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2019年3月26日
パワーリフティング・大堂秀樹選手 (2)

今回も、パワーリフティングの大堂秀樹(おおどう・ひでき)選手をゲストにお迎えしてお送りしました。

 

大堂選手は競技歴20年以上。パラリンピックには、2008年の北京大会から、ロンドン、リオと、3大会連続で出場しています。

昨年には、『北九州2018ワールドパラパワーリフティング アジアオセアニアオープン大会』で銅メダル、そして、『インドネシア2018アジアパラ競技大会』でも銅メダルに輝き、日本人として初めて、2つの国際大会でメダルを獲得しました!

 

スタジオにその2つのメダルを持ってきてくれました。

写真は、アジアパラ競技大会の時のメダル。

リオ2016パラリンピックのメダルと同じく、視覚に障害がある方に配慮して、振るとシャラシャラ…という涼やかな音が鳴るように作られています(メダルの色によって音が違います)。

 

大堂選手は、これまで、パラリンピックを含む数多くの国際大会に出場していますが、その中でも特に印象に残っている大会は、2018年9月に開催された「北九州2018ワールドパラパワーリフティング アジア・オセアニアオープン選手権大会」だといいます。

リオ2016パラリンピックの前年、2015年の試合でのこと。

いつものフォームではなかったこともあり、ちゃんと胸を張ることができませんでした。その時点で諦めて、バーをラックに戻せばよかったのですが、大堂選手はその試技を捨てる覚悟がなく、下ろしてしまったのです。

その瞬間、肩がゴリゴリと音を立て、「やばい・・・」と直感したそうです。

右肩の脱臼。

怪我に苦しむ日々が続きました。

痛みを抱えながら出場したリオ大会では、本来の実力とは程遠い結果に終わり、悔しさだけが残りました。

そこから見事に復活を遂げたのが、このアジアオセアニアオープン大会だったのです。

記録は自己ベストに迫るところまで戻り、自分の力を出し切れたという手応えもあり、感動のあまり、競技人生で初めて試合で涙を流したそうです。

 

大堂選手にとって印象深い大会となったアジア・オセアニアオープン選手権ですが、実は、観客にとっても印象に残る大会となりました。

試合が行われた会場は競技場や体育館ではなく、ふだんは演劇やコンサートが行われる北九州芸術劇場。

ステージ上には、選手の表情を見られる大型スクリーンや、映像を使った演出、照明やBGM、DJなど、エンターテイメント性の高いステージでした。

「パラリンピックを含めても、今まで出場した大会の中で演出が一番すごかったと思います」と感想をのべた大堂選手。

今年の全日本選手権でも、ステージでは様々な演出がされ、競技や選手について等の解説もあったりと、初めて試合を見に来た方でも十分に楽しめる大会となっていました。

ぜひ一度、会場で試合を観てみることをおすすめします!

 

さて、いよいよ1年半後に迫ったパラリンピック。

実は、パワーリフティングには開催国枠がなく、パラリンピックに出場するためには、「2020年4月に行われる大会までに世界ランキング8位に入る重さを挙げていること」という基準が設けられています。

確実にパラリンピックに出られるのは8人。現在、大堂選手は11位。

大堂選手は「怪我をせずにいけば、いけるだろうという思いがある」と自信をのぞかせました。

そして、「今年は世界選手権が全て。そこで出し切れるようなトレーニングをしていかなければいけないと思っています」と、パラリンピックの前哨戦ともいえる、世界選手権にかける思いを語りました。

世界選手権は今年7月、カザフスタンで開催されます。

 

最後に、上をめざして進もうとする方に伝えたい“Going Up”な一言を伺いました。

『自分を信じろ!』

「自分を信じていれば、必ずその事を成せる。試技の時、自分を信じないと、ちょっとでも疑いがあると、重いものは挙がらない。出し切れる自分を信じれば必ず挙がる」そんな強い思いが込められています。

 

鈴木亮平さんが、様々なパラリンピック競技に挑戦する動画シリーズ『鈴木亮平の熱血パラリンピックスポーツチャレンジ!』では、パワーリフティング「練習篇」と「試合篇」が公開されています。

大堂選手と、以前Going Upに出演されたマクドナルド山本恵理選手に、いろいろな「極意」を伺っています。

ぜひ、このHPにあるリンクをクリックして、アクセスしてみてくださいね!

 

そして、大堂選手は、4月13~14日に京都で開催される、『第2回 パラ・パワーリフティング チャレンジカップ京都』に出場予定です。

お近くの方、ぜひ会場に足を運んで、パワーリフティングの迫力や緊張感を感じてみてください!

 

次回のゲストは、柔道の半谷静香選手です。どうぞお楽しみに!

 

大堂秀樹選手のリクエスト曲:くーな / 鈴木雅之

テレビのバラエティー番組のエンディング曲。この曲が好きで、犬にもこの曲のタイトルと同じ名前をつけたそうです。愛犬「くーな」と遊ぶのが、大堂選手のリラックス法だということです。

2019年3月22日
ウィルチェアーラグビー ケビン・オアーHC インタビュー

ラグビーイヤーの今年。

パラスポーツファンにとって忘れてはならないのが、『ウィルチェアーラグビーワールドチャレンジ2019』です!

