スポーツ伝説

5月3日~7日の放送内容

【柔道 古賀稔彦選手】

 芸術的な一本背負いを武器に、“平成の三四郎”と呼ばれ人気を博した古賀選手。中でも語り継がれるのは、バルセロナオリンピックでの奇跡の金メダルです。10代半ばから切磋琢磨してきた後輩、吉田秀彦選手との乱取り中に左ひざじん帯を損傷し、本番11日前に全治1ヵ月の大ケガを負った古賀選手。それでも痛み止めの注射を打って強行出場し、見事に金メダルを獲得しました。ケガの責任を感じていた吉田選手と抱き合い、男泣きをする2人のシーンはあまりにも有名です。
 古賀選手はその後も第一線で活躍。4年後のアトランタ大会では78キロ級に階級をひとつあげ、日本柔道初のオリンピック2階級制覇の期待がかかっていました。ところが、この大会では日本柔道全体の調子が今ひとつ。盟友・吉田選手も敗れるなど、男子は3選手を終えてまさかのメダルなし。しかし、そんな逆境でこそ力を発揮するのが古賀選手でした。仲間たちの仇を討つように勝利を重ね、決勝戦へ。最後は惜しくも判定で敗れて2階級制覇は逃しましたが、男子柔道メダル第1号となる意地の銀メダルで、柔道ニッポンの威厳を守りました。



【プロ野球 亀井善行選手】

 2019年、巨人の亀井選手は37歳を過ぎながら131試合に出場し、2年連続で規定打席に到達。2割8分4厘の打率をマークして5年ぶりのリーグ優勝に貢献しました。翌20年、開幕してすぐの阪神戦で、亀井選手は節目の記録を打ち立てます。藤川球児投手のストレートをはじき返しライト前ヒット。球団最年長の37歳11カ月で、通算1000本安打を達成したのです。大器晩成型の亀井選手らしい記録でした。
 しかし、9月下旬に足のケガで戦列を離脱。日本シリーズにはなんとか間に合ったものの、試合勘を取り戻せなかったのか、シリーズ4試合で9打数ノーヒット。特に第4戦は、代打で登場して凡退。シリーズ最後の打者となり、福岡ソフトバンクホークスに日本一の胴上げを許してしまいました。屈辱の経験をした亀井選手は、今年の自主トレでこれまでやってこなかったウエイトトレーニングを導入するなど、新たな挑戦を始めました。今年7月で39歳、チーム最年長となりますが、チームの日本一奪回のため、代打専門でチームに貢献します。


  
【大相撲 鶴竜力三郎関】

 3月24日、突然引退を発表し、年寄「鶴竜」を襲名した鶴竜関。2001年の九州場所で初土俵を踏んでから20年。横綱在位41場所、幕内優勝は通算6回を数えます。しかし腰や脚の故障などで、5場所連続休場。心身共に限界を迎え、引退となりました。鶴竜関にとって“天敵”だったのが、モンゴル出身の先輩力士、横綱・白鵬関です。過去、2度も千秋楽で優勝をさらわれる苦い経験がありました。鶴竜関にとって、横綱・白鵬関はどうしても超えたい厚い壁だったのです。
 19年7月の名古屋場所。鶴竜関は場所前に出稽古先で腰痛に見舞われ、稽古ができなくなります。名古屋場所は過去3年連続で途中休場していたため、これ以上休めない鶴竜関は、ぶっつけ本番で場所に突入しました。朝稽古も減らし、速攻を心掛けた鶴竜関。その甲斐もあって腰の具合もだんだん良くなっていき、13勝1敗と単独トップで千秋楽を迎えます。結びの一番、2敗で追う白鵬関との横綱対決についに勝つと、7場所ぶり6度目、名古屋場所初優勝を飾りました。結果的としてはこれが、鶴竜関の最後の優勝になったのです。



【大相撲 照ノ富士春雄関】
 
 照ノ富士関の初優勝は、関脇時代の2015年夏場所のこと。これは、平成生まれの力士の初優勝でした。この優勝で大関に昇進した照ノ富士関は、横綱になるのも時間の問題とみられていました。しかし左ヒザに抱えていた古傷が悪化。17年の名古屋場所・秋場所を連続で途中休場し、14場所務めた大関を陥落してしまいます。さらに糖尿病や肝炎にも悩まされ、何度も引退を申し出ましたが、師匠の伊勢ヶ濱親方は引き留め続けました。現役続行を決意した照ノ富士関は、まずは体調を万全に戻す治療に専念するため、4場所連続で休場。番付は19年春場所の時点で、幕下・三段目を通り越し、西序二段48枚目まで落ちました。
 照ノ富士関が久々に幕内に戻って来たのは、昨年7月の名古屋場所のことでした。幕尻の東前頭17枚目で13勝2敗の成績を挙げ、2度目の優勝を飾ります。その後も順調に番付を上げ、ついに大関復帰に王手をかけた今年3月の春場所。10日目の志摩ノ海関戦で古傷があるヒザを負傷しましたが、アクシデントを乗り越えて12勝3敗で3度目の優勝を飾り、3場所合計36 勝という圧倒的な成績で大関復帰を決めたのです。序二段まで陥落してからの大関復帰は、史上初の快挙でした。



【大相撲 若隆景渥関】 

 若隆景関は3人兄弟の三男で、祖父・父は元力士。兄2人も現役力士です。長男は幕下・若隆元、次男は十両・若元春関。3人のシコ名は、戦国武将・毛利元就の有名な話にちなみ、毛利3兄弟の名前に「若」を付けたものです。本名から“大波3兄弟”と呼ばれている3人は、福島県出身。10年前、東日本大震災のとき高校生だった若隆景関と次男の若元春関は、福島で被災。2人は、先に長男が入門していた荒汐部屋へ避難することになりました。1ヵ月ほど大部屋で力士たちと寝食を共にして、東京で避難生活を送った若隆景関。そんな経験もあって、若隆景関は東洋大学の相撲部を経て、2017年の春、三段目最下位格付け出しで兄たちと同じ荒汐部屋に入門。順調に出世し、19年11月の九州場所でついに新入幕を果たします。
 新入幕の場所で、若隆景関は初日から快調に4連勝。ところが土俵下に落ちた際に右足首を痛め、5日目から休場することになり、わずか1場所で十両に陥落してしまいました。昨年7月の名古屋場所で幕内に復帰しますが、今年1月の初場所は荒汐部屋で新型コロナウイルスの集団感染が発生。若隆景関も感染し、休場することに。しかし3月、番付は据え置きで西前頭2枚目で迎えた休場明けの春場所は、10勝5敗の成績で初の技能賞を受賞しました。

  

来週のスポーツ伝説は……

5/10(月) 柔道 永瀬貴規選手
5/11(火) 柔道 原沢久喜選手
5/12(水) 柔道 渡名喜風南選手郎関
5/13(木) 柔道 田代未来選手
5/14(金) 柔道 濱田尚里選手
                       
お楽しみに!!
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