1242 ニッポン放送
HOME > 栗村智あなたと朝イチバン > 栗村智 朝のひとりごと
みのりの日記
栗村 智
栗村 智
 
diary
1月10日
今年の寄席はじめ
あけましておめでとうございます。
大好きな寄席定席も、早いもので今日が初席楽日。
明日からはニの席がはじまります。
どの席も満員立ち見のお客様、いちじ閑古鳥が鳴いてたなんて嘘みたいですね。

今年の寄席はじめは、去年のうちに前売りで買っておいた国立演芸場6日目。
さん喬・一朝・喬太郎の三師匠を指定席でゆったりと鑑賞できる上に、トリが落語界最年長米丸師匠と同い年、今年なんと92歳になる、三笑亭笑三師匠。
初席らしい好メンバーひかれてはせ参じました。
ほかの定席は、もっぱらたくさんの芸人さんを新年顔見世興行てなもんでめまぐるしく高座に上げて、お客さんも立ち見で凄いにぎわい。
これもまたいいのですが、でれ〜ぇと席にゆったり座って、正月気分に浸るのもなかなか結構なもので・・・。

そういえば年末に、満員の千代田線の車中で私、見るからに感じの良い青年に席を譲られました。
63歳なんて今では若造だと思ってましたから、内心ショックでしたけど、無下に好意をむにするのも大人げなしと、瞬時に判断して、ありがたく座らせていただいたのですよ。
昔唄った童謡を思い出しました。

む〜らの渡しの船頭さんは〜今年60のおじいさん
年は取ってもおふねをこぐときは、元気いっぱい櫓がしなる〜
ソレ、ギッチラ、ギッチラ、ギーチラコー

60は昔、おじいさんなのですよ。
身の程をわきまえて、しっかりと生きていかなければ・・・。

でも、この人はすごいと思って見た笑三師匠のしばらくぶりに拝見したお姿にびっくり・・・。
くの字に曲がった腰をかばいながら、やっとのことで高座に登場。
師匠お得意の口慣れた消費税の漫談がまとまりがつかず、聴いていて気をもみました。
まえかたに上がられた夢太朗師匠の助け舟で、何とか幕をしめたのですが・・・。
3年くらい前は「悋気の火の玉」「火事息子」を軽妙な語り口で聞かせてくれ、達者なところ見せていただきうれしかったもの。
この年末年始、ちょっと世の無常を痛感させられてしまいました。
ですから「みなさん体だけは、大事にしてください!」
これは三平師匠でした。

今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。
12月28日
落語協会『納めの会』
年の納めの有馬記念、狙ったサトノダイヤモンドからの馬券は、1着・1番人気、2着・2番人気、3着・3番人気という、グランプリの歴史上珍しいガッチガチの結果と相成り、元が切れてしまう馬券の下手さにガックシ・・・。
まっ、素晴らしい競馬を観戦できたので善しとしなければねえ。

今年の仕事納めは帝国ホテル、落語協会「納めの会」に出席。
夏の寄合とこの納めの年に二回、落語協会所属の噺家さんたちと招かれた報道陣、ごひいき筋一堂に集まっての会食の場です。
こういう大々的なパーティー形式の催しは、最近とみに少なくなっていますが、寄席演
芸の世界は盛況とあって、豪華なお料理と日頃高座で見せる姿とはまた違う芸人さんたちのひとなつっこい笑顔に囲まれて、楽しいひと時を過ごさせていただきました。
今年の会の進行は扇遊師匠。
和やかにスムーズに進行されて、アナウンサーの私にも大変勉強になりました。

いや、結構でした。
3人の新前座・3人の新二つ目、この3月下席から5人の真打、9月下席から3人の真打が誕生。
11月から音曲の小円歌改め二代目立花家橘之助と昇進・襲名が目白押しだとか・・・。
特に五代目桂三木助が出来るビッグニュース。
襲名する三木男さんがどう変わっていくか注目したいですね。
(ちなみに私は正月、圓生師匠と三代目三木助師匠のCD全集をかかえて、箱根に籠ります。)

大〆は、明けて10日には85歳になられる一般社団法人落語協会最高顧問、三遊亭圓歌師匠が登壇して賑やかにお開きとなりました。
弟子の歌る多さんの会添えで、足元がおぼつかなかったのが、ちょっと心配でしたが・・・。
お開きになった時まで、帝国ホテル自慢のローストビーフが残ってましたよ。
あっさり目のお料理に人気が集まるのは、さすが皆さん「60歳以降が勝負」の寄席演芸人の集まりですね。

どちらさまも、よいお年をお迎えくださいませ。
11月10日
三代目橘家文蔵襲名披露
橘家文左衛門改め、三代目橘家文蔵襲名披露興行。
9月21日・上野鈴本演芸場を皮切りに、都内の寄席定席を10日刻みに
新宿末廣亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場、そして国立演芸場と、
50日間にわたって興行され、今日・大千秋楽を結びとして無事終了しました。
プロ野球・日本シリーズ、ワールドシリーズを見届けて、、
きょうの大千秋楽に間に合いました。
というか、おっとり刀でぎりぎり間に合いました。

