仕事をしながら、いい成績を出して、若い人の模範になれる選手を目指したい。 【中山賢史朗(パラトライアスロン選手) インタビュー】

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【ニッポンチャレンジドアスリート】
毎回一人の障がい者アスリート、チャレンジドアスリート、および障がい者アスリートを支える方にスポットをあて、スポーツに対する取り組み、苦労、喜びなどを伺います。

中山賢史朗

中山賢史朗(なかやま・けんしろう)
1990年、兵庫生まれ、神奈川育ちの26歳。腫瘍のため左太ももから下を切断。2013年、義足でパラトライアスロンを始め、今年、アジア選手権で金メダルを獲得。日本トライアスロン連合の強化指定選手に選ばれ、4年後の東京パラリンピック出場が期待されている。

―高校時代はサッカーと陸上をやっていた中山、大学からは箱根駅伝を目指し本格的に陸上に専念したが。

中山 故障が多い選手だったので膝の故障だろうと思っていて、痛み止めの注射を打ちながらごまかしながらやっていたのですが、歩けないくらい痛くなってしまい、病院に行きました。すると、「親を呼んでくれ」と言われました。結果的には良性腫瘍だったのですが、大腿部に腫瘍が見つかりました。

―ところが、手術を受けても経過は思わしくない。

中山 手術した時にはもう一度駅伝に戻れるようにとリハビリも取り組みましたが、再発して入退院を繰り返しました。競技もできず、大学も退学して治療に専念することにしました。

―しかし、いっこうに良くならない左足。中山は決断した。

中山 手術を繰り返して、生活自体も不自由だし、このままでは競技もできない。ここは一度リセットしようと、医者にお願いして切断してもらいました。

―左足は失ったが、再び競技生活に戻るため懸命にリハビリに励んだ中山。この時からパラリンピック出場を視野に入れていたが、残念ながら切断障がいのカテゴリーでは中山が得意な長距離種目はなかった。

中山 義足を作ってくださる方にパラリンピックにはどうして大腿切断者を対象とした長距離種目はないのかという話をした時に、ちょうど通りかかった人がリオからトライアスロンが正式種目になるということを教えてくれました。
そこで「僕のやるべきことはこれだ!」とスイッチが入りました。

―トライアスロンを始めて1年、2014年中山は初の国際大会に参加した。世界トライアスロンシリーズ横浜大会。結果は最下位だったが大きな収穫があった。

中山 初の主要大会でしたが、僕には海外選手がどのレベルの選手なのか全くわかりませんでした。海も荒れていて、順位よりも情報収集と経験を積むという目的で出場しました。

―今年4月に行われたアジア選手権、大腿切断の部門で入賞。さらに5月に行われた世界トライアスロンシリーズ横浜大会にも3年連続で出場。最下位だったがタイムは大幅に向上した。

中山 結果は最下位だったのですが、1位から最下位まで詰まった状態で大きくはなされなかったので、可能性が見えた大会でした。

―4年後、2020年の東京パラリンピックに向けて中山は今、どんな目標を立てているのか?

中山 まずは出場できること。今年のリオ大会でいえば僕のクラスは参加出来るのが世界で10名です。世界ランキングを見ると、今の実力では勝つことが難しい選手が9名います。勝てそうだけれど、なかなか勝たせてもらえないという選手が7名います。この3年間でその7名をしっかり倒せる実力をつければ4年後の大会の出場が見えてくると思います。

―仕事との兼ね合いはどうなっているのか?

中山 昨年の4月から東京ガスパイプラインに転職しました。勤務時間は8時半から5時15分までです。勤務が終わってから練習に入ります。1日に1種目か2種目に分けて練習しています。平日プールに行く時は家に帰ってからプールに行って終わりまで泳ぎ、それ以上はやりません。セット練習は休日を利用してやっています。

―4年後の東京で自分もその舞台に立つことを目標にしている中山。改めて豊富を聞いてみた。

中山 しっかりとスタートリストに名前を挙げて、やはりパラリンピックとなると沿道のお客さんも多いと思うので、その中で25,75キロを楽しみたいです。

―中山にとってトライアスロンの魅力とは?

中山 スタートしてからゴールするまでにいろいろなドラマがあります。陸上競技上はプールと違ってトライアスロンは街を走り、自然を相手にする競技なので、台本通りにはいきません。そこが魅力だと思います。

―この先どんなアスリートになりたいのか、将来の夢を聞いてみた。

中山 活躍すれば知名度も上がると思います。仕事をしながら競技をやってのいい成績を出すことができると証明したいです。いい成績を出して、これから競技を始めるという人の模範になれればと思います。

(2016/10/3~10/7放送分より)

ニッポンチャレンジドアスリート
ニッポン放送 (月)~(金) 13:42~放送中
(月)~(木)は「土屋礼央 レオなるど」内、(金)は「金曜ブラボー。」内)
番組ホームページでは、今回のインタビューの模様を音声でお聴き頂けます。

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