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【植田辰哉・うえた たつや】バレーボール (2010年3月15日〜19日オンエア)


毎週様々なアスリートをゲストにお迎えしてお送りしているスポーツリアルトーク。
この番組ホームページでは放送では触れることができなかった部分も含め、
インタビューの内容をお伝えしていきます。
先週のゲストはバレーボール男子日本代表の植田辰哉監督です。
日本代表男子を指揮して7年、男子バレーボール復興に力を注ぐ植田監督から、熱いお話をたくさんお伺いいたしました。




【昨年2009年はグラチャンバレーでメダルを獲得、まさに飛躍の年でしたが、お忙しい年でしたか?】
昨年は、今年行われる世界選手権の予選もありましたし、いろんな大会があってずーっと試合が続いたので非常に忙しかったですね。
 〜その中で一番印象的だった試合はどれでしょうか?
昨年はチームとして3つの優先順位を決めてやったんですけど、まず1つ目は世界選手権の予選を一位で通過するという事を決めていたので、それを実行できた事が一番印象的な事です。
2つ目はアジア選手権で優勝するという事で、常にアジアのトップに立つというのは大事だとおもっていたので、それも達成できた事が二番。
そして何といっても秋に行われたグラチャンで強豪のポーランドに勝つ事が出来ました。僕は2009年非常に厳しい年になると思っていたので、そういう意味では思った以上にうまくいったので(監督に就任した)2005年から見て一番いい年になったかと感じますね。
 〜代表就任で7年目ですが去年の活躍で急激に強くなった印象をどうしても受けているんですけど
ところが現場はそういう風に感じていなくて、まだまだ危機感を持っているんです。
2009年というのはどこの国もこれから強化を始めるという時でそんなに完成したチームが無いんですよ。
そういった意味では監督が変わらずにずーっと継続していた利点と、オリンピックに行ったメンバーが半分ぐらいいましたから若いチームですけどそういうキャリア的な意味では若干有利だったのかと思っています。
 〜そうは言っても主要大会でのメダルを獲得は本当に久々の快挙だったんですよね
そうですね、32年ぶりと聞いたんですけど、僕は4の倍数の記録が多いんですよ。
16年ぶりにオリンピックにも行きましたし、今回のは32年ぶり、2006年に世界選手権でベスト8になったのですがそれも24年ぶりこれも4の倍数。
そういう意味でオリンピックは4年サイクルなんで次のロンドンオリンピックもなんだかいけそうな気がしているんです。


【植田監督とバレーボールの出会いは?】
僕は父の勧めもあり小学校2年生からずーっと剣道をやっていたんです。
それで、警察官の方にも剣道を教えてもらったりした縁もあり自分も警察官になりたい夢もあったので中学校に入っても剣道を続けるつもりだったのです。
中学一年生の夏前ぐらいに、すごく優秀な監督さんが急に亡くなられてしまったんです。
僕はその先生を頼って中学に行ったものですから「どうしよう」と思っていた時にたまたまバレー部の顧問の先生の方が「植田君大きいからバレーしないか?」と誘ってくださったことがきっかけで始めました。
父親には叱られましたけどね、当時はアタックNO.1など女性がするスポーツという見方が強かったので「そんなバレーボールなんて女のやるスポーツだー!」とずーっと反対されていましたけどね。
 〜ご自身はそれまでバレーボールに関して興味や関心はあったのでしょうか?
それがあんまりなかったんですよ、でも先生から誘われた誘われ方が「お前は手も大きいし足も大きいから絶対背も大きくなるから、そうなったら全国大会にも絶対いける」と希望を持たせられるような話し方をしたので、そういう風に言われると子供心にやっぱりうれしいものじゃないですか、それでこの監督について行こうとなったわけです。
それに前年度のバレーボール部も全国大会に出ていて強かったんですよ、それで説得力もあるしバレーボールをやってみようかな、となりましたね。
 〜スポーツの入り口は剣道だったという事で何か活かされている事はありますか?
良く言われるのは姿勢がすごくいいと言われるんですよ、一部では「体が硬いだけじゃないか」とも言われるんですけど(笑)
 〜バレーボールの面白さ、始めてみてどんなところに見出しましたか?
バレーボールというのは人間の本能と反するスポーツなんですよ。
要するに、持ってはいけない、投げてはいけない、バレーボールというのはレシーブもアタックもトスもブロックも全て弾くでしょそういう意味ではとっつきにくい競技なんですけど、
ただ僕にとってはやればやるほど面白みのあるスポーツだな、と思いましたけどね。
過去に金メダルも取りバレーボール自体の伝統もありましたから、いまではバレーボールの先生に感謝しています。