三代目文蔵師匠は、以前、入門直後「乱暴者の元板前の前座さんがいるんだ」と、
紙切りの正楽師匠に伺ったのがきっかけで橘家かな文の頃から気には留めていたのです。
ちょうど1990年ごろは、ショウアップナイターの実況と日曜競馬ニッポンで、1年のほとんどが出張。
大好きな寄席通いから10年以上遠ざかってましたから、前座から二つ目の文吾時代の成長過程を見ていなかったのです。
再び寄席に通い始めた15年前くらいから、歯切れの良い江戸前の噺家さんとして、
私好みのうちの1人というか・・・先々を楽しみにしている注目の噺家さんの1人でした。
この興行で、ほとんどの高座をご覧になってるというご年配のお父さんに、
上野鈴本の初日が「笠碁」、その後は先代の十八番だった「竹の水仙」「らくだ」
「文七元結」「猫の災難」「芝浜」「転宅」がいい味出してたよと教えていただきました。

今日の国立演芸場大千秋楽の出し物は「芝浜」。
トリの高座に上がって、まずは写真撮影タイム。
続いてたくさんの楽屋見舞いのお菓子を客席へ、節分の豆まき形式の御裾分け。
文左衛門時代と変わらない伝法でかつ人懐っこいサービスのあとの一席、
三代目橘家文蔵45分の長口「芝浜」、結構でした。
一門の筆頭・一朝師匠が、口上の席で「この50日間めきめきと腕をあげてきた」と言っていた通り、”灘の、酒もかくやの語り口”で、平日の昼間にもかかわらず満員の客席をうならせましたよ。

また1人、定席で出番を首を長くして待つ、楽しみな噺家さんが看板をあげました。
三代目橘家文蔵54歳、いい噺家ができました。
8月31日
アコーディオン
台風接近中だった月曜日夜、中野ZERO小ホールの「みんなのビッグショー」を楽しんできました。
このところ体調不安で、気がめいる毎日を送っていたのですが、いやぁ楽しくて、頭の周りを巡っていた憂鬱感が、いっぺんに吹っ飛んでしまいました。
いきなり、鈴本の夜のトリに間に合わないからと、一之輔さんが開口一番、なんとも破天荒な「千早ふる」。
喬太郎さんの「純情日記渋谷編」。
トリの市馬さん「松曳き」。

いつもの大好きな噺家さんも心地よい高座だったのですが、なんなんでしょうねえ・・・。
いちばん心躍ったのが、初めて観た夫婦漫才”おしどり”の高座でした。
アコーディオンのマコさんと針金アートのけんちゃんの、風変わりな夫婦漫才。
以前、寄席に行くと、誰かしらアコーディオンを高らかに弾く漫才さんがいましたが、東京ボーイズのリーダーがなくなってから絶えて、聞かれなくなっていました。
子供のころ聴いた横山ホットブラザーズ・・・あれは道頓堀角座。
あと、地味なところでは、落語協会の色物だったさえずり姉妹。
テレビだと、なんてったって横森良造さんの「のど自慢」の伴奏。
アコーディオンの音色は身近だったんですがねえ・・・。

マコさんが奏でるアコーディオンが、心地よく耳に入ってきて、わくわくしてしまいましたよ。
以前一之輔さんが、独演会のゲストに呼んだことがあるらしく”面白いですよ〜!”とは聞いていたんですが、想像以上でした。
マコさんは横山ホットブラザーズのアコーディオン・マコトさんのお弟子さんなんだとか。
上方中心に活動されていたようですが、最近は漫才協会に入会されて、浅草の東洋館に出演されてるんだそうです。

気に入ると自分でもやりたくなるのが私の悪いところですが、「アコーディオンって、いいなあ〜!」と思い込んだら、やってみなくては気がすみません。
さっそくお茶の水へ・・・。
「え〜!!!トンボのアコーディオン、8万円」
まずは今週、「新潟記念」勝負!!!
ハナからお金ためてからなんて思わないのも昔から・・・・。
6月30日
4代目江戸家猫八さん、お別れの会
今年3月21日、66歳でお亡くなりになった猫八さんの「お別れの会」が、
都内のホテルで師匠を惜しむ550人の人たちが集まって行われました。
三代目から四代目、そしてせがれの小猫さんの高座を見てきた
寄席ファンの私にとってもさみしい限り・・・お別れに行ってきました。

以前、ヤクルトが若松監督時代、神宮球場の実況席でシーズン終盤、
外野の向こうの神宮の森から虫の声が、せわしなく聞こえてくると、つい・・・
「猫八・小猫がないてるんじゃありませんよ!ほんとに鈴虫、コオロギ大集合の神宮の森、秋も深まってまいりました。」
って、実況するのが、ひそかな楽しみだったんですよ。
「ほんとだ、秋も深まったね。」
と返してくれるのは、関根さんだけだったけど・・・。

露木茂大先輩の進行で、元・衆議院議長の河野洋平さんと
中村メイコさんのお別れの言葉。
遺影には故人の遺志により中村メイコさんのご長男、現在スペインに拠点を置く
洋画家の神津善之介さんによる肖像画が用いられていました。
本当に故人がそのまま鳴きまねを始めちゃうんじゃないかと思うほど、
いきいきとした肖像画なんですよ。

ついひと月ほど前、我が家のウラの森の中でホトトギスが啼いていました。
「トッキョキョカキョク!トッキョキョカキョク」
四代目が高座で言ってた通り、本当にないていました。
寄席ファンにとっては、江戸家を当代小猫さんがしっかりと継いで言ってくれるのを、
客席で見守っていきます。
 
Copyright(c) Nippon Broadcasting System,Inc.All Right Reserved