1242 ニッポン放送
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みのりの日記
栗村 智
栗村 智
 
diary
2月 9日
寄席はニッパチ関係なし!
先月末から、都内や千葉県のシネコンに平日出かけて
「アンストッパブル」「犬とあなたとの約束」「RED」と、
片っ端から映画を見ました…。
が!行く時間、曜日も、
平日だからかも知れませんが、
行くところ、行くところ、大浴場じゃああるまいし、
手足伸ばして、両サイドを荷物置きにしても、
ガラガラというのが気にかかりました。
まるで、今から30年前、
改装前の池袋演芸場(当時は桟敷席)を思い出させました。
物まねの片岡鶴八さん(鶴太郎さんの師匠)や、
先代林家正楽さんと唯一人の客の私。
まさにマンツウマンてな経験をしてますからねえ。
(厳密に言えば昼間から酔っ払ったおじいさんが
一人横になって寝てましたが…)
昔から大体観客数が激減するのが、
俗に“ニッパチ”といわれてますからね。

さっ、そうなると心配なのが、
大好きな寄席・演芸場のお客様の入り…。
平日・火曜日、池袋演芸場、午後三時過ぎ…。
中入りも終わって、小さん師匠が、
100人収容の小さな演芸場ながら、
ぎっしり満員のお客様を前に、おなじみ「替り目」の一席。
ヒザ代わりの小菊姉さんの時に、
辛うじて、一番後ろの補助椅子が空いて
腰掛けることができました。

と言うのも、当席昼席は、
林家しん平監督映画「落語物語」完成記念興行…。
(3月12日〜東劇でロードショー公開)
主演のわさび君以下、映画に出演した噺家さんたちが
ズラリ顔ならべ、中入りに映画の前売り券を販売するというもの。
大変なお客さんの反応でした。
当方、去年秋に完成試写会に行って観てきましたが、落
語界を舞台にした、愛と感動の超大作(?)に仕上がっています。
3月12日から東銀座・東劇にて御覧…あれ!

そうかぁ、それで、しん平師匠の
お客様かと思っていたら、さにあらず。
夜の部ははじめ80人くらいに減ったお客様が、
後半、中入りの時に、またまた満員!
若手中心の顔ぶれながら、
寄席の世界は、どうやら安泰…。

池袋演芸場二月上席
【昼の部後半】

小さん「替り目」
小菊 俗曲 
トリ しん平「死神」

【夜の部】
市也「一目上がり」
右太楼「元犬」
菊太楼「饅頭怖い」
アサダ二世 奇術
歌之介「坂本竜馬伝」
白酒 「真田小僧」
紫文 「粋曲」 
左龍 「鹿政談」

お仲入り 

文左衛門 「寄合酒」
一朝 「看板のピン」
二楽 紙きり 
トリ 三三「お化け長屋」

久しぶりに爽快な気分で家路に着きました。
そうそう、落語会を描いた映画といえば、
フランキー堺主演、1960年の作品
「羽織の大将」が、今月、日本映画専門チャンネルで、
放送されてますよ。
あの名人8代目桂文楽さんも出演しています。
当代文楽さんが、前座役でちょこっと出演していて、
懐かしい落語ファンには、垂涎ものの映画が、
今月12日、土曜日午前7時から、
そして2月15日火曜日午後4時から放送されます。
こちらももし、よろしかったら…。
9代目文楽師匠は、この映画の出演料で、
二つ目昇進の披露が出来たそうですよ。
2月 1日
ビッグコミックオリジナルを買う
いやぁ、何という寒さ…。
「何とかしてくれぃ!」と思っていたら、
この底冷えとも、そろそろおさらばてぇところまで
やってきましたね。
今週は、東京も寒さがやわらいでくるそうで。

2月1日、プロ野球春季キャンプ突入。
プロ野球ファンの目は、一気に南国・沖縄に!
何しろ12球団中、多いときは10球団が集中。
南九州に、2球団が四国・高知と
半々だった昔と違い、大変なことになってしまいましたね。
電車のない沖縄、那覇にちょっとだけモノレールですから、
キャンプ地の球場への道の混雑を思い浮かべただけで、
ゾッとしてしまいますよ。

とはいうものの、30年にわたって、
この時期、キャンプ取材で、長期にわたって、
寒さ・花粉から逃れての南国出張は、
スポーツアナウンサーとしての、
その年の下準備もさることながら、
大きな楽しみの1つでしたからねぇ〜。
行きたいなぁ…。
あの名護湾に沈む夕日、思い出すなぁ…。