世界ランキング上位国による世界トップレベルの戦いが、10月16日から20日まで、東京体育館で繰り広げられます。

昨年、4年に1度行われる世界選手権で、日本ウィルチェアーラグビー史上初の世界チャンピオンに輝いた日本代表!

その日本代表を指揮するのが、ケビン・オアー ヘッドコーチ(HC)です。

 

1968年6月29日生まれ、アメリカ出身のケビンHCは、現在50歳。

ウィルチェアーラグビー・アメリカ代表HC、カナダ代表HCを経て、2017年に、日本代表のHCに就任しました。

※アメリカ代表HC(2002-2004):アテネパラリンピック(銅)

※カナダ代表HC(2009-2016):ロンドンパラリンピック(銀)リオパラリンピック(4位)世界選手権(銀・2014年)

 

日本代表の試合では、ベンチから大きな声で、チームを鼓舞する姿がとても印象的なケビンHC。

日本代表について、そして、ご自身のキャリアやプライベートについて、インタビューしました。

 

現在の、ウィルチェアーラグビー日本代表について、「才能があり、フィジカルも強く、戦略的にも優れているチーム」だというケビンHC。

就任して2年、一番の変化は「フィジカルや戦略に加え、メンタルの成長」だといいます。

特に、昨年4月の強化合宿では「Belief(信じること)」をテーマに掲げ、「メンタルの強さ」や「決断力」といった、試合の中での心理的な部分に重点が置かれました。

自分たちを信じて、国のために、チームのために戦ったことが、世界選手権“金メダル”という大きな成功を収める要因となりました。

 

生まれた時から障がいがあったケビンHCは、1984年のロサンゼルス五輪のときに、エキシビションとして行われた陸上(車いす)のレースを見て、競技を始めました。

1988年のソウルパラリンピックでは、陸上(車いす)800mと1500mで銅メダルを獲得したアスリートです。

イリノイ大学在学中には、陸上や車いすバスケットボールをやっていましたが、22歳の時、インターンシップで、(当時まだ新しいスポーツだった)ウィルチェアーラグビーのコーチを始めたことが、指導者としてキャリアを築くきっかけとなりました。

「他のコーチをまねするのではなく、自分のスタイルをみつけていった」というケビンHC。

コーチを務めたクラブチームは、全米選手権10年連続で決勝に進出し、5回の優勝を果たしました。

 

指導者として喜びを感じるのは、「improvement(上達、進歩)」。

つまり、選手たちの成長を見るのが楽しみだと話します。

日本代表でいうと、池崎大輔(いけざき・だいすけ)選手や池 透暢(いけ・ゆきのぶ)選手といったスター選手のプレーを見るのももちろん楽しいけど、女子の倉橋香衣(くらはし・かえ)選手や若手の橋本勝也(はしもと・かつや)選手の成長を見るのは、とても嬉しいと語っていました。

 

今回、そんなケビンHCのプライベートにも迫りました。

趣味は、なんといっても「バスフィッシング」!

そう言いながら、満面の笑みを浮かべ、おもむろにカバンから取り出したのは、日本の釣り雑誌。

写真でルアーを見比べたり、日本の釣り具屋さんにも立ち寄ったり、YouTubeで日本の釣り番組もよく見ているそうです。

「(アメリカのプロの間でも有名な)琵琶湖で、いつかバス釣りをしたい!」と話していました。

いつか、その夢が叶うといいですね。

好きな食べ物は、お寿司、焼肉、しゃぶしゃぶ、すき焼き!

「食べるのも好きだけど、友人と食事を囲んで一緒に過ごす時間が楽しい」と日本で過ごす時間も楽しんでいらっしゃるようです。

 

ケビンHCは、選手とコミュニケーションをとる上で、日本語も積極的に使っていらっしゃいます。

試合中も「5(ゴー)、4(ヨン)、3(サン)…」と日本語でカウントしたり、強化合宿では「走ってー!」とコートで鼓舞する姿も印象的でした。

最近のお気に入りの日本語は、「わかりました」と「行きましょう!」

日本語を使いながら気さくに選手たちと接する中で、信頼関係を築いている様子がうかがえます。

 

“Going Upな一言”は、『BELIEVE』

「自分自身やチーム、トレーニング、コーチ…すべてを信じることで、さらに、上へと進むことができる。これは、世界の強豪に勝つための大きな力になるだろう」と、この言葉に込めた思いを語り、「『信じる』ことが、(世界選手権での)日本代表の大きな成功につながった」と続けました。

 

最後に、Going Upリスナーにメッセージをいただきました!

