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【遊佐雅美・ゆさまさみ】ライフセーバー (2010年9月20日〜9月24日オンエア)

夢に向かってチャレンジするアスリートをクローズアップ!
先週のゲストはライフセーバーの遊佐雅美選手です。
全日本17連覇中、そして世界選手権でも4度栄冠に輝いた遊佐選手に貴重なお話をたっぷり伺いました。



【遊佐雅美・ゆさまさみ】ライフセーバー
神奈川県出身、1973年生まれ
1993年ジャパンサーフカーニバルビーチフラッグスで優勝してその名を轟かせると、
世界選手権では1994年・1996年・2000年・2008年と4度の優勝を経験。
現在第一線で活躍し続け、全日本ライフセービング選手権ビーチフラッグスを17連覇中、
まさにビーチフラッグス界の無敵の女王です。



【まずはビーチフラッグス競技についてお教えください】
まず大きく分けてプールの中で泳ぐ競技と、ビーチで行う競技の2種類に別れます。
ビーチでは砂浜を走る競技だったり、海を泳ぐ競技だったり、パドルボートと言ってサーフィンより少し大きめのボードを漕いで沖に行き、救助者に見立てて設置された部位があるのでそこまで行って素早く戻ってくる競技なんかもあります。
その中でも私が一番得意としているのは皆さんも一度は見た事があるかもしれないビーチフラッグスです。
 〜全て人命救助の技術を高めるために行われているんですよね?
夏のシーズンに向け、誰よりも早く救助に向かうために自分の体力とか技術を競い高める場がライフセービングの競技会です。
 〜心肺蘇生法のコンテストと言うのもあるんですよね?
CPRコンテストと呼ばれる競技なんですが、人形を使って人工呼吸と心臓マッサージをしてそのデータを取って出てきたものの合計点で競います。
これは当日まで誰が選ばれるかわからないので、しっかりその技術を身につけていないといけません、これも実際に海で事故が起きてしまった時の為の準備につながります。
ライフセーバーは事故を未然に防ぐ事が一番重要な活動なのですが、万が一事故が起きてしまったらマッサージや人工呼吸をきちんと施せるように、と言う事につながっています。
 〜その数多くの競技の中で遊佐さんが一番得にされているのがビーチフラッグスですが、簡単に競技の説明をお願いします?
スタートは進行方向と逆を向いてうつぶせの姿勢で待っています、合図とともに振り返り20メートル先のホースを取るのですけどそのホースが人数より少なくて、皆さんが子供の頃に遊んだイス取りゲームと同じ感じでイスではなくホースを取りあいます。
実際の競技ではスタートする時の回転で一秒、実際にホースを手にするまでで4〜5秒で終わってしまう競技なのでホントに一瞬で終わってしまします。
救助の際は一瞬の判断力が大事ですのでその部分を鍛えられる競技なんです。


【遊佐雅美選手とライフセービング競技との出会いは?】
今から18年前です、小学校の頃からずーっとスポーツをやるのは好きだったのですけれども高校を卒業し専門学校に入り「何か変わった事をやりたいな」と思っていて、そんな時にライフセービングの講習があり講師の方が「あなたが愛する人が目の前で溺れていたらあなたは助けられますか?」と問いかけられ私は「多分自分の子供が目の前で溺れていても助ける事が出来ないんだな」と思ったので、自分がライフセービングを始める事で1人でも多く海で悲しい思いをする人が減ったら良いなと思い、始めました。
そしてその年の6月にちょうど日本で初めてライフセービングの世界大会が静岡の下田で開催されて、そこで大会を目にして「自分もこの大会に出てみたい」と思い競技の方も始めたんです。
あと実際にライフセービングを始めて4カ月後に海でパトロールをしたのですけど、沖に向かう潮の流れに男性がはまってしまいまして自分が助けた時に「もっと早く助けるために自分のトレーニングが必要なんだな」と思い、そこからさらに毎日トレーニングに励むようになりました。
 〜男性が溺れているのを遊佐さんが1人で助けたのですか?
その時は一年生だったので浜にはちゃんと先輩が見ていて下さったのですが、1人で救助しました。
溺れた人は選べないので、自分より体が大きい人を助ける事もあるので日々トレーニングは欠かさずしています。
 〜元々泳ぎは得意だったのでしょうか?
それが実はあまり得意ではなく多分人並み以下ぐらいしか泳げなかったです。競泳とかもそんなにやってこなかったので。
 〜怖さとかはありませんでしたか?
急に足がつかなくなったり、潮の流れがあるのでハマってしまったら泳力のある人でもなかなか戻ってこれなくなりますし、波が高い日もあります。
でも恐怖と言うよりは、毎日のように海に入る事によって海の楽しさを知る事が出来ました。
そういう意味でもライフセービングをはじめてよかったと思います。
 〜トレーニングはどのくらい重ねていたのでしょうか?
専門学校のトレーニングでも火曜木曜がプールで月水金がウェイトトレーニングで土日は海に行って救助練習をするという感じで一週間みっちりやっていました。
 〜ビーチフラッグスとの出会いは?
ライフセービングを始めて2カ月後ですね。その時はビーチフラッグスの事も全く知らなくて見た時に「凄い楽しそう」と思った競技だったんです、ホントに目の前で見られますしドキドキしたので。
 〜始めてみて手ごたえを感じたのはいつごろですか?
始めた時に全日本で4番に入る事が出来たので「これはちょっといけるのでは?」と思いました。