そんな、ついこの間、
北風ピープーの駅のプラットホームで電車待ちの時、
売店で流れ星を見上げている柴犬の後姿がなんとも可愛い表紙の
「ビッグコミックオリジナル」を買ってしまいました。
これまで、漫画雑誌を読むというか
手に取ることさえなかった私が、
何の弾みか…買ってしまったのです。
電車に乗って、所在なさげに、
ホント興味も持たずページをひらくと、
大好きな落語「やかん」のストーリーで始まる、
尾瀬あきら「どうらく息子」が目に飛び込んで…
一気に読んでしまいました。

目にしたのが第16話。
案内広告に、第一話から
「コミック単行本になって発売」の欄を見つけ、
行きつけの書店に予約。
昨日、手に入れ、またまた一気に読んでしまいました。
内容はお読みいただくとして、
現代の噺家修業中の前座・二つ目の皆さんの
生活が垣間見られて面白い作品ですよ。
監修が柳家三三師匠で、またヒザを打ちました。
それで、噺家さんのウラ舞台の様子に
不自然なところがない…。
その上に、主人公・惜春亭銅ら壱の師匠、
惜春亭銅楽の自宅のリビングが…なっ、なんと!
権太楼師匠宅のリビングそっくりそのままだとの内緒話が…。
この漫画を手に取った噺家さんたちの間でもちきりなんですよ。
新宿末広亭、お江戸日本橋亭も、
そのままスケッチしてあって笑ってしまいますよ。

これまで、落語舞台の漫画は事実と違ったり、
誇張がひどかったりして、
興ざめなものが多かっただけに、
この作品、お奨めですよ。
1月20日
懐かしき沖縄
いよいよインフルエンザが猛威を振るい始めましたね。
喉と体が商売のアナウンス室も、
戦々恐々としてきましたよ。
このインフルエンザの後にやってくるのが「花粉症」…。
猛暑だった昨夏の影響で、
今年は物凄い量の花粉が飛び交うとのこと、
こりゃぁ、たまりませんね。

私もまるまる20年、
花粉症に悩ませられているうちの一人です。
忘れもしない平成3年、ぐるぅり周りを杉林に囲まれている
高知は春野の、西武ライオンズのキャンプ取材に行った折、
発症して以来、毎春苦しんでいるわけですよ。
ただ5年前まで、スポーツアナウンサーだった頃は、
この時期は長期、プロ野球の春季キャンプ地が集まる沖縄に
3週間近く取材で出かけるため、杉の生育していない沖縄で
ひと息つけたんですがねぇ…。
沖縄・アメリカ出張がなくなってからは、
この内地の花粉禍に容赦なく痛めつけられているのですよ。
そういう意味でも沖縄は、私にとってパラダイスでしたねぇ…。
当時、羽田から那覇へタラップ降りたら、
ぴたりと鼻水が止まるのですから。
その自然の成せる業に感心したものです。

今年は佑ちゃんフィーバーで、久しぶりに沖縄が脚光を浴びますね。
しかし、ホテルの少ない名護で、
取材陣はどうするんでしょうねェ〜。
アパート借りるとかしないと、とても間に合わないでしょう。
あと10日で始まるプロ野球のキャンプ、
この時期になると無性に沖縄が恋しくなるのですよ。
野球面しかない、薄っぺらな日刊スポーツやスポーツニッポン。
コレは、沖縄にある二つの地元新聞社の印刷機で、
沖縄の人に興味のあるスポーツの
4ページくらいまでの記事を現地印刷で宅配、
コンビニに並ぶ薄〜い新聞です。
本当に遠くに来た感じがして、懐かしいですね。
ホテルによっては、アメリカ兵用のAFNテレビが映る所があり
英語のヒヤリングのお稽古になって随分役立ったものです。

今、8チャンのニュースで
「今年の花粉は6倍以上!!!」と報じていました。
沖縄に逃げたい気分ですよ。
斉藤君、名護の朝日食堂のステーキは、
安くて、美味くてお奨めですよ。
ボクが教えてあげなくても先輩プレイヤーに、
きっと連れて行ってもらうでしょうね。
1月12日
老舗・道明の羽織紐
栗村智、57歳。
身長164センチ、体重69キロ。
仕事柄、タキシードなど洋装の礼服など、
それなりにいいのではなくとも持ってはいるのですが…。
何しろ、この体形ですからね〜。
何着ても「腹話術の人形みたい…」
「キューピーさんみたい…」というような
陰口を訊かれるのが関の山…。
そこでついに一念発起!
和装、着物の趣味を活かして、
着物に切り替えていこうと決心したのです。

実は年末、新宿末広亭の楽屋にお邪魔していたとき、
噺家さんの着替え風景を眺めているうちに、
そう決めたのですよ。
ステテコ姿で垢抜けない中年のオヤジ体形、
ポッコリおなかのオッサンが、
前座さんから、肩越しにかけてもらった長着に、
角帯をきりりと締めた途端、
颯爽とした江戸前の男に早変わり!
「こっ、これだっ!」

