旅行大好きな、新米ライター望月が、
実際に食べた「駅弁」と、実際に出かけた「小さな旅」を紹介します。
お出かけの時の参考になれば(?)幸いです。




2004年1月25日(日曜)



「何じゃ、この電車は!」と思われた方もいるでしょうね。
この“いかつい”電車は、JR九州の883系。
特急「ソニック」号として、博多〜大分間を結んでいます。




あのテーマパークのキャラクターのような、ヘッドレスト。
JR九州には、ドーンデザイン研究所が手がけた、
奇抜で重厚なデザインの列車が、数多く走っています。




望月も、小倉からこの列車に乗車、別府にやってきました。
駅名票も、温泉情緒たっぷり(?)ですね。
駅弁は、JR日豊本線・別府駅をご紹介します。




別府駅の駅弁は、大分駅と共通の「梅の家」です。
改札を出て右側に、メインの売場があります。
営業時間は、朝7時ころからですが、あまり早いと、
大分から弁当が届いていないことも…。
時間帯によっては、ホームで買えることもあります。




大分県は、平松知事の「一村一品」運動でも有名です。
この運動が元で誕生した「しいたけ」を活用したのが、
「しいたけ弁当」(1000円)。




オーソドックスな椎茸ご飯に、椎茸の天ぷら、椎茸寿司もついて、
ホントにホントの“椎茸づくし”!
「これでもか!」というくらい、椎茸を堪能できますよ。




こちらは「じゃこめし」(800円)。
豊後水道で獲れる「じゃこ」いっぱいのごはんは、
口あたりもGOODです。
二段重ねで、価格の割にお得感がありますね。

湯上りのほてった体で頂いても、十分イケる、
別府の“あっさり”駅弁。
もちろん、大分駅でも購入出来ますよ。

■旅のワンポイント〜湯の街・別府の「面白温泉」

源泉数・湧出量共に全国ナンバーワンの温泉・別府。
最近は、由布院や黒川など、素朴な温泉地に押され気味ですが、
老舗温泉地ならではの「面白温泉」に、注目してみましょう。




駅から歩いて10分程度、別府の象徴「竹瓦温泉」。
別府へ来たら、最低ココには行っておきたいものです。







1階から半地下に降りていく、古きよき共同浴場は、
加水していますが「かけ流し」、わずか100円で入浴可能。
以前、朝一番の6時半に行ったことがありますが、
大混雑だった記憶があります。
もちろん、魅力はここだけではありません。



入って左手には「砂湯」(780円・朝8時〜夜10時)があるんです。
繁華街の共同浴場で「砂湯」とは、珍しいでしょう。




詳しくは、浴場の“お姉さま方”にナビゲートして頂けますが、
基本的には、手前にある普通の温泉で「かけ湯」を十分にして、
奥の「砂場」に寝転がり、砂をかぶせてもらいます。
時間にして、10〜15分。
地熱のサウナ効果で、いっぱい汗が出てきますよ。
終わった後は、再び源泉のお風呂に入って、気分さっぱり。
砂湯に入れば、別料金なしで普通の浴場にも入れます。
お薦めは、空いている午前中!




こちらは、市営の「鉄輪むし湯」(210円)。
簡単に言えば「サウナ」です。
下着を着けたまま、入ることになっていますので、
必ず「着替え」を用意して行くのがポイント。
ただ、お隣が洋品店なので、忘れても買えば大丈夫です。



この狭い入口からかがんで入り、菖蒲が敷かれた所で、石の枕で横に。
中は、ほとんど「真っ暗」。
目を閉じていないと、上から熱湯の水滴が落ちてきて、
眼球を痛める恐れもありますので、十分ご注意!
闇の中で、温泉が湧き出す「ゴボゴボ」という音だけが響き、
ちょっと「怖い」と感じるかも…。



こちらも終わった後は、源泉のお風呂で、きれいサッパリ!
ま、好き嫌いの分かれるお風呂でしょう。
地元の方でも、むし湯の魅力に「ハマった」方は、
すっかり常連になっているそうですが、全く来ない人もいる模様…。
でも、初めて来ても、常連さんの和やかな輪に入れていただけるので、
心もポッカポカになりますよ。

別府は、湧き出す温泉が熱く、古くからの施設が多いため、
加水してしまっているところが多いのが、ちょっと残念…。
せっかく、豊富な湯量と良質な泉質の温泉には、違いありません。



