呼 菊花賞!
「サア、ハイセイコーこの坂はゆっくりおりなければなりません!」
元・関西テレビ、杉本清アナウンサーの実況に興奮したのは、
1973年、タケホープが勝った「第34回菊花賞」。
あれから数多くの名勝負が繰り広げられた淀の馬場。
あの頃、菊花賞ウイークになると、長距離血統の馬を探し当てる
なんともいえない競馬推理の楽しみ満載のレースでした。
競馬実況アナになれば、いつかはやりたい大一番でした。

グリーングラス、ノースガスト、ホリスキーなんて、
懐かしいステイヤーの名前が思い出されますねえ。
アナウンスも各局のアナが頭を悩ませて、
あれやこれやの名文句が生まれています。

「池の白鳥も息をのむ、菊花賞のスタートです。」
「先頭は内からグリーングラス、今年の菊は黄菊!」
(グリーングラスが、5枠で帽色が、黄色)
「二度の苦しい坂を昇り終えて、植え込みの向こうに
栄光のゴールが見えてきた!」(コレ、わたしの実況)
いつもより長い距離、3分10秒は、
レース時間があるだけに、実況にも起承転結。
イロイロ入れ物をしながら、見た様を実況する
魅力に満ちたレースでした。

しかし、最近日本の中央競馬はアメリカナイズされて、
1600メートルから、2000メートルあたりが、
ベストディスタンス(得意な距離)の馬を成育するように、
レース体系も変わってきて、「菊花賞」が全盛期の異物という感じに
成り果ててしまうのではないかと、心配になってしまいますねぇ。

今年もダービー馬・ロジユニバースが、
ジャパンカップに照準をあわせて、
3000メートルの菊花賞を回避しました。
大混戦、抜けた馬の見当たらない今年の菊花賞。
それでも、昔の臭いを懐かしみながら、
お母さんの血統、おばあさん、曾おばあさんとたどりながら、
勝ち馬の予想に頭を、悩ませています。
一抹の寂しさのなかで…。
10月17日
クリのわんこ
最近あちこちに、映画館併設の
大型ショッピングセンターが出来ていますが、
決まって、1階の一番奥にペットショップがありませんか?
ショウケースの前に家族連れのお客さんが鈴なりですよ。
相手が生き物ですから、おいそれとは買えるものではないのですが、
ちびっ子が、だだをこねてる風景、よく目にしますね。

一方、早朝、夕方、欣喜雀躍、すっ飛んで走るワンちゃんに
引きずられている、年配の飼い主さんが目立ちますねぇ。
昔は珍しかった、トイプードル、ミニチュアダックスフンド、
チワワを見かけない日はないくらいですよね。

私が少年時代、周りにいたワンちゃんってぇと、
99パーセント「雑種」!
洋犬っていったって、スピッツくらいのものでした。
統計を見ないとわかりませんが、
私が見ている感覚では、洋犬が多くなったように思います。

生まれた時から、ロリ(秋田犬の雑種)、チロ(スピッツ)、
ペペ(スピッツ)、エバ(ミックス)と、
成人するまで、いつも犬がそばにいました。
大学〜就職と東京での生活に変わって、
住宅事情で犬を飼えなかったのですが、
生まれつきの大の犬好きなのですよ。
観る映画といえば「ベートーベン」、
「世界一お馬鹿な犬マリー」、「HACHI」、
「ビバリーヒルズチワワ」と、み〜んな犬絡み。

子育ても落ち着き、心からご主人様のご帰還を、
誠意を持って迎えてくれる愛犬が、
無性にほしくなってきている、今日このごろ。
実は今、犬好きの友人に紹介された、
成犬譲渡の会「KAJA(カヤ)の会」のホームページを見ながら、
王手をかけた状態です。
この会には、飼い主に見放され、行き先のないワンちゃんが、
いっぱい溢れています。
里親に、体調、おトイレから予防注射まで、
万全にしてもらったワンちゃんが、
新しい飼い主を探しているんですねぇ。