大好きな噺家さんの高座姿にうっとりしたこと数知れず。
そういえば、亡くなった志ん朝師匠も、
全体の容姿は比べようもありませんが、
「体形」は、今の私と裄丈、全く変わらないのですよ。
こりゃあ、お弟子さんに以前確認しているから間違いありません。

てなわけで、女房の懇意にしている
京都のお職人にお願いして、京お召しの羽織に長着を、
思い切って誂えて、つい先日、出来上がってきました。
家紋も五所紋にして、略礼にも使えるように…。
色は淡い藍色の色紋付(縹色)。
今、TVCMで、志の輔師匠がお召しになっているものとほぼ同じ。
正絹で肌触りのよい、私にとってこれ迄デ最高のものなんですが、
一緒につけた羽織の紐…。
電話で柳家わさび君に自慢してたら、
「あの〜その羽織の紐って金具でぶら下げる奴ですよ。
噺家は自分で締める、直付けの紐を使うんですよ…」のアドバイス。

「ガ〜ン!!!!!」
頭をハンマーで殴られたようなショック!!!
そうだよなぁ、俺としたことが…。
高座で枕から話に入るときに、
羽織の紐を解いて、スッと羽織を後ろへ脱ぎ落とす。
これも噺を聞くときの楽しみだったよなぁ。
春団治師匠のそれは、特に美しい…。

気がつきゃ、単細胞の私は早いですよ〜。
いつか行ってやろうと、店先を通り過ぎていた、
上野の歴史350年の組紐屋さん、病気療養中の中村勘三郎丈、
古今亭志ん朝がごひいきの羽織紐の「道明」さんのお店の敷居を
ついに跨いだのでした。
座敷のご主人と店先に腰掛けた私のやり取り…。
それはもう、平成の世知辛い世の中をさかのぼって、
江戸から明治の雰囲気。
羽織紐の扱いのイロハから教わって、
ご主人に写メに収めた着物姿で、しろねずみ色の羽織紐を、
選んでいただきました。

土日の競馬でオケラくらうつもりで、思い切って購入しました。
草履も買い、ソレェ!さぁ〜て、いつ着て出ようか?
それが問題だ…。
1月 6日
今年最初のご挨拶
みなさん寒中お見舞い申し上げます。
今年も沢山のリスナーの皆さんから、年賀状を頂戴し、
恐縮至極でございます。
実は当方、服喪中でしたので、
賀状はご辞退しておったのでございます。

てなわけで、年末年始、静かに会社の
箱根にある保養所で温泉につかりながら、
年を越させていただきました。
殺到する希望者の中から抽選で、
見事、我が家が当選したのですよ。
全くといっていいほど馬券の当たらない私が、
こういう抽選で見事当選したとは…!
「こいつア春から、縁起がいいわい!」
トンカラーンと見得でも切りたい気分でした。
今年は、良い年にしたいと思っております。

年末年始を家族そろって温泉地で迎えるのは、
我が家では初めてのことでした。
出かける前に、銀座のCDショップに飛び込んで、
大枚はたいて小学館から出された落語CD、
「東横落語会・古今亭志ん朝」を買ってロマンスカーへ…。
昭和最後の名人志ん朝師匠の、
東横落語会(落語ファンにとっては伝説の落語会)で
演じた41席が収められた珠玉の全集。
一つ一つじっくり観賞しました。
CDから流れてくる心地の良い師匠のテンポのいい江戸前の口調。
お湯の中でもこーりゃ、花が咲くよ、チョイナチョイナ…。
至上の幸せってやつですよ。

この東横落語会、昭和31年から昭和60年まで、
渋谷の地下鉄ステーションを内蔵した、
東横百貨店9F〜10Fの東横ホールという
馬鹿デカい入れ物で行われた落語会。
学生時代、武蔵小山に下宿していた関係で、
バイト代を貯めては頻繁に聴きに行った、
我が青春の思い出そのものの落語会。
あの頃の録音が発掘されて、世に出たものです。
確かA席・B席に分かれていて、
当時の私が買って座るのは、B席の上の上のほう。
話の最中「ガタガタ、ゴトーーンゴトーーーン」と、
銀座線の渋谷行が、プラットホームに滑り込む音が、
気になって仕方のないところでした。
もちろんCDには、その騒音は入っておらず、
それが少し寂しかったですがねェ〜。

まっ、入社以来初めてといっていいほど至福の年始でした。
皆さんにとっても、今年が良い年でありますように…。
 
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