1242 ニッポン放送
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みのりの日記
栗村 智
栗村 智
 
diary
7月19日
浴衣の思い出
このところ各地で、自然災害の生々しい爪あとが報じられ、
改めて自然のおそろしさを痛感している今日この頃ですが、
東京は、梅雨が明けないうちに「朝顔市」、
四万六千日「ほおずき市」も終わり、本格的な夏に突入しようとしています。
間もなく、日本各地で夏祭り・花火・盆踊りと、
日本伝統の浴衣を着たくなる季節になります。
大好きな寄席でも、楽屋仕事や高座返しをする前座(噺家のたまご)さんが、
浴衣を着て働き始めるころですね。

若い頃、噺家になりたくてなりたくて、
中大落語研究会で活動してた時に、浴衣を作って、雪駄をはいて、
気取って街を歩いたものでしたよ。
その頃、あまり栄養状態のよくなかった私のウエストが72センチだったので、
浴衣を着ると、まるで病人のように貧相な、昆布巻きの化身状態になるので、
郷里のお袋に、着物の下に着ける胴巻きを縫って貰い、
それを着てからというもの、暑い最中、浴衣を着ざるを得ず、
汗みどろになったものですが、最近は喜んでよいのか、悪いのか…。
ウエスト88センチ、わざとおなかを膨らませて、
角帯を締めやすくしなくても、ピチッと、帯がへそ下に安定して、
着易くなりました。

今も33年前にアルバイトして、日本橋のデパートの呉服売り場で買って、
伯母に仕立ててもらった自慢の浴衣を、時折、大事に着ています。
博多の角帯も、当時目いっぱい背伸びして、上等なのを買っておいたので、
33年経った今も、猫じゃらしにならずシャンとしてますよ。
当時、生活費に苦しい時、駿河台のエチゴヤ質店に、
冬場、浴衣をあずけて急場をしのいだのも、今では楽しい思い出です。
「安物買いの銭失い」とは、昔の人は巧いことを言ったもので…。
7月 9日
1300円で一流の落語!
フッチーも無事出産、珠のような男の子・舜ノ介君と命名され、
めでたし、めでたし…。

土曜の放送を終え、日・月とお休みをいただいたので、
さて、どこか、落語会でも顔をだそうかと思い、
愛読の「東京かわら版」をチェックしてたら、
7月8日午後2時から、柏たんぽぽセンター・たんぽぽホールで、
「第11回柏落語会・出演瀧川鯉昇・立川吉幸」
入場料・1300円の案内に目がとまり、
「えっ…!1300円の入場料の落語会に、
あの鯉昇師匠が出演するわけがないよなぁ、
瀧川鯉昇じゃなくて、8人いる、鯉昇師匠のお弟子さんのひとりを、
誤植で「鯉昇」と出してしまったのでは…???

半信半疑で、電車を北柏で降り、梅雨の中休みの真っ青な空の下、
汗びっしょりになりながら、テクテク大掘川の遊歩道を歩き、
慈恵医大柏病院の、斜め前に、たんぽぽセンターを、見つけました。
「こころを病む人々や、その家族を支援するべく、
柏市の援助を受けてできた支援センター」とあります。
たんぽぽセンターは、開設されてまもなく一周年という新しい建物で、
創設の趣旨が、
「障害を持つ人も、持たない人も、地域で安心して
心豊かに暮らせるように…」ということで、
“誰でもどうぞ”と関係者の方々からお声をかけていただき、
入場料を払って、たんぽぽホールに入りました。

生の太鼓で、一番太鼓・着到の二番太鼓。
100人がゆったり腰掛けられる、池袋演芸場と同じくらいのホールに
70人の地元のお客さん。
盛大な拍手で、苦節7年、ついに二つ目に昇進したばかりの
立川吉幸さんが登場。
しっかりした口調で、にぎやかに「たいこ腹」の一席。
そして、いよいよお目当て、瀧川鯉昇師匠が出てまいります。
陽気な「鯉」の出囃子が、生で演奏される中、
本物の鯉昇師匠が高座に…!!!
いつもの定席と同じように、たまらなくおかしいまくらもたっぷりに
「馬の巣」を34分。

