スポーツ伝説

1月2日~6日の放送内容

【箱根駅伝 “山の神”列伝】
 
 往路・復路5区間ずつ、合わせて10区間を10人のランナーがタスキを渡しながら走って行く箱根駅伝。中でも最も特殊な区間と呼ばれるのが、小田原中継所から芦ノ湖まで、20キロ以上を走る5区です。この区間は山を登っていく設定になっており、最高地点の標高は874m。この5区で活躍したランナーは、いつしか“山の神”と呼ばれるようになりました。
 最初にこの称号を授けられたのは、2005年から07年まで順天堂大学で活躍した今井正人選手です。05年には、15位から11人をごぼう抜きにして4位でゴール。従来の記録を2分以上も縮める驚異的な区間新記録をマークしました。翌06年は、5人を抜いてトップに立ち往路優勝。さらに4年生になった07年は、4人を抜いて区間新記録を達成し、2年連続で往路優勝に貢献。この年、順天堂大学は6年ぶりの総合優勝を遂げました。
 2代目・山の神は、09年から12年まで4年連続で5区を走った、東洋大学の柏原竜二選手です。1年生の時は8人を抜き、トップとの5分近い差を逆転して往路優勝。チームの総合優勝に貢献すると、2年生でも6人抜きを果たし、往路優勝。東洋大学も連覇を果たします。3年生でも2人を抜いて往路優勝。そして4年生の時は、トップでタスキを受けると区間新記録で往路優勝し、総合優勝奪還に貢献しました。
 そして3代目・山の神が、一昨年・去年と5区で活躍し、青山学院大学を箱根駅伝連覇に導いた神野大地選手です。3年生だった一昨年は、5区の距離が20mほど延びたにもかかわらず、柏原選手の記録を24秒も上回る驚異的なタイムで駆け抜け、青山学院大学は初の往路優勝。昨年は怪我を乗り越え、2年連続往路トップでゴールイン。1区から10区までずっと首位をキープした青山学院大学は、39年ぶりの完全優勝で総合連覇を達成しました。
   
 

【大相撲  石浦将勝関】

 去年の九州場所、東前頭十五枚目で新入幕。初日は敗れましたが、2日目から勝ち星を重ね、11日目まで10連勝。一時は幕内トップタイとなり、優勝争いに名を連ねた石浦関。2012年の暮れに宮城野部屋に入門しましたが、この時、石浦関は23歳の誕生日直前。新弟子検査の受験資格は23歳未満のため、まさにギリギリで角界入りを果たしました。
 部屋では、横綱・白鵬関の内弟子に。入門当時から小柄で軽量でしたが、ベンチプレスで200キロを挙げる抜群の身体能力と努力で、4年かけて新入幕を果たしました。石浦関が10連勝を決めた九州場所では、102年ぶりの新入幕優勝は逃しましたが、10勝5敗の堂々たる成績で、敢闘賞を受賞。くしくも兄弟子・白鵬関も、新入幕の04年初場所で敢闘賞を受賞していますが、番付が上がった今場所は、尊敬する兄弟子をも脅かす存在になれるかどうか。更なる活躍に期待です。
  
   
       
【全国高校ラグビー 伝説の決勝戦】

 高校日本一を決める全国高校ラグビー決勝戦では、ノーサイドの瞬間まで勝負の行方がわからなかった名勝負がいくつかあります。
 1984年1月、決勝に進んだ大分代表・大分舞鶴高校は、6点リードされた終了間際に意地のトライを決め、16対18と2点差に。ゴールキックが決まれば同点で両校優勝という場面でキッカーを務めたのは、キャプテンの福浦孝二選手でした。実は福浦選手、決勝当日があいにく志望大学の受験日と重なっており、本来なら出場できなかったはずでしたが、事情を知った大学側の特別措置で試合当日の早朝6時から試験を実施してもらい、飛行機に飛び乗って花園ラグビー場に駆けつけたのです。しかし無情にもキックは左にそれ、大分舞鶴は優勝を逃しました。歌手の松任谷由実さんがこのシーンをモチーフに書き上げたのが、名曲『ノーサイド』です。この曲は、2005年から4年間、大会の公式テーマソングにも採用されました。
 97年1月の決勝戦は、愛知代表の西陵商業高校 対 大阪代表の啓光学園。西陵商