核兵器完全廃絶と日本の安全保障をどう考えるか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月10日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。グテレス国連事務総長が長崎市の平和記念式典に参加したことに触れ、核兵器完全廃絶と日本の安全保障について解説した。

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アントニオ・グテーレス – Wikipediaより

国連事務総長が長崎市の式典に初参加

来日中のグテレス国連事務総長は昨日、長崎市の平和記念式典に参列した。スピーチの中でグテレス氏は、原爆を生き延びた被爆者は世界中で平和と軍縮の指導者となって来たと敬意を示したうえで、一人たりとも新たな被爆者を出してはならない。長崎を核兵器による惨害で苦しんだ地球最後の場所にするよう決意しましょうと述べ、長崎を最後の被爆地にするよう呼び掛けている。なお国連事務総長が長崎市の式典に参列するのは、初めてのことである。

飯田)核兵器の完全廃絶は国連の最も重要な軍縮課題だとも述べまして、核軍縮の取り組み、その進展を全ての国に対して呼び掛けたということです。

宮家)長崎はいつも広島の次に言われていますが、これも極めて重要な場所です。私が初めて行ったのが80年代の後半でしたが、長崎出身の外務大臣の方がおられてその秘書官で行きました。式典に出ると荘厳な雰囲気で、やはり心が動きます。アメリカが日本と同盟を結んでいるということも事実であって、しかし同時に日本は被爆国である。そしてこの国連事務総長というのはある意味で国際社会、国際世論の善意の代表でなくではいけないわけですから、こういう形でようやく長崎に来てくれて、こういうスピーチをするということは非常に大事なことだと思います。

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2004年、NATOのサミット(北大西洋条約機構 – Wikipediaより)

核兵器禁止条約の問題

宮家)もう一つ気になるのは、核兵器禁止条約の問題、これも触れざるを得ないので申し上げると、確かに日本も含めて世界中の願いは核廃絶だと思います。ですからそこは誤解は無いと思いますが、では現実の問題として、ヨーロッパにはヨーロッパの見方がある。しかし、日本が置かれている状況というのも、これまた恐ろしい状況です。北朝鮮が変なことをしている、中国もロシアも核を持っていて、それでヨーロッパのようなNATOがあるわけでもない。そういった状況の下で、どこまで理想と現実のバランスを取るのかというのを考えなくてはいけないと思います。ですから、日本が決して後ろ向きであるということではないのだけれども、同時に相手が、場合によっては敵対するかもしれない人たちが核兵器を持っていて、そして我々がアメリカ以外に集団安全保障の状況がNATOみたいにあるわけではない。そこで、核兵器を持つ現実的な意味と言うものもこれまた考えなきゃいけないと、このなかで日本は悩んでいるわけですよ。いま、いろいろなことを考えなくてはいけない時期だと思います。

飯田)リアリズムの部分も含めて、日本の国内で理想論はありますが、そこにどうやってにじりよって行くかという建設的な議論もできればいいのですが。

宮家)そこはなかなか難しいところですよね。理想と現実というのはなかなか相容れない部分がありますが、両方重視しなければいけない時期に来ているのは事実だと思います。

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在日米海兵隊憲兵隊パトカー(沖縄・キャンプバトラー)(在日米軍 – Wikipediaより)

アメリカ軍が撤退した場合、日本は独自の安全保障をしなくてはならない

飯田)そんななかで、アメリカという国が、アジアは重視するんだということも言いつつ、でもトランプさんのアメリカファーストというのは突き詰めると、在外米軍の部分を段々後ろの安全なところまで引き戻すということになる。となると日本は独自の安全保障を本当は考えて行かなければいけないわけですよね。

宮家)本当はね。彼らに言わせれば、ヨーロッパもアジアの国々も同盟国もタダ乗りだと、アメリカが全部負担をして、いいとこ取りだと。それはおかしいじゃないかというのは、アメリカの立場になれば分からないでもないです。だけど、だからこそあんたたちはリーダーシップを取ってるんでしょと。

飯田)そこから利益だっていっぱい上げているじゃないかと。

宮家)だからそこはお互いでしょという風に、あの人は分からないのですよ。それが分かっている人たちがいなくなっちゃったということです、ワシントンの上層部にね。これ実は問題で、アメリカがそういう形で国際場裏から去っていけば、仰る通り、日本の安全保障を誰が保証するのか。中国がするのか、ロシアは保証しませんよ。そうしたら自分でやらざるを得ない。その方が遥かに金が掛かります。そして、国民に対する負担も大きくなります。だから、そういう意味では日米安保条約というのは、いい意味の保険として機能していることもまた現実としてある。そこが難しいところだと思います。

飯田)今日のお話の通奏低音のようにずっと根底にあるなと思ったのが、安全保障の面で言うと、日米同盟だとかアメリカの派遣は利益もアメリカにとってある。それを分かっている人が後ろに退いてしまって、ライトハイザーさんみたいな貿易の損得だけで考える人たちが出てきたというのが一つ問題なのですね。

宮家)そうですね。ですから日本も、誰も頼れない。最後には安全保障というのは理想は勿論いいのですが、最悪のときにどうするのかということを考えるのが安全保障だから、その場合には最悪のことを考えると、自分でやらなくてはいけないということを考えざるを得ないということです。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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