太田雄貴選手との交流、そして2020年東京パラリンピックへ向けて-櫻井杏理(プロ車いすフェンシング選手)インタビュー(4)

ニッポンチャレンジドアスリート・櫻井杏理(プロ車いすフェンシング選手)インタビュー(4)】

障がい者アスリート(チャレンジドアスリート)、および障がい者アスリートを支える方にスポットをあて、スポーツに対する取り組み、苦労、喜びなどを語ります。

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櫻井杏理(さくらいあんり)
1988年11月15日、京都市生まれ。椎間板ヘルニアが悪化し、20歳のときから車いす生活に。アウトドア洋品店でアルバイト中に競技関係者にスカウトされる。2014年10月から車いすフェンシングを始め、日本のナショナルチーム入り。短期間で飛躍的な成長を見せ、2020年・東京パラリンピック代表候補として注目されている。

 

―京都在住の櫻井は現在、大阪の日阪製作所に勤務している。入社した理由は?

櫻井 一番大きな理由としてはパラリンピック出場権獲得にあたって世界転戦をしなくてはいけないという絶対条件がある中で、国から各競技団体に支給される活動費にも限りがあるので、貯金を切り崩して出場しているというのがその当時の状況でした。まずは活動費を確保できて会社としても支援してくださる企業を探すことを決めて、つなひろワールドさんに登録しました。その直後に、タイミングよく日阪製作所がアスリート契約の募集を出されたのでお願いしました。

―今、仕事と練習時間の兼ね合いはどんなふうになっているのだろう。

櫻井 8時半の始業は全社員と同じ始業時間で始めて、退社時刻を15時半に設定してもらっているので、そこからすぐに京都の練習場所に移動してだいたい16時半~17時くらいに始めて、夜の20時から21時くらいまで練習するというのが生活スタイルになっています。

―同僚にはパラ水泳でリオ行きを決めている中村智太郎選手もいるが、これも櫻井にとって大きな励みになっている。

櫻井 パラリンピックで実際にメダルを獲得されているようなトップクラスの選手と日々、顔を合わせて会話させていただき、刺激をもらっています。

―職場の人たちも櫻井のことを気にかけてくれているそうだ。

櫻井 遠征に行く前や帰った時に社長や専務などの役員クラスの方から同部署、他部署のいろいろな多くの社員の方々が声かけてくださるので、恵まれた環境にいるなと日ごろから思っています。

―家族も櫻井のことを励ましてくれている。

櫻井 一番身近な存在です。障がいを負った直後からずっとそばで支えてくれているので、こうして一つのスポーツに取り組めるようになったということは、家族にとってもうれしい出来事であったみたいです。姉は、障がいを負ったあの状況からよくここまで来れたよねと言ってくれますし、結果だけではなくてスポーツを楽しむという気持ちも大切にして欲しいと家族からよく言われています。

―櫻井には競技生活を支えてくれる曲がある。

櫻井 ザ・スクリプトの「スーパー・ヒーローズ」という曲です。

試合会場で流れていて好きになって、練習前や通勤時間や遠征に向かう飛行機の中などで聴きます。試合直前にこの曲を聴き、「今から試合が始まる」という気持ちを整えています。

―フェンシングは健常の選手と障がい者アスリートとの差が小さいと言われる。櫻井は同じ京都出身のフェンシング・オリンピックメダリスト太田雄貴選手とも交流がある。

櫻井 太田選手の出身校である平安高校の合同練習に、車いすフェンシングも参加させていただくことがあるのですが、その場でお話しさせていただいています。ほぼ、ルールは同じで車いすに乗ってやるか、立ってやるかという違いだけだからこそ、同じフェンサーとして切磋琢磨して行こうよという声かけをいつもしてくださいます。
京都だけではなく、東京のナショナル・トレーニングセンターに合宿で練習に行く機会もあるのですが、そちらで健常のフェンシング日本代表の男女問わず、種目問わずいろいろな選手と言葉を交わす機会がありますが、そういう意味でも遠い存在ではあるのですが、身近にいる関係ではあります。

―2020年の東京パラリンピックでは、代表候補として大きな期待を寄せられている櫻井、現時点での抱負は?

櫻井 周囲の人からすればあと4年あると思われるかもしれませんが、国際大会で世界のトップレベルを目の当たりにしてきた競技者としてはあと4年しかないという思いの中で、1戦でも多く国際大会の経験を積んで、かつ日々の練習で技術力や判断力、あとはここぞという時に要求されるメンタルをいかに培っていけるか…。そう考えると4年ではとても足りないぐらいなのですが、日々出来る音を積み重ねていくしかないなと思います。

―最後に櫻井からメッセージをもらった。

櫻井 車いすフェンシングというスポーツがあるということすらまだまだ知られていないのが現状の競技ではありますが、難しそうとか怖そうという先入観を振り払い、一緒に剣を交えてみることでフェンシングの面白さや楽しさを実感してもらえるかなと思います。まずは一緒に剣を合わせるところから始めることで男子選手はもちろん、女子選手がどんどん登場して一緒にライバルとして東京パラリンピックに向けて取り組んでいけたらと思っています。

(2016年5月23日~5月27日放送分より)

ニッポンチャレンジドアスリート
ニッポン放送 毎週月曜~金曜 13:42~放送中
(月曜~木曜は「土屋礼央 レオなるど」内、金曜は「金曜ブラボー。」内)
番組ホームページでは、今回のインタビューの模様を音声でお聴き頂けます。