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【小宮山悟(こみやま・さとる)】元・千葉ロッテマリーンズ投手(2週目) (2010年1月4日〜8日オンエア)


毎週様々なアスリートをゲストにお迎えしてお送りしているスポーツリアルトーク。
この番組ホームページでは放送では触れることができなかった部分も含め、
インタビューの内容をお伝えしていきます。
先週のゲストは元・千葉ロッテマリーンズ投手の小宮山悟さんでした。



【小宮山悟】(こみやま・さとる) 
千葉県出身、1965年生まれ44歳。
2浪の末に入学した早稲田大学でエースとして活躍し東京6大学リーグを沸かせると、
1990年にドラフト1位でロッテオリオンズに入団。
抜群のコントロールを武器に千葉ロッテ・横浜ベイスターズで活躍し
2002年メジャーリーグ・ニューヨークメッツに挑戦。
2004年からは古巣・千葉ロッテに復帰、2005年日本シリーズ制覇に貢献。
2009年シーズン終了とともに現役を引退、
日米通算19年の現役生活にピリオドを打ったばかりです。




【小宮山さんにとって一番大きな出会いは?】
まず僕の中で“神様”という位置づけにいるのが、早稲田の監督であった石井連蔵という男なんです。
今でも石井さんに教えていただいたことを僕の中で全ての判断基準にしています。
僕が3年生の時に野球部の監督に戻ってこられた方なんですけど、言う事全てが目からウロコだったんです。
試合で投げて打たれた時に怒られるわけですよ、その時に「こういう感じだからこういう風に投げたんです」と屁理屈をこねて答えると
「そういう事だからダメなんだ、気持ちが入ってない、魂を込めてボールを投げなければいけない」と言ういい方をされて、
その時はこっちも怒られてますからカーッとなって「何言ってるんだ!」と言うような態度を取っていたのですが、
よくよく考えるとそれが全てにおいて一番大事なことなので、本当に気持ちを集中しながら魂を込めて物事に対応しないといけない、と言う事を教えていただいて本当にすべてに通ずることなので。
僕2年浪人しているので現役で入ったらお会いしていないんです、なので浪人した2年間は僕が石井連蔵に会うために神様が設定してくれたと勝手に解釈しているんです。
恩師なので何かあるたびに会う事もあります。
今回も引退にあたってきちんと挨拶に行ったりもしたんですが、借りてきた猫のようになってしまっているので皆さまにはあまり人には見せたくないですね(笑)


【大きな壁・挫折は?】
基本的に目の前で起きた事に対して「辛い」と思う事がほとんどないんです。
そういう出来事が目の前にあった時に「これをどうやって克服しよう?」と考えるのが好きだったので、その時挫折したと言う風には考えてないんです。
振り返った時に「それをクリアできたな、結構苦しかったな」というかんじなので。
良くいろんな人に聞かれるんです「野球やって大変でしたよね、辛いことたくさんあるんでしょ?」と、でも辛いと思った事は一度もないんです。
スランプってなんだよって思っていましたからね、すべてが順調にいくはずがないのでダメな時にこそどう好転させることができるのか?と言う事を考えながらやっていたので。
これも石井連蔵の言葉なんですけど「もがけ」と「もがいてもがいて苦しんで、苦しんだ分だけ自分にプラスになっているから、いかにもがけるか」といつも言っていましたね、苦しんでないものはろくなもんじゃない、と。
もがくと言うのはなんとかしたいからもがくのであって、さじを投げて「どうでもいいや」と思った瞬間に終わるんです。
でももがき続ければそれが自分にとって必ずプラスになっている、と言う事で振り返った時に自分がこういう事をしてきた、と自信につながるんです。
出来ないからこそ出来るように頑張ることが一番大事なんです。
 〜例えば、プロ野球は数字と言う形で凄くはっきり成績が出てきてしまいますね、数字が悪い時は気にしたりは?
基本的には数字と言うものが大事なスポーツなんですけど、残念な事に公式記録員の主観で判断されるものでその記録員のジャッジですべてが決まるものなんですよ。
バッターがヒットだと思った当たりも、野手がグラブで弾いて公式記録員が「アレはエラーです」と言ったらエラーになってしまうんです。
そのジャッジだけでがらっと数字が変わってしまうので、正直数字を全くあてにしていなかったんです。
ただ、実際に投げて相手もしくは味方の連中がどう評価してくれているかが重要なので、その評価がより高いものになるように、という努力をしていたと言うのが現状でしたね。

 〜今、振り返ってみた時に一番大きな壁だったと思う事は?
壁と言う事で一番苦労したのは、アメリカでの一年間ですかね。
モチロン言葉が違うと言う事は事前に分かっていた事なんですけど、野球そのものに関する考え方て言うものが日本で経験してきたモノとはちょっと違っていたので。
 〜一番違ったのはどこですか?
選手の数がまず違うんです、日本では28人一軍にいて3人は試合から外れている状況でいわゆる「あがり」というシステムなんですがアメリカはそれが無いんです。
25人きっちり出試合をするのでピッチャーの数も足りない、もちろん野手の数も足りないと言う中でやりくりをしていて、連戦が非常に多いわけなんです。
なおかつ西と東の時差、いろんな事で日本の国内で行われているプロ野球とちょっと違うと言う感じになるので、その中で「どう苦労すればいいのか?」と言う事では悩みましたね。
 〜その中で小宮山さんはどう言うものを見せてやろうと思っていたのですか?
反省の弁を込めていつも言ってるのですが、僕はご褒美のつもりでアメリカに行ったので、学生時代からアメリカに行きたいと言う思いがあって最後アメリカでユニフォームを脱ぐんだと言う気持ちでいたわけです。ですから必死さが足りなかった。
毎日が楽しくて、ご褒美で旅行しているようなノリだったので。
もう一度人生やり直せるんならあの場所に戻ってちょっともがきたいな、と言う思いはありますね。