「愛犬で こどものしつけ やりなおし」(サラリーマン川柳より)
これも何かの縁、家族連れで賑わうペットショップの
ショウケースの張り紙に「ローンプランのご相談承ります」って、
柴犬・オス「15万0000円!!
ヒェー、そりゃあ、簡単には手を出せません。
せっかく飼うなら、責任を持って、飼わなくちゃあねぇ…。
10月 9日
貯えあれば憂いなし
2年ぶりに台風上陸。
いやぁ、本当に強い雨風ではありましたが、
首都圏の交通機関は、軒並みストップ。
都会は相変わらず台風に弱いですね。
我が家では、ベランダの物干しの塩化ビニルの屋根が、
タテ1メートル、ヨコ3メートル、吹っ飛んでしまいました。
私は最寄りの通勤で使う駅で、
いつ動くかわからない電車を待ちながら、
ボ〜っと掲示板を眺めていたら、
「おかげさまで10年、磐越西線SLばんえつ物語」のポスターが
目に飛び込み、同時に22〜3年前の、
苦い苦い台風の思い出が甦ってきました。

アレは…競馬中継で、先輩の胡口アナウンサーと一緒に、
新潟競馬へ出張の時でした。
列島縦断台風が、よりにもよって我々のいる新潟を直撃。
東京に帰る交通手段が軒並みストップしてしまいました。
当初は、開通したばかりの上越新幹線で帰京して、
そのまま月曜日に、夕方から川崎球場で行われるロッテ戦の中継で、
両チームのベンチ情報アナウンサーを務めるという勤務だったんです。
このため、デスクからは
「何とかあらゆる手段を使って帰ってきてくれ」との指令。
さっそく新潟駅で相談したら、磐越西線で新潟から郡山へ出れば、
東北新幹線が動いているので、それで東京へ向かったらどうかとの案内。

翌月曜早朝、新潟を出発。
全線単線の磐越西線のディーゼルカーに4時間乗って、郡山乗り換え。
最終目的地・川崎球場に到着したのが午後4時…。
ギリギリで2人とも、試合前のネタ取材に間に合いました。
何しろ、競馬場出張後の予期せぬ出来事というのは、
思わぬ惨めな目に遭うもので…。

会社からは前もって、取材費出張費を充分に貰ってはいるのですが、
我々の仕事で、最も危険な競馬場…。
そう!思わぬ出来事に対応できるほど、
「財布に余裕がない」のですよ。
郡山で食べた、立ち喰いそば、美味かったなあ…。
本当は「天ぷらそば」にしたかったのに…。
ホント、命からがらならぬ“財布からがら”(財布カラカラ)、
川崎球場に辿り着いた、情けない思い出があるのですよ。
皆さん、普段から台風には充分な備え(貯え)をしておきましょう。
10月 3日
秋の夜長に小三治師匠!
2006年10月7日、「栗村智のおはよう散歩道」の
タイトルでスタートした土曜早朝の放送。
タイトルは「栗村智 あなたと朝イチバン」に変わり、
放送時間も午前7時40分まで伸びて、
今回の放送で、まるまる3年が経ちました。
リスナーの皆さんの応援のお陰で、ここまでくることが出来ました。

なにしろ、スポーツアナウンサーで29年。
なかなか、リスナーのみなさんとの交流が持てず、
判らなかったのですが、寒いにつけ、暑いにつけ、
「声がしゃがれてたけど大丈夫?」とか、こんなに身近で、
リスナーの皆さんと交流できるとは思っていなかったので、
お送りいただいたメール・おハガキ・ファックス・お手紙に、
どれだけ勇気付けられたかしれません。
身体の続く限りしゃべり続けますので、
これからも宜しくお願いしますね。