【遊佐雅美選手にとって最大の努力と言うとなんでしょうか?】
ライフセービングを始めて色々な努力をしてきたんですけど最近本当に一番頑張ったなと自分で思える事があって、実はあまり知らない人も多いのですけど突発性の難聴になってしまってまだ左耳もほとんど聞こえないのですけど、それで一時期競技も人命救助もすべてライフセービングを辞めようかなと思ったんです、でも自分が自分らしくしていられるのはライフセービングをしている時だなと思ったので続ける事を決意しました。
 〜それはいつ頃の出来事だったのでしょうか?
今年の2月です毎日泣いていて「私はもう競技はできないんだな」と思ってしまったし2カ月ぐらい「人にも会いたくないな」と思っていた時もあったのですけど、その時も友達に励ましてもらってこの仲間と一緒にできる事ってライフセービングの活動だなと思ったので。
だから一番頑張ったのは今年かな、とおもいます。
 〜競技中の笛の音なども聞こえづらくなりますものね
ビーチフラッグスは瞬発力と集中力がカギになります、ですのでそれが聞こえづらくなるとどういう影響が出るかわかりませんでした。
しかし、今年6月の大会に優勝して2年に1回の世界大会に選ばれたので挑戦の一年になりました。
 〜今まで10としていたらどれくらいになってしまったのでしょうか?
10分1ぐらいですね。
 〜聴力をカバーするために何か行いましたか?
それが特に何もしてないんです(笑)それまでと変わらない日常生活の中でいつも通り練習をしていました。
 〜その時に家族や仲間から支えはどんな事がありましたか?
友達からメールで「今まで頑張って来て叶わなかった事は無かったよね、努力すれば絶対に良い結果につながっていくから頑張ってね」と貰った時にまだ頑張ってみようかなと思えました。
あとテレビで全盲の女の子が泳いでいるのを見たんですよ、その子は全く目が見えなくて飛び込むのが怖いらしいのですけどそれでもパラリンピックで優勝するのがその子の夢、と言うのを見て私もまだまだ全然頑張れるんだな、とその子に勇気をもらえたのでだから今の自分があるんじゃないかと思います。
 〜この経験で得たものは何かありますか?
そこで諦めていたら全てを辞めてしまったと思うのですけど、努力して目標を立ててやれば絶対に夢は叶うなと思いました。
それにこれでまた新たな挑戦ができるというか、生まれ変わったというのは変かもしれませんがまた一つ成長できたのではないかな、と思っています。


