1242 ニッポン放送
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みのりの日記
栗村 智
栗村 智
 
diary
9月 7日
二つ目
先日、我が母校・中央大学落語研究会の後輩で、
目下、名人目指して修行中、二つ目・春風亭朝也君と一杯呑みながら、
今の落語界の裏話を聴いて、楽しい一夜を過ごしました。
一緒に来た古今亭志ん八君と二人、
知り合いの方が主催する落語会に出演してもらった後、
当方、先輩風吹かして、リーズナブルな焼き鳥屋さんに
飛び込んだわけですよ。

二つ目さんというと、入門して前座修行を約4年経て、
とりあえず羽織の着用を許されて、
ある程度、自由に仕事が取れる真打予備軍。
30年くらい前は、この二つ目の約十年、
晴れて真打に昇進するまでは、ヒマでヒマで、
しかも、赤貧洗うがごとき苦しい修行。
生活に追われて、お祭りの司会、キャバレーの余興の進行役で、
食いつなぐのに精一杯の暗黒の二つ目時代だったのですよ。

昔の感覚で、現代の二つ目噺家さんとお酒を酌み交わしてたら、
彼らが、結構いい暮らしをしているのがわかりました。
今は昭和30年代以来の落語ブーム。
昔はほとんど仕事がなく、
本職の落語を演じる場所を探すのに苦心していたのが嘘のように、
芸暦6〜7年の二つ目さんも、ほぼ毎日仕事があるという、
落語界は好景気なのです。
名人上手は、ほとんどいなくなっても、
それに続く中堅層に、達者な人がズラリと揃っているんですよ。

昔、昭和50年代、お目当ての円生・小さん・馬生・志ん朝・談志が、
高座に出てくるまでの退屈なこと…。
今は円生・志ん朝はいませんが、
高座に上がる人それぞれが達者で、間延びするような芸をする人は、
まずいないのです。

名人上手がなくなって、寄席から遠ざかっていた方。
一度、だまされたと思って新宿末広亭などの寄席にいらしてみて下さい。
自分の目で、耳で、若い芸人さんが上達していくのを見守るのも
興味深いものがありますよ。
8月30日
里の秋
8月の東京中心部の平均気温は、観測史上最高の「29.5度」!
一日の最低気温が25度をきらない熱帯夜が「22日」!
いやぁ、今年の夏の暑かったこと!

それでもここ数日、朝夕は心地の良いひんやりとした涼しい夜を
送ることが出来て、ほっとしています。
もちろん、ヒートアイランド現象の権化・首都東京ですから、
まだまだ残暑には油断できませんが、
とりあえず、今年の酷暑は通り過ぎたようですね。
秋の訪れも、もうすぐでしょう。

秋と言えば、私にとって忘れられない歌があります。
私の広島の生家の庭にある、
私が誕生した直後、祖父が植えた柿の木が、
毎年、たわわに実をつける時期なんですよ。
この柿の木、「桃栗3年柿8年」の諺通り、
苗木を植えて、丁度8年目に初めて実を結び、
私達を喜ばせた思い出の木…。
今は亡き母と学校で習った「里の秋」を一緒に歌いながら、
その甘い柿の実を、果物ナイフで母が剥いてくれるのを、
首を長くして待っていたものです。

今度の土曜日の「栗村智 あなたと朝イチバン」は、
早いもので、9月に入って最初の放送です。
私が、聴取者として番組に参加出来るなら、
この「里の秋」を「学校で習った、あの歌リクエスト」に
リクエストするんですが…。
そこは、さすが!お聴きの皆さん。
既にお便りを頂いておりまして、
スタッフでこの歌の背景を調べてみました。
すると、意外なことが判ってきたんですねぇ。
それは…、9月1日の放送の中でお話致しましょう。

プレゼントも、お楽しみに!
8月21日
昭和42年夏…、アルプススタンドにて
真っ青な空、飛び交う白球、ほとばしる汗!
夏の高校野球って、観る者の心を奪う感動の物語ですよね。

21日、準決勝2試合が行われ、
我が故郷・広島代表、広陵高校が40年ぶりに決勝進出を決めました。
春は優勝の経験のある広陵ですが、
夏は決勝進出も「40年ぶり」なんですよね。

実はその40年前、昭和42年(1967年)広陵高校が、
全国制覇をかけて千葉代表の習志野高校と戦った決勝戦を、
中学校2年生だった私は、広陵高校OBの父と共に、
あの灼熱のアルプススタンドで、カチ割りすすりながら観戦しているのですよ。
2年生エース宇根洋介の好投で、あれよあれよと勝ち進み決勝進出。
野球ファンの父が、 急に思い立ったように、
「サトル、カープは弱くて応援のし甲斐がないが、広陵は強いでェ。
日帰りで決勝、観に行こうや?」と言って、
朝早く、急行「びんご」号に親子で飛び乗って、
甲子園球場に向かいました。

初めて見るマンモススタジアム・甲子園球場は、威厳があり、
壁にからんだ蔦が、歴史を醸し出しているようでした。
広陵優勝の瞬間を目の当たりにしようと、
期待に胸ふくらませて座ったアルプススタンド。
それまで、小さな大投手といわれていた2年生エース宇根投手の調子が、
さすがに、決勝まで来た疲労のせいかよくありません。
親父と「どうしたんじゃろ?決勝の緊張とこれまでの疲れが出たんじゃろうか?」
親子で首かしげているうちに、
習志野高校に「7対1」で負けていました。