 〜アメリカの野球を経験した事で日本の野球の良さ・素晴らしさを再発見したことなどありますか?
これはいろいろありますよ。多分信じてもらえないと思うんですけど、『日本とアメリカの野球、どっちの方が質が高いか?』と言ったら日本の方がはるかに高いですから。
“クオリティ”と言う所での日本の野球の凄さはWBCを連覇した事で評価されていいのではないかと思います。
ただ選手個々の能力で言うとアメリカでプレーしているメジャーリーガーの方が日本でプレーしている選手よりも相当レベルが高い選手がいます。
日本の野球の質の高さはバレンタイン監督も口にしていて、日本の選手、特に高校野球が相当レベルが高いんです。なので高校球児はレベルの高さに自信を持っていいと思います。


【小宮山さんにとってのマイチャレンジソングは?】
アメリカでマウンドに上がるときの登場曲を球団から一曲選んでくれと言われてたまたまサザンオールスターズの曲は日本人のアーティストの中でアメリカでは受け入れられるだろうと言う風に思っていたので、その時はミスブランニューデイをお願いしたので、その曲です。
これには理由があって前奏が長いので、歌い出したらなんだこれ?となってしまうので、前奏である程度アメリカ人が聞いて耳になじむ曲と言う事で考えたんです。
それで、やんちゃな高校生時代に横浜スタジアムでのコンサートに行った事がありまして、アルバムタイトルと同じ「人気者でいこう」と言うタイトルだったと思うんですけど、そこでミスブランニューデイが流れてそれを聞いた時に「コレだ」と言う思いを持ったので。
横浜スタジアムが満員だったんですけどその全員が熱狂するぐらいの感じで、その時の前奏も全員狂喜乱舞だったのでそういうイメージで選曲しました。
あと僕はナショナルリーグで打席に立つ可能性のあるリーグだったので打席に立つ時の音楽も決めてくれ、と言う事だったのでコチラはプロに入ってからもっとも思い入れのあるMr.Childrenイノセントワールドをお願いしましたね。
その2組がアメリカでも受け入れられるだろう、と思っていたので。
ただ残念な事に、僕がマウンドに上がるときその曲が全く聞けないんですよ、うるさくてお客さんがガヤガヤしてて、もうちょっとボリューム上げろよ!と思っていたんですが、日本人の記者連中が「良い曲選びましたねー」と言ってきたので「僕は全く聞こえて泣くてがっかりしたんだけど」と言う話をしたのを覚えていますね。


【最後に大きな目標を?】
ずっと今まで野球をやってきたので野球を通じて何かが出来ればと思っていますが、実際にあれがしたい、これがしたいと言う思いはまだないので、「小宮山ちょっとこれやってくれ」と言う事があった時にきちんとそのリクエストに応えたいなと思いますね。
今、自分に求められているモノはなん何か?と言う事を考えて自分の中でより良い判断を下したいな、と思っています。
 〜もうユニフォームを着ないでボールを触らない生活には慣れてきましたか
今の時期ってみんなシーズンオフでこんな感じなので、ただ2月1日にユニフォームを着てない自分には変な感じになっていると思います。
もうその状況になった時にどんな感覚なんだろ?と言うのは楽しみではありますね。
 〜現役時代から早稲田の大学院に通うなど“勉強家”のイメージも強い小宮山さんですが、今学びたい事は?
あれがしたい、これがしたいと言う事はあまりないと言いましたけど、ただ一緒に早稲田の研究室に籍を置いていたので、そこで研究している連中から「こんなのデータであるんですけどどうですか?」となった時に現役選手として「あんな感じ」だ「こんな感じだ」と話をしていたので、これからもそういった形で一生懸命やってくれる彼らに少しでも力になれればなと言う風に思っていますけど。
まぁ言うほど自分も熱心に勉強はしていないので、コチラの事を上手に使ってもらえればいいですよというスタンスでやってきたので同様に続けていけたらいいと思います。
 〜早稲田も野球も離れられなさそうですね、どうでしょう早稲田の教壇に立つのは?
どうでしょ〜、早稲田にそこまでの勇気があるかな〜〜〜(笑)
早稲田の関係者がこのオンエアを聞いて「小宮山おもしろいじゃないか」と採用してくれるのならそれにこしたことはないですけど、僕が早稲田の人間だったら怖くてできないです(笑)
早稲田のおかげでここまで来たので愛校心はたっぷり持っていますけどね。




インタビューを終えて
格好いいサングラスに髭がトレードマークだった小宮山投手。スーツ姿も渋さと知的さもにじみ出ていて…とてもダンディ。

ご本人いわく、「どうしようもないふざけた子供」だったという少年は『早慶戦で神宮のマウンドに立ち、完封勝ちする』その一瞬の夢の為に、2浪して早稲田に入学。そしてその夢をなんと現実のものに…そこから先は「おまけ」と言う独特の達観した人生観!!


実は無類のサッカー好きという小宮山さんの第2の野球人生…充実のおまけの先にはさらにすごいことが待っているような気がしました。

(政井マヤ)


政井マヤ
パーソナリティ:
政井マヤ
メキシコ生まれの元フジテレビアナウンサー。フジテレビ時代には、スーパーニュース、ワッツ!?ニッポンなど情報番組を主に担当。2007年3月に俳優の前川泰之さんと 結婚、女児を出産。2008年からスポーツリアルトークのパーソナリティを務めている。
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