【遊佐雅美選手にとってのマイ・メモリーソングは?】
マイケル・ジャクソンビリージーンです。
ビリージーンだけではなくマイケル・ジャクソンの曲が全般的なんですけど、去年マイケルが亡くなってしまって映画も凄い見に行ったんですけどたくさん見て、その時も全日本の連覇のプレッシャーに色々やられている時期だったので気持ちを落ち着かせたい時はバラードを聞いて集中したい時は元気の出る曲に変えたりして聞いていました。
 〜やはり連覇のプレッシャーは相当なものなんですね、何か怖さみたいなものはありますか?
ビーチフラッグスは早い選手が必ずしも勝てる競技ではありません、ちょっと躓くと本当に挽回が出来ないんです。
なのでレースが始まって実際にホースを手にするまでは緊張などありますね、スタートの時は何も考えないのですけど走っている時は大体4秒ぐらいの時間なんですけど周りが見えたり自分のレース展開が見えるので、最後ホースを取ってハッと我に帰った時に一番安心しますね。

 〜ライフセーバーの生活も伺いたいのですが、やはり夏は忙しいのでしょうか?
そうですね、暖かい季節は監視活動がありますので、イベントなどで色んなところに行ったりはするんですけどほとんど毎日2ヶ月間海にます。
今年は藤沢の片瀬江の島の東浜海水浴場、江の島を見て左側の海水浴場なんですがそこにほぼ毎日いました。
 〜今年の夏は特に暑かったのですが影響はありましたか?
7月1日から猛暑が続いていたのでコンスタントにお客さんはずっと入っていましたね、大体多い時で約10万人ぐらい来ていただきました。
 〜それを何人ぐらいで監視するのでしょうか?
20人ぐらいですね、でもお客さんもみなさんいい人たちばかりで安全に遊んでいただけたお客さんが多かったので無事に終える事が出来ました。
 〜海と接するようになって何か変わった事ってありますか?
おおらかになったと思います、良い意味で「なんとかなるね」と思える性格になりました、海を見ていると海は本当に広くて自分はちっぽけな人間だなと思えるようになったので。


【遊佐雅美選手にとって今後の大きな目標は?】
2010年も2ヶ月間海の方は無事故で終えたので気持ちを切り替えて10月6日からエジプトで開催される世界大会で一つでも多く金色に輝くメダルを持って帰る事が自分の今の目標です。。
 〜今年は突発性の難聴になり競技を続けるかどうかでも悩んだ年、大きな決意を持って臨む大会になりそうですね
初めての世界クラスの大会なので、ある意味気持ちが楽と言うかチャレンジするという気持ちに変わっているので良い意味で言いプレッシャーを持って頑張ってきたいですね。
 〜他にも今年は大きな目標があるんですよね?
はい、その後10月の22日から始まる日本選手権で18連覇をする事です。
みなさん「ここまで来たら20連覇もいけるんじゃないか?」と言われるんですが、いつまで出来るかわからないのですけど続けられるだけ続けていきたいですね。。
 〜何才ぐらいまで現役でいたいと思われますか?
ライフセーバーには引退はないと言われています、でも人の命が助けられなくなった時が引退だと思っているので、生涯現役でいられるように日々トレーニングして頑張っています。
 〜ライフセーバーとしての目標は?
今年は無事故で終える事が出来たので、来年もその次のシーズンも海で悲しい思いをしている人がでないように一つでも自分が人の役に立てたらいいと思っているのでずーっと無事故で終える事です。
 〜事故を未然に防ぐのが一番の仕事ですよね、その為に何か訴えたい事はありますか?
最近もお酒を飲んで海に入ったりするお客さんや、泥酔してビーチで倒れているお客さんも多いので目の前が海で危ないのであまりお酒を飲み過ぎないようにしてほしいなと思っています。
私もビールが好きなので(笑)
 〜私たちも海に行ってライフセーバーの方がいると安心できます、これからも頑張ってください
今は色んなところにライフセーバーが増えてきました、ですがまだまだ海水浴場になっていない海に入って溺れるという方も多いので、やはり海に行く時はライフセーバーのいる海に行くのが安全じゃないかと思います。
海は色んな顔があるので、その日のコンディションについて聞いていただければ詳しく教えてくれてより安全に遊べると思いますのでぜひ声もかけてみてください。

政井マヤ
パーソナリティ:
政井マヤ
メキシコ生まれの元フジテレビアナウンサー。フジテレビ時代には、スーパーニュース、ワッツ!?ニッポンなど情報番組を主に担当。2007年3月に俳優の前川泰之さんと 結婚、女児を出産。2008年からスポーツリアルトークのパーソナリティを務めている。
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