今年は、九州新幹線の開業など、何かと話題の多い九州。
九州には美味しい駅弁が、まだまだあります。
ご紹介は、また改めて…。



2004年1月18日(日曜)

今回は、知る人ぞ知る「名物」駅弁、
JR鹿児島本線・折尾駅の駅弁をご紹介します。




折尾駅は、鹿児島本線と筑豊本線が交差するジャンクション。
2年前、折尾〜桂川間の筑豊本線と直通している篠栗線が、
電化され、「福北ゆたか線」という愛称が与えられました。
それ以前は、日本で最後の「ローカル客車列車」が、
走っていたことでも、有名でした。




折尾駅の駅弁屋さんは、付近一帯で売店を展開する「東筑軒」。
売店は、本駅舎改札横と鹿児島本線下りホームにあります。




立売歴8年の山口和利さん(59)が、発売当初からの、
「立ち売り」を、今に伝えます。
鹿児島本線の上りホーム、特急の発着時によく出没。
朝9時ごろから夕方5時ごろまで販売、昼間の1時台は、昼休憩です。




折尾名物といえば、大正10年発売の「かしわめし」(610円)。
「かしわ」とは、茶褐色の鳥、すなわち「地鶏」のことで、
今では単に「鶏肉」という意味で使われることも多いようです。
画像は、一番リーズナブルなタイプですが、
おかずに合わせて、4種類の「かしわめし」があります。
鶏肉の甘みと、冷めても美味しい、ご飯のモチモチ感。
経木の容器で、ちょうどいい水分に保たれ、絶品の味を誇ります。
地元出身の方は、わざわざ折尾まで足を運んで買うこともあるそうです。




こちらは「鯖棒寿司」(820円)。
価格の割に、肉厚な鯖が使われ、食べ応え十分。
多少日持ちするので、買ってすぐ食べなくても大丈夫です。

周辺の駅でも買える「東筑軒」の「かしわめし」。
でも、せっかく買うなら、本場・折尾で、
風情いっぱいの立売の方から、買うことをお薦めします。

■旅のワンポイント〜北九州のレトロな風景



駅弁をご紹介した折尾駅。
先日ご紹介した門司港駅に次ぐ、古い駅舎を持った駅です。
生活にしっかり溶け込んでいるところに、味があります。




改札を入ると、レンガのトンネル。
東京ですと、有楽町のガード下のような雰囲気(?)
ところが、この折尾駅、迷路のような作りなんです。




地図も迷路のよう…。
階段を1つ間違えると、トンデモないことになりそうです。
1〜5番線が、本駅舎。
6・7番線は、150メートルほど離れた場所にあります。
ローカルな駅で、これだけ入り組んだ作りの駅は珍しいですね。




北九州市が、かつて門司・小倉・戸畑・八幡・若松の、
5市だったのは有名ですね。
うち、洞海湾を挟んで向かい合う、戸畑地域と若松地域は、
「若戸大橋」によって、結ばれています。




この地域には、今となっては珍しい、市営の渡船もあるんです。
運賃は、大人50円・子供20円で、15分間隔で運航。
所要時間は、わずか3分です。




渡船には、自転車を積込むこともOK。
巨大な橋には果たすことの出来ない、
大事な「生活の足」としての役割があったんですね。




さ、次回の「駅弁膝栗毛」は、九州シリーズ第1弾のラスト!
別府の駅弁と、珍しい温泉をご紹介します。



2004年1月14日(水曜)



京王百貨店の「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」の
季節がやってきました。
第39回を数える今年は、1月9日から21日まで、
京王百貨店の新宿店・7階大催場で開かれています。




毎日毎日、大混雑です。
10〜12日の3連休は、去年を上回る人出を記録。
どうしても、お目当ての駅弁を購入したい場合は、
開店〜お昼過ぎまでにどうぞ。




今年の目玉は「親子対決」。
まずは「タラ&たらこ」の親子!
当ホームページでは、03年4月に紹介した、
信越本線・直江津駅の「鱈めし」(1020円)が、やって来ました。




こちらは「鮭&いくら」の親子。
気仙沼線・大沼海岸駅の「三陸魚こ弁当」(1050円)です。




そして、「ニシン&数の子」の親子は、
宗谷本線・名寄駅の「ニシン・カズノコ弁当」(800円)。
当ホームページでは、03年7月に、ご紹介しています。




全国各地から輸送されてきた駅弁も、軒並み売り切れ!
店員さんは、最後の1つまで売り切ろうと、
必死に、声を張り上げていました。




今年は、新幹線のシートを使った「お休み処」も登場。
ちょっとした「旅気分」(!?)




