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| 飯田コージ |
| 1981年12月5日、神奈川県出身。2004年ニッポン放送入社。年齢当てクイズでは必ずプラス20歳上で答えられる。不自然な笑顔が魅力のニッポン放送アナウンサー。 |
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香港競馬通信 |
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| 4月25日 |
去年のクイーンエリザベス2世杯は小波乱でしたが、今年は大波乱となりました。
といっても、実績からすれば勝ってもおかしくなかったんですが、年々出走馬のレベルが上がっているこのレース。
10年前ならまだしも、今は地元のG1を一つ勝ったくらいではさほど人気にならなかったようです。
先月のHKG1香港ダービーの勝ち馬、ウェルテルが降りしきる雨、悪化する馬場を物ともせずにトップでゴール板前を駆け抜けました。
管理するジョン・ムーア調教師、手綱を取ったヒュー・ボウマン騎手共に想定外、驚きの勝利でした。
というのも、ただ勝っただけでなく2着に4馬身半の差をつけての圧勝。
世界各地からトップクラスの馬が集まるこのレースでこの着差は非常に珍しく、クイーンエリザベス2世杯史上でも、国際レースになるよりはるか前、1990年にクイッケンアウェイが7馬身差の圧勝劇を見せて以来の着差となりました。
「全くの想定外!」
強気で鳴るムーア師にとってもこの馬が勝つとは全く考えていなかったようです。
「(香港移籍前の)ニュージーランドではこんな感じの重馬場をこなしていたから、対応してくれるかなとは思っていたけど、まさかここまでのレースをしてくれるとは…。本当に、全く想定外の大勝利だよ!」
と、その驚きの大きさを表現しました。
乗っていたボウマン騎手も、
「たしかに、ダービーを勝って実力は認めていたけれど、まさかこんな素晴らしいパフォーマンスを見せるとはね」
と、こちらも想定外でした。
とはいえ、国際G1勝利という勲章を身に着け、陣営は次走、すでに照準を定めています。
「次走は1マイル半(2400m)のチャンピオン&チャーターカップだ。ヒュー(・ボウマン騎手)もその時には駆けつけてくれると思っているよ」
と、ムーア師は期待を込めた笑顔で記者に明かしました。
「そのあとは少し休みを与えてから、オーナーが許せば秋はオーストラリア遠征だ。コックスプレート参戦だよ!」
そう語るムーア師はすっかり普段の強気が戻っていました。
レースを振り返ると、13頭立てのこのレース。
2000m戦は沙田競馬場のコーナーを4つ回るほぼ一周のコースです。
従って、スタート後すぐに第1コーナーを迎えるため、各馬がそこに殺到します。
ここがレースの一つ目のポイントで、位置取りを間違えると不利を受けやすいんですが、ウェルテルとボウマンのコンビは中団の馬群の中に上手く位置取りました。
内ラチから1頭間を開けたインコース。
一番人気のラブリーデイを見ながらの競馬が出来る絶好の位置でした。
ヘレンスーパースターが引っ張るペースは比較的速いペース。
淀みがないペースで息を入れられず、ヘレンスーパースターとブレット・プレブル騎手のコンビは3・4コーナーの中間で早くも失速してしまいます。
「絶好の5番枠を引き当てたのみならず、ゲートの出もスムーズだったね。いい位置を占めることができた。内枠の馬たちが絡んできたときにヒューは「あっちに行け!」って叫んだらしい。たしかにあそこの位置には5〜6頭の馬が殺到していてみんなそこに落ち着きたかっただろうからね。結果ウチの馬が占められた。激走への伏線がここにあったね」
と、ムーア師は勝因の一つを明かしました。
前半の淀みのない速いペースに、公式発表「重馬場」という足元の悪さ。
これらも全てウェルテルにはいい方に作用しました。
香港移籍前には地元ニュージーランドで道悪のG2(2100m)を勝っていますし、同じく道悪だったG1南オーストラリアダービー(2500m)でも上手く道悪を攻略し、2着に入っています。
ボウマン騎手も、
「ハイペースはこの馬にはとても良かった。香港の競馬って、スタート直後は凄いプレッシャーでペースが上がるんだけど、そこから落ち着くんだよね。でも今日はレースを通じて速いペースが淀みなく流れた。この馬にとってはチャンスが広がっているなぁと思っていたんだよね」
と認めました。
「ボクらとしては素晴らしいペースで走っていた。でも、相手関係を考えたらそんなに強気にはなれなかったんだ。なにしろ、世界のトップクラスの馬たちが集まるレースだからね。基本的にセオリー通りの人気馬マーク。ラブリーデイの後ろに付けて、ついて行ったよ。いい感じにリズムに乗っていたから、これはいつでも動けるぞとは思っていた。直線に入る前に一息入れられたのも良かったよね」
直線に向いてまず先頭に立ったのは、ブレイク・シン騎乗のヘレンハッピースター。
スタンドのファンたちの目は最内から抜け出しを図る一番人気のラブリーデイの動向に注がれました。
日本代表(池江泰寿厩舎)のラブリーデイと名手ホアオ・モレイラのコンビは残り400mでゴーサイン。
抜け出しを図りますが、さすがのG1馬もこの馬場に泣き、全く末脚が不発。
滑る馬場を嫌うように外へ外へとスライドし、ついに馬場の真ん中まで出てしまいました。
一方のウェルテルはそうした問題は全くなし。
ボウマンはラブリーデイがいなくなった内を突き、残り300mで末脚に点火。
その反応は素晴らしく、真っ直ぐに伸びて行きました。
そのままゴール板まで伸び続け、馬場を考えれば優秀な2分1秒32という時計でゴール。
2着には2013年のこのレースの勝ち馬ミリタリーアタックが入り、3着には去年の勝ち馬ブレイジングスピード。
香港馬のワン・ツー・スリーとなり、一番人気のラブリーデイは4着フィニッシュでした。
「本当に素晴らしい末脚を見せてくれたね。こんな末脚、去年の12月、国際レースの日に1600m戦で香港移籍デビューしてから初めて見たね」
と、ボウマン騎手。さらに続けて、
「何で今までこんな末脚を見られなかったか?ボクの乗り方がマズかったと今回気づかされたよ。今考えると、それまでは少し乗り方が強引だったんだね。今日はレースの間中本当にリラックスさせることが出来たんだ。それがあの末脚を呼び込んだんだね」
と、今までの反省も口にしました。
時折激しい雨が降ることもありましたが、世界のトップクラスの馬たちが集まるこのQEⅡレースデー。
沙田競馬場には32788人の観衆を集めました。
香港ジョッキークラブのCEO、ウィンフライド・エンゲルブレヒト・ブレスゲス(EB)氏はレース後記者団の取材に対し、
「こんな生憎の天気の中でこれだけ沢山の観衆を集めることが出来たのは素晴らしいことだね。いかにQEⅡが魅力的なコンテンツであるかを物語っているよ。この観衆の多さは過去5年で最高だし、一日の売上高13億4600万香港ドルは去年よりも伸びているしね」
と、例によって大喜びの会見でした。続けて、
「メインのクイーンエリザベス2世杯は世界トップクラスのメンバーを揃えることが出来た。その中で香港ダービーを勝ったウェルテルが素晴らしい競馬を見せてくれたね。今回参戦してくれたすべての関係者に感謝したい。今後も世界各国の関係者に香港の国際レースをアピールし、世界のG1馬たちをもっともっと招致したいね」
CEOの野望は止まることを知りません。
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