「ぜひ会場で応援してください!日本では毎年、日本選手権も行われていますし、今年10月には、『ウィルチェアーラグビーワールドチャレンジ』も行われます。2020年には東京2020パラリンピックが開催されます。日本のみなさんのホームでの応援、よろしくお願いします!大会で、みなさんにお会いできることを楽しみにしています!」

 

東京2020パラリンピックで金メダル獲得を目指す、ウィルチェアーラグビー日本代表。

ケビンHCのもと、その偉業を成し遂げる瞬間をぜひ見たいですね。

その、パラリンピックをより楽しむために、絶対見ておきたいのが、10月に東京で開催される『ウィルチェアーラグビーワールドチャレンジ2019』!!

ぜひ会場に足を運んで、緻密な戦略から繰り広げられるダイナミックなウィルチェアーラグビーの迫力を肌で感じながら、ウィルチェアーラグビー日本代表に大きな声援を送りましょう!

2019年3月21日
パワーリフティング・大堂秀樹選手 (1)

今回のゲストは、パワーリフティングの大堂秀樹(おおどう・ひでき)選手です。

 

パワーリフティングは、ベンチプレス1種目で行われる競技で、下肢(脚)に障害がある選手が対象です。1964年の東京パラリンピックから正式競技となっています。

障害の種類や程度によるクラス分けはなく体重別(男女それぞれ10階級)で行われ、同じ階級の中で一番重い重量を挙げた選手が勝ちという競技です。

 

大堂選手は、2008年の北京から3大会連続でパラリンピック出場し、北京では75kg級で8位、ロンドンは82.5kg級で6位、リオでは88kg級・8位入賞を果たしています。

 

体の中では「三頭(二の腕の後ろ側)が発達している」という大堂選手は、3つの自己ベストを持っています。

ひとつは、日本パワーリフティング協会(健常者)が開催した2011年の大会で、当時の日本記録として出した200kg。そして、 パラリンピック種目の旧階級、82.5kg級で出したのが197.5kg。

現在の階級である88kg級では、196kgをマークしています。

 

様々なパラリンピック競技に挑戦する動画シリーズ『鈴木亮平の熱血パラリンピックスポーツチャレンジ!』でパワーリフティングを体験した鈴木さん。

実際に体験して感じたのは、「(パワーリフティングは)パワーを競うスポーツではあるけれど、メンタルもすごく大事で、重りを挙げるまでの2分間(※)という時間をどう使うかというのがポイント」だということ。

試技を始めるまでに、いかに集中力を高めるか。

会場に入場してすぐに挙げる選手もいれば、大堂選手のように2分の制限時間をギリギリまで使って挙げる選手もいて、2分間の使い方は選手それぞれです。

※試合では「Bar is loaded(準備完了)」という主審の掛け声で入場してベンチ台で準備をし、バーを持ち腕を伸ばして「スタート」という合図がかかるまでを2分間で行わなければいけないというルールがあります。

 

大堂選手は、「自称なんですけど、“世界一2分間をうまく使う男”です!」と自信に満ちた発言。

試合でのルーティーンはというと、入場してプレス台に寝転がり、まず、両手を前に出します。この時に、思い切り息を吸いつつ、大胸筋のあたりにグッと力を入れます。

「全ての神経を集中するために、指を一本一本確認します。一本一本を確認すると、脈拍もわかってきて、今度は肺を広げる動作をします。肺を広げると、次に呼吸する時にいっぱい吸えるんですよ、感覚として。いっぱい吸って内圧を高めるという感じです。そして、外からの外圧に対して、内圧を高めることで(バーを)挙げる、みたいなイメージです」

この“2分間”の後、200kg近い重りを挙げる試技は圧巻です!

 

競技歴は20年以上という大堂選手。

パワーリフティングの魅力について伺いました。

「健常者も障がい者も、重いものを挙げた奴が一番かっこいいじゃないですか。それに、パワーリフティングには貧富の差というものもないんですよね。道具一個あれば、何十年も練習できる。なので、いろいろな地域でやっていますし、雪がなければできないとか、プールがないとできないということもなく、(ベンチプレス台が)一台あれば、健常者も障がい者もみんなができる、究極のバリアフリーな競技だと思います」

 

『鈴木亮平の熱血パラリンピックスポーツチャレンジ!』で、鈴木さんを指導した大堂選手。

「鈴木さんは、器用ですね。上手ですよ、体の使い方とか。他の動画も見ましたが、どれもうまいですね。運動神経がすごい!」と大絶賛です。

そんな大堂選手からGoing Upリスナーのみなさんに、メッセージをいただきました。

「『鈴木亮平の熱血パラリンピックスポーツチャレンジ!』を見て、2020年のパラリンピックも観に来てくれるとうれしいです。この動画で予習すると、より面白く、試合を観られると思います。ぜひご覧ください!」

 

鈴木さんの奮闘ぶり、そして、大堂選手の試技・・・

ぜひ、アクセスして、何度でもご覧ください!

(番組HP内にあるリンクからアクセスすることができます)

 

次回も、大堂選手をゲストにお迎えしてお送りします。どうぞお楽しみに!

 

大堂秀樹選手のリクエスト曲:My Revolution / 渡辺美里

ロンドンパラリンピック頃から、海外遠征に行った時、試合前に部屋で支度する時に聴いているそうです。気分が盛り上がる一曲だということです。