今回は、なかなか現地取材に行くことができない
沖縄に開業したモノレール、「ゆいレール」の駅弁を食べてみました。
「海人(うみんちゅ)がつくる壺川駅前弁当」(1000円)。
海ブドウが入ったり、沖縄らしい食材を使っています。




こちらは、山陽本線・西明石駅の「ひっぱりだこ飯」(980円)。
98年の明石海峡大橋開通を記念して作られた駅弁です。




「ひっぱりだこ飯」の特徴は、インパクト満点の「蛸壺」形の容器。
形は面白いですが、食べづらいのも事実…。




こちらは、先日、現地を訪問したばかりの高知の駅弁、
ボリュームたっぷり、「鯖の姿寿司」(1260円)。
実際、高知駅の販売員は「無くなった」と話していたものの、
こういった形で、見かけることが出来るのは、いささか…。
ただ、駅弁大会の賑わいをよそに、実際の駅売りの駅弁は、
厳しい状況に置かれているということが、推測できるでしょう。




私、駅弁は「80%の食べ物」ではないかと思っています。
残りの20%は、食べる人自身が「創る」もの。
移りゆく景色や、ジョイントの音に旅情を感じたり、
食材が生まれた環境を思い浮かべて、舌鼓を打つ。
この行為が、駅弁を口にほお張る前には、必須なのです。

駅弁大会で「いいなぁ!」という駅弁を見つけたら、
ぜひ、時間を作って、現地へ行って食べてみてください。
きっと、駅弁大会で食べたときよりも、
美味しくいただけることと思います。

※「京王百貨店」ホームページ

http://www.keionet.com/


2004年1月11日(日曜)

新米ライター望月、いよいよ九州にやってまいりました。
きょうは、JR鹿児島本線・小倉駅の駅弁です。



JR九州のコーポレートカラーは「赤」。
初登場の駅名票も、「赤い」矢印ですね。
小倉では、山陽新幹線・鹿児島本線のほか、
日豊本線、日田彦山線の列車が、発着しています。




国鉄時代からの特急列車も「真っ赤」に塗られてしまいました。
特急「にちりん」号は、小倉から宮崎空港まで、
日豊本線を南下する特急列車です。




小倉駅の駅弁を販売する、
明治24年創業の「北九州駅弁当」の駅弁売場は、
改札を入って左前方の、新幹線連絡通路角。
もちろん、山陽新幹線側でも売っています。




北九州地域で基本の駅弁といえば、「かしわめし」(680円)!
ボリュームたっぷりの890円タイプも、売られています。




小倉も、下関から10分程度ということで、
冬場は「ふくめし」(1200円)の販売があります。




下関との違いは「とらふぐ」が、ちょこっと入っていること。
価格も、気持ち高めの設定です。
(先日「普通のハガキ」のコーナーでもご紹介しました。)




映画「無法松の一生」は、明治時代の小倉が舞台。
これにちなんだ、山菜おこわの駅弁が「無法松弁当」です。
さらに温め装置を付け、去年10月からは、
「あっちっち無法松弁当」(1000円)も、発売されています。

100万人都市の代表駅にふさわしい、
充実の駅弁ラインナップ。
他の駅弁は、機会を改めて、ご紹介することにしましょう。

■旅のワンポイント〜小倉で今、アツいモノ!



小倉は、小倉城と共に発達した城下町。
現在の小倉城は、昭和38年に再建されたものです。
中は、歴史資料館になっています。




北九州市民の台所、「旦過市場」。
戦後のヤミ市から出発した歴史を持ちます。
小倉駅からは、歩いて10分ほどです。




訪れたのは年末。お正月用の食品を買い求める人で、
とても賑わっていましたよ。
さて皆さんは、いま、小倉で注目を浴びている
「食べ物」をご存知ですか?