さて、月も変わり10月、都内の寄席定席は、
昼はかなりのお客様が入りますが、
夜は、結構空席が目だってきました。
ところ〜が!
10月上席・鈴本演芸場夜の部は、
落語界の重鎮・柳家小三治師匠がトリ。
おっとり刀で上野広小路に駆けつけると、鈴本の前は長蛇の列。
「しまった!」と舌打ちしながらも行列へ…。
夜の部が始まる時、前座のまめ平君が上がった時にはすでに、
170人のお客様。
1時間も経たないうちにほぼ満席に。
世はまさに「落語ブーム」とはいうものの、
大ネタをじっくりと語れるのは、やはり小三治さんをおいて、
他にはいらっしゃいませんからねぇ。

ただ、お目当ての小三治師匠まで
「クスリ」とも来ない客席、耳の肥えたお客様ばかりでした。
寄席定席のトリの時は、小一時間、高座を務める小三治師匠。
初日は、枕をたっぷりふってから十八番の「付き馬」に…。
8時10分におなじみの「二上がりかっこ」の出囃子で上がって、
「おう!やっこ!なかまで(吉原)うまにいけ!」のサゲが9時13分。
約一時間の高座でした。

この12月で70歳になる師匠、
かつてのテンポのよさはないけれど、味のある高座でしたよ。
秋の夜長、ゆったりとした心持ちで落語はいかがですか?
なお小三治師匠、この芝居、4日、7日、10日がお休み。
英気を養われるとか…!?
その日の代演は、弟弟子のさん喬さんが務めるそうですから、
これまた、気合の入った高座が期待できそうですね。
9月24日
秋の夜長は落語を聴きながら…ZZZ
鳩山総理は就任すぐに訪米、同行の幸夫人共々好印象。
先ずは「グッジョブ」ですね。
鳩山訪米でテレビのワイドショーも競って、
お二人のプライベートネタまで紹介するという熱狂ぶりでしたが、
某テレビで紹介したネタに感心。
お二人は、上方落語協会・桂三枝師匠の大ファン。
いつも寝る時に、夫婦で三枝師匠のおなじみの創作落語のCDを、
寝室に流しながら眠るというのです。
その裏づけとして、今回、渡米の際の荷物の中に
「桂三枝大全集・創作落語125撰」のCDも入れていたとのこと。
実はこの習慣、私も取り入れていて、なかなかいいものですよ。
ちなみに私は昨日、三代目三木助「さんま火事・化け物使い」の
CDを聴きながら熟睡。
一度、お試しになってはいかがでしょうか?

さて、シルバーウイーク中の都内寄席定席各所、
昼席を中心に大入り満員の大盛況。
国民の休日だった火曜日は、浅草演芸ホールへ。
ちょうど、昼の部トリの1人前、
ヒザ代わりの「のいる・こいる」さんの時に“テケツ”へ。
いつもの従業員のお兄さんが、
「今はぎゅうぎゅう詰めですが、
昼のトリ・さん喬さんが終われば座れます」と言われて
入ろうとしたところ、どこかで見た顔…。
おやァ!衆議院議員・東京17区の平沢勝栄先生も、
フリータイムを利用して客席へ。
2人、満員電車の中のような客席で、
さん喬さんの「天狗裁き」を聴きました。
案の定、昼の部トリのさん喬さんが終わったと同時に、
席が空いて先生も私も座ることが出来ました。
日ごろから、よく寄席の定席にはいらっしゃるとのこと。
総理が、寝る時に落語のCDを。
野党・自民党の論客が、ふらりと寄席の客席へ。
これからの政治は、安泰ダァ〜!!!

そういえば亡くなった九代目・文治師匠の高座。
「落語が好きで総理大臣になったのが吉田茂さんねェ…。
あーた方も偉くなりたきゃあ、落語ぉ、お聴きなさい!
聴いてなれなきゃ、それまでダァ!」
あの懐かしい高座が頭に浮かんできましたよ。
 
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