がっくりして、夜行列車に揺られ、帰った翌日。
地元の中国新聞に、宇根投手は広島県大会の決勝戦で、
スクイズを失敗した時、利き腕の指を怪我していたとありました。
甲子園・準決勝までの間は、 血豆の血を抜きながら、
ごまかしごまかし粘投していたんですが、
決勝戦でついに指の豆が破れ、力尽きたという記事が出ていました。
マンモススタジアムで、実際に彼らを取材して記事を書いたり、
ラジオ・テレビで実況して、その感動を伝えたいと思った
きっかけとなった出来事でした。

その時の思い出の一コマに、帰りの夜行急行「日向」を待つ間、
大阪駅前の大衆食堂で、冷麦とちらし寿司を頬張ってる我々の頭の上に、
天井から釣ってある大型テレビから流れてきた、
ザ・ワイルドワンズの「想い出の渚」が、今でも耳に残っています。
「想い出の渚」って、ちょうどこの頃、流行ってたんですよね。
今の若い世代でも歌える人がいますから、歌本とか、
ひょっとすると、学校の音楽で習ったなんて人もいるかもしれませんね!?

さて、8月25日と9月1日の「栗村智 あなたと朝イチバン」は、
その学生時代の音楽にスポットを当てていきます。
題して、「学校で習った、あの歌リクエスト」です。
あなたのリクエスト、思い出をお寄せくださいね。
プレゼントも盛りだくさん、フッチーも帰ってきますよ!
8月17日
お盆も盛況、東京の寄席
昨日、急に思い立って、自分の部屋の掃除を始めました。
溜まっていた古新聞古雑誌を紐で縛ってまとめ、
散乱していたCDも、ちゃんとケースにしまったところで、
汗みどろ…。
掃除機をかけることも、拭き掃除も出来ず、
本箱の整理をしてるとこで、手が停まってしまいました。

そんな時、本箱の間から落語協会誌「ぞろぞろ」創刊号をはじめ、
1989年から90年にかけて発刊された懐かしい小冊子が、
“ぞろぞろ”出てきてしまったのです。
もう、懐かしい記事に読みふけってしまいましたよ。
90年新年号の新前座紹介面、柳家さん坊(現・柳家喬太郎)、
入船亭扇たつ(現・入船亭扇辰)、林家きく兵衛(林家彦いち)さん達が、
ちょうど、入門した年なんですねぇ。
写真付きで、喬太郎さんの坊主頭には笑ってしまいますよ。

その中で興味深い特集記事に目が留まりました。
なんと1989年11月の時点、当時の若手真打9人の座談会のタイトルが、
『寄席離れ、落語離れ、池袋の灯を消すな!
寄席不入りの原因と、その対策』とあるのです。
以前、このコーナーでも触れたのですが、
当時、本当に寄席の客席は、ガラガラだったんですよね。
特に池袋演芸場なんて、一日のお客さんが10人を超えない日が
たびたびあったんです。

今、50年ぶりの落語ブーム。
お盆休み中の都内の寄席、新宿末広亭・上野鈴本演芸場・浅草演芸ホール、
池袋演芸場・国立演芸場どこも満員立ち見で、お客さんが鈴なりデスヨ!
あの頃、寄席の世界に飛び込んだ喬太郎さん、扇辰さん、彦いちさんが、
満員の客席をどっと沸かせてるんですから。
感無量です。
8月10日
子育て奮闘中、フッチー宅へ陣中見舞いに行ってきました
6月28日に待望の赤ちゃん、男の子を出産したフッチー。
週1回くらいの割合で、近況をメールしてくれてましたが、
今週の木曜日、うだるような暑さの中、東京某所のフッチー宅へ、
「あなたと朝イチバン」スタッフ一同からのお祝いを、
届けに行ってきたのですよ。

イラッシャーイの声と同時に見たフッチーの普通の立ち姿。
「おーっ!」と驚きの声が…。
だって春先から、ずーっとおなかの出っ張ったフッチーしか
見てなかったもんで…。

先ずは「舜ノ介」君とご対面。
気持ちよくお昼寝中を起こしてしまい、ちょっとご機嫌斜め。
でも、新米ママに抱かれると安心したみたいですぐ泣き止みました。
くっきり二重の目。
口元は、母親・フッチーそっくりのおちょぼ口。
手足が長くて、こりゃ先行き楽しみな容貌。
おなかにいる時に、私厳選の落語のCDばかり聞かせてまして、
誕生日も古今亭志ん生師匠と一緒なのですが、
落語界というより、お芝居の世界へ進みそうな2枚目さんでしたよ。

寄席文字の「橘右楽」師匠に、縁起のいい寄席文字で書いていただいた額を、
お祝いに持って行きました。
舜ノ介君の手形・足形を朱で押した下には、右肩あがりの寄席文字で、
「身体健全・学籍優秀・品行方正・意気軒昂・緊褌一番・大願成就」と
書かれた縁起額。
そうそう、書いていただいた右楽師匠には今、
「栗村智 あなたと朝イチバン」の千社札をお願い中です。
もちろん、出来上がったらスグにお披露目しますね!

少し脱線してしまいましたが、
フッチーは、抱き癖がついた舜ノ介君を抱えて、
睡眠が小刻みでしか取れない辛さがあるようですが、
フッチーの頑張りとこまめなご主人の協力で舜ノ介君もすくすく成長してます。
今のところ、フッチーのアシスタント復帰は「8月25日」の予定です。
お楽しみに!
 
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