中入りでは、関係者の方々のサービスで、
お菓子と湯茶(コーヒーと冷たい日本茶)をいただき、
休憩後、吉幸さんが大師匠・談志十八番「短命」を熱演したあと、
トリで鯉昇師匠がもう一席、
今度は先代3代目金馬師匠が得意にしていた、
「茶の湯」を35分たっぷり…本寸法の江戸前の落語を、
気持ちのいいお客さんの醸し出す、
ほんわかとした雰囲気のなかで満喫して大満足の落語会でした。

世話人の「こころの健康を考える市民の会」代表、
安藤成さんにお話を伺ったところ、
この会の相談役が、落語芸術協会の新進気鋭の若手真打ち
三遊亭円馬さんの協力で成り立っているそうで、
それで生の出囃子を演奏するお三味線だったのです。
(だって円馬さんのおかみさん・稲葉ちあきさんは、
落語芸術協会のお囃子さんなんだもん。。。)

最近ものすごい勢いで落語ブームになってきて、
テレビの大喜利番組で名前の売れた人が、
目の玉が飛び出るくらいの出演料を取っているという噂の中、
東京落語の2大協会の一つ、落語芸術協会の看板噺家の、
瀧川鯉昇師匠の本寸法の落語長講を2席も、
「1300円」で堪能でき、狐につままれた思いでした。
6代目円生師匠の18番に、
稲川(関取千両幟)という人情話があるのですが、
わたしの大好きな咄なんですよ。
内容は貧富に分け隔てのない相撲取り・稲川が、
当時もっとも勢いのある魚河岸から、
一番の贔屓にされるという内容ですが、
出演料・入場料の高い、
実入りの良い仕事ばかりよって出演する噺家さんが多い昨今、
鯉昇師匠や、円馬師匠は、まさに現代版稲川だなあぁと感心しながら、
家路につきました。

ちなみに次回8月の柏落語会は、8月12日(日)午後2時開演 
女流講談師神田ひまわり・立川流立川志遊お二人の出演です。
問い合わせ先は「たんぽぽセンター」
電話:柏04−7160−1239にどうぞ!
6月30日
フッチー母になる!
いやぁ、良かった!
わが番組のアシスタント・淵澤由樹さんが、
一昨日6月28日、無事男の子を出産しました。
3384グラム、母子ともに健康との連絡を受けました。

フッチーが妊娠してから、毎週、私の落語ライブラリーのCDを貸して、
5代目志ん生、8代目文楽、5代目小さん、志ん朝の落語を、
胎教に良いと思い聴いてもらっていたのですが、
なんと誕生日が、名人、5代目古今亭志ん生師匠と同じ6月28日とは…。
しかも、旦那さんと一緒に、
先々週、志ん生・馬生・志ん朝が眠る菩提寺に、お墓参りに行ってるのですよ。

携帯で、生まれたばかりの「ラジオ君(仮)」の写真が、
送られてきたのを見たら、またまたびっくり!
顔が、5代目小さん師匠にそっくり、切れ長二重、おにぎり顔の
ヒョウキンな顔なんですよ。

これは、なんとしても早めに小噺を教えて、噺家にしなければ…。
あっ、私の子じゃなかったですね。
それにしても、めでたいな、めでたいな。 
6月21日
落語と童謡
今週6月23日の放送も、先週に続いて、
「ふるさとの童謡・唱歌リクエスト」をお送りしますが、
私が息抜きで、勉強と称して、週一回は行く寄席で、
よく耳にするのが、昔懐かしい童謡・唱歌なんですよ。
そう!寄席でかわるがわる高座に登場する芸人さんの、
高座へのあがりで三味線と太鼓で演奏される出囃子に、
結構、童謡・唱歌が、使われているのです。

芸人さんが「二つ目」以上、
つまり、一人前になると、自薦他薦で自分専用の出囃子を決めるんです。
長唄「老松」が流れれば志ん朝さん、
「正札付き」は圓生、「一丁入り」が志ん生てな具合です。
現在、童謡・唱歌を出囃子に使っている人を、列記してみると・・

