壁建設のために国家非常事態宣言は認められるのか

タグ

ニッポン放送「須田慎一郎のOK! Cozy up!」(2月18日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。トランプ大統領が発令した国家非常事態宣言について解説した。


トランプ大統領が国家非常事態宣言を発令

アメリカのトランプ大統領は、メキシコとの国境に壁を建設する費用を確保するため、国家非常事態宣言をした。非常事態宣言は戦争や大規模テロ発生時などに、大統領に広い権限を与えるもので、ホワイトハウス側はメキシコ国境の安全保障上、人道上の危機を終わらせるためだと説明しているが、野党民主党のペロシ下院議長は、国会は危機状態にはなく大統領権限の乱用だと猛反発している。

新行)このニュースに関連してメールもいただいております。足立区の“みっちゃん”さんから、「トランプ大統領の非常事態宣言には参りますね。あれは野党が言うように非常事態では全然無いと思います。コメンテーターの宮家邦彦さんがおっしゃっていたように、壁の役割はまるで果たしていないように見えます。それこそ移民イコール犯罪者という統計がないですからね。CNNの統計によると、アメリカ国民の多くが非常事態宣言に反対しているという数字になっていましたが、実際はどうなのでしょうか?」と頂きました。

須田)これは、トランプ大統領にとって見ると大統領選挙の公約なのですね。トランプ大統領の最大の特徴として、過去の大統領と違うところは、次々と公約を半ば強引に実行に移している。これはトランプ大統領がトランプ大統領たる所以なのですよ。だから何が何でもやらなくてはいけない。ただその手法として、国家非常事態宣言が適切なのかどうなのか。
先日、アメリカ議会で一般教書演説が行われましたが、国境の壁に関する話をトランプ大統領がしたとき、私が注目したのはナンシー・ペロシ下院議長の表情なのですよ。始終鼻で笑っているような苦笑い、小ばかにしたような表情をしている。これを見た瞬間、民主党はこの件で折り合うつもりは全く無いなと思いました。どう合理的に考えても、これが効果を持たないことを民主党サイドは認識しているのだと。
要するにアメリカの不法不正移民は、正々堂々とアメリカ国内に入って来ているのです。例えばビザが切れても延長せずに居続けて就労している人、あるいは観光という名目で入って来て、実際には働いて期限が来ても帰らない人。いずれも既に入っている人なのです。だからこれは壁では防げない。そういった点で言うと、壁を作ることの意味、効果はあまり無いのではないかと思いますね。

トランプ米大統領の一般教書演説を聞き、立ち上がって拍手をするペンス副大統領(後列左)と、着席したままのペロシ下院議長(同右)=2019年2月5日、ワシントン(UPI=共同) 写真提供:共同通信社

壁建設のために国家非常事態宣言は認められるのか

須田)そしてもう1点、この国家非常事態宣言はどういったケースで認められるのか。民主党はこれを大統領が出した際、司法当局に訴えると思うのですが、それを司法当局が認めるか認めないか。過去の状況を見ると、どの程度の被害が発生したのか、客観的な証拠に基づき目に見える形で提示できた場合には、国家非常事態宣言も適切なのかもしれません。しかし、壁を作らないことによってどれだけの被害が発生しているのか、それを立証することはなかなか難しいのですよ。

新行)そうですよね。1976年以降、58回にわたって国家非常事態宣言は発令されています。例えば同時多発テロが起こった2001年や、大型ハリケーン・カトリーナの上陸があった2005年などに発令されたということです。

須田)被害額、損害額の確定ができているからこそ国家非常事態宣言は成立するのだけれども、今回の場合は客観的、具体的な証拠や物証が足りないのですね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

ニッポン放送 ニッポン放送
Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.