【植田監督にとっての挑戦は?】
今、言われて思い浮かぶことはやはり北京オリンピックに向けて挑戦し続けた4年間ですね、北京に出場するためにプランを立てその中でのいろんな葛藤が一番思い出深く一番挑戦でしたね。
本当に重圧ですね、水深500メートル沈められたような、何とも言えない重圧と緊張と責任を感じました。
そして最後にキャプテンの荻野がスパイクを打って相手のワンタッチで外れた瞬間に全てが吹き飛びましたけどね。
自分が92年にキャプテンでオリンピックに出させていただいたんですが、その時はもちろんキャプテンとしての重圧があったんですが、その何倍も苦しかったですからね。あの苦しみがまた近々来ると思うと、胃が痛くなってきますからね。
個人で戦っている分には何をしてもいいと思うんですよ、しかし公の場で国民の代表として戦う以上は結果を残さないといけないと思いますし、そういった責任を背負った姿で戦っていけないと思います。

【その他に印象的な挑戦はどのようなことが思い浮かびますか?】
選手に対する挑戦ですね、僕普段は穏やかなんですよ。自分では決して厳しい監督じゃないんです、しかし体育館に入ったら常に監督と選手の間には火花が散るような戦いがあるんですね。
なので体育館に入った瞬間から心を鬼にして、いろんな個性があったりしますけど監督の顔に変わらなければいけないと思っています。
 〜昨年11月にはリーダーとしての経験をまとめられた「徹底マネンジメント」を出されていますが、そのあたりにもつながっていくことでしょうか?
最近はライフワークからワークライフバランスと呼ばれるようになりましたが、その一番のキーポイントはは「医食住」なんですよね。
普通は「衣食住」ですが「衣」ではなく「医学」の「医」なんです、まずは健康であることが大事で健康でなければ「食」食べることもできないわけですし、そして「住」住むという事は自身の環境ですからタバコを吸うとか茶髪にしているとか並べたスリッパを並べるとか住んでいる部屋を片付けるとか、全てにおいて「紳士のスポーツなんだ」と「さすが全日本男子のバレー、どこから見てもオリンピックチームだな」と言われるような3つのバランスを取っていこうよという事で2005年から改革してきました。
その結果BMIという体格を現す数値があるんですが、日本は男子バレーの世界でトップ3に入るくらいの数値が出てきたんです、体脂肪が低くて体重が重く体格がしっかりしてきているんです、本当に裸になった時僕が見ても「いい体になってきたな」という選手が増えてきたので、もっともっと鍛えて世界に挑みたいですね。


【植田監督が監督として心掛けている事は?】
やっぱり体育館に入って出るまで常に目を光らせて『見逃さない』という事です。それはいいプレーも見逃さないですし、ちょっとした抜いたプレーも見逃してはいけないと、そういう目配りを常に心がけていますね。
 〜若者論というのはいつの時代もありますが、ご自身の若い時代と何か違う事はありますか?
そうですね、良いところも沢山ありますチャレンジ精神も非常に旺盛ですし、何事に対しても情報が豊富ですからねいろんな知識も持っています。
しかし我々の世代と大きく違うのは“叩かれてない”体罰という意味ではないんですが、叱られ慣れていない子供が多いような気がするんですよね。
そういった意味では、褒めるところはちゃんと褒めるという感じです、僕らの世代はホントに叱られっぱなしで育ってきた世代なんで。
 〜叱る際はどういった事に気をつけていますか?
具体的に叱る、具体的に褒める、という事が大事ですよね。人格を絶対にけなしてはいけないですし褒めてもいけないと思います。
たとえばAという選手がいたら「お前はすごいな」「お前は素晴らしいな」とずーっとA選手の全体を褒め続けると、私がいなくなった時にA選手は努力をしない選手になってしまうと思うんですよね。
ところがいいプレーをしたときに「お前のあのプレーが良かったからチームが勝つことができた」と言ってその時のプレーを具体的に褒めてあげる事が選手を伸ばす大きなコツなのではないかな?と思います。
叱るときも一緒です「お前、あの時のこのプレーはどうなっているんだ?」とプレーを具体的に注意することが非常に重要だと思います。
それでも僕もたまにキレて「どうなってるんだ!ふざけるなお前!」と怒りだす事もあります、その時も必ずその選手を呼んで「オレな、あのときちょっと言い過ぎ」とちゃんと謝ります(笑)
なので選手たちも「これ以上いったら植田さんヤバいぞ」という事に気づいていると思います、だから2009年はほとんど爆発しませんでしたから、非常に穏やかな一年でしたからね。ホントに選手たちはよくやってくれて、僕よりも選手たちのほうが賢くなってきたと思います。
 〜(笑)それにしても具体的に叱るという事は管理職の方や子供を持つ親にもすごく役に立ちそうですね。
そうですね、人を注意する場面ではどんな場面でもにも通じる非常に大切なことだと思います。



今週も先週に引き続き植田監督にお話をうかがっていきます。

政井マヤ
パーソナリティ:
政井マヤ
メキシコ生まれの元フジテレビアナウンサー。フジテレビ時代には、スーパーニュース、ワッツ!?ニッポンなど情報番組を主に担当。2007年3月に俳優の前川泰之さんと 結婚、女児を出産。2008年からスポーツリアルトークのパーソナリティを務めている。
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