立川談志  落語の出「木賊刈り」、漫談「あの町この町」
林家木久蔵 「宮さん宮さん」
林家きくお 「花」
古今亭寿輔 「しゃぼん玉」
柳家権太楼 「金比羅ふねふね」
三遊亭歌之介「我は海の子」
立川志らく 「鳩ぽっぽ」
柳家せん八 「可愛い魚屋さん」
春風亭勢朝 「野球拳」
五明楼玉の輔「お猿の籠や」
林家彦いち 「鞠と殿様」
古今亭菊生 「鉄道唱歌」
桂笑生   「花咲かじいさん」
古今亭志ん八「証城寺の狸囃子」
すず風にゃんこ・金魚「どんぐりころころ」
笑組    「犬のおまわりさん」

特に若い人、芸風が明るい人が、童謡・唱歌を出囃子にしています。
出囃子って長唄・端唄・民謡のほか、このように童謡唱歌…、
あのヨネスケさんなんか、大リーグの試合で7回裏が始まる前に歌う
「Take Me Out to the Ball Game(わたしを野球に連れてって)」ですよ。
これを三味線で演奏するお囃子さんって、大変な仕事ですよね。

現在お囃子さんは、落語協会に16人
(因みに大田そのさんは、東京藝術大学出身です。)
落語芸術協会は、10人いらっしゃいます。
ところで、今週の金・土・日と「原宿クエストホール」で、
先週の放送でもご案内した「フジテレビ目玉名人会in原宿」が行われます。

6月22日(金)午後7時〜立川談笑・三増れ紋
6月23日(土)午後1時半〜
        午後4時半〜 柳家権太楼・三遊亭小円歌
6月24日(日)午後1時半〜川柳川柳・川柳つくし

当日券3500円で、まだ若干数残っているそうです。
原宿クエストホールは、JR原宿駅、
または、東京メトロ千代田線・明治神宮前駅から徒歩1分です。

私も土曜放送後、権太楼師匠の噺を聞きに、顔を出す予定です。
6月15日
「ふるさと」を聴いて、目に涙
早いもので、高校を卒業して、
もう36年の年月が過ぎ去りました。
創立して間もない、広島学院11期生の私たちは、
それぞれにさまざまな希望に胸膨らませて、
広島から日本各地、数名はアメリカ・ドイツへ巣立っていきました。

私も浪人後、中央大学に入学、東京へ行くこととなり、
上京した同窓生とちょくちょく会っていました。
でも、就職してからは、母校を振り返ることも、
同窓生と会うこともまったくと言っていいほどなくなってしまいました。
みんな、バブル前後の流れに乗る奴、乗れない奴、
それぞれ必死で、会社に課せられた仕事に、
また、自営業の者も商売を軌道にのせることに懸命で、
故郷なぞ振り返っている気持ちの余裕が、出来なかったのでしょう。

ところが、バブルがはじけ、景気が停滞してきてから。
さらに、ちょうど齢50を超えたあたり、3〜4年前から、
誰からともなく、関東同窓会、総合同窓会の声がかかり、
30年以上、無沙汰だった連中が、
ひとつところに、再三集まるようになってきたのです。

互いに見栄を張ることなく、白髪あたま、禿あたまをつきあわせて、
杯をかわし、カラオケ大会の結びに、
校歌・応援歌、そして「ふるさと」の大合唱…。
特に3番の、
「志を、はたして、いつの日にか帰らん 
山は青きふるさと 水は清きふるさと」
という歌詞に差し掛かると、
涙声の奴や、たまらず泣いちゃう奴が出てきて、
互いに肩を組んで、ふるさとを懐かしむのです。
20代から30代のころ、童謡唱歌を歌ったのは、
子供が生まれた直後ぐらいでしたよ。

60歳は、還暦。
ものの本には成長し、また60にして、子供にもどるからだそうですね。
無邪気な子供のころに、気持ちだけでも、童謡唱歌を聴いて戻りましょうよ。
今週・来週の「栗村智 あなたと朝イチバン」は、
「ふるさとの童謡・唱歌リクエスト」です。
 
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