その食べ物とは「焼うどん」!
実は「焼うどん」は小倉の街、画像に映っている、
「だるま堂」さんが、発祥の地なんですね。
昭和27年に30円でスタート。
最近は、街ぐるみで「焼うどんの街」として、
盛り上げていることもあって、毎日、盛況のようです。




こちらが、現在の「焼うどん」(440円)。
お店は、昭和20年の開店以来、
坂田チヨノさんが、1人で切り盛りしています。
「沢山、手を出したら、上手くいかない!」というのが哲学。
50年以上、焼うどん1本で勝負しています!
数年前、腕を痛めて、暫く休業したものの、現在は復帰。
素朴な味ですが、小倉に来たら、一度試す価値はあるでしょう。

さ、次回は北九州出身の方なら、忘れられない味。
折尾駅の「あの」駅弁をご紹介します。



2004年1月4日(日曜)

あけましておめでとうございます。
今年も「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」、
そして「駅弁膝栗毛」をよろしくお願いします。

新年1回目の「駅弁膝栗毛」は、“フクで福”!
JR山陽本線・下関駅の駅弁をご紹介します。



戦前は、山陽本線の終着駅であるのと同時に、
大陸への玄関だった下関。
今も、釜山とは「関釜フェリー」で結ばれています。



駅弁は「下関駅弁当」が、製造販売しています。
改札を出て、右手前方がメインの売場。
朝6時ごろから、夜9時ごろまでの営業です。



売場は、各ホームにもあります。
臨時夜行快速「ムーンライト九州」運転時には、
ちょっと早めに営業開始。
朝食を求めるお客さんで、売場にはご覧の人だかり。
ちょっと、ホッとするような光景ですね。



下関といえば、ご存知・フグの街。
“福を呼ぶ魚”という意味をこめて“フク”と、
濁らないのが、“下関流”です。
まずは、冬季限定販売の「ふくめし」(1150円)です。



可愛い(?!)フグ顔のプラスチック容器に入っています。
フグの炊き込みご飯と竜田揚げがメインです。
なお、使われているのは、放送でも話題になった
毒のない「シロサバフグ」です。
もちろん、味はgoodですよ。



こちらは、通年販売の「ふく寿司」(830円)です。
酢でしめている分、痛みにくいということで、
シーズンオフである、夏場の販売も行っています。



去年の大河ドラマ「武蔵」に合わせて登場した、
その名も「武蔵」(800円)。
上品な仕上がりですが、意外とボリュームもあります。

とにもかくにも、下関といえば「フク」!
行くなら、間違いなく旬を迎える冬です。

■旅のワンポイント〜歴史の交差点・関門海峡



本州と九州を隔てる、幅700メートルの海峡、「関門海峡」。
戦時中、海底トンネルで門司と結ばれてから、
国道トンネルや高速道路の関門橋などが、続々と開通し、
下関と北九州市は、県境を越えて1つの都市圏を形成しています。



下関の台所、「唐戸市場」です。
日本の「フグ」がここに集まってきます。



門司へは、市場の脇から渡船(290円)が出ています。
日中は、20分に1本の運行です。



唐戸市場から10分ほど歩くと、「日清講和記念館」(無料)。
1895年、日清戦争の講和条約として「下関条約」が、
この建物の隣にある割烹旅館「春帆楼」で結ばれました。



記念館から、さらに歩くこと10分。
「壇ノ浦古戦場跡」に到着します。
驕る平氏が、この地で滅亡したのは1185年の出来事。
近くには、武蔵と小次郎の対決で知られた「巌流島」もあり、
関門海峡と「戦」は、切っても切れない関係のようです。



この「壇ノ浦古戦場」の前には、
「関門国道トンネル」の人道(歩道)の入口があります。
歩行者は無料、原付や自転車は20円です。



トンネルを歩いて渡りきっても、だいたい15分。
途中で、県境を越えていくことになります。
トンネルをウォーキングやランニングの
コースにしていた方が、目立ちましたよ。



トンネル出口からぶらぶら歩くと、JR門司港駅に到着。
築100年以上の、趣のある駅舎。
鉄道の駅としては、唯一の「重要文化財」に指定されています。



門司港のあたりは、古くからの洋館と再建した洋館で、
「門司港レトロ地区」として、整備が進んでいます。
画像は、大正6年建築、ひときわ風情のある、
ライトアップされた「旧・大阪商船」ビル。

中世から近世、近代〜現代と、歴史に思いをはせながら、
船が頻繁に行きかう中を、ぶらぶら歩き。
ふと、自分が、時代の旅人であることに、
気づかされることでしょう。

さて次回の「駅弁膝栗毛」は、いよいよ九州に上陸。
小倉の駅弁と街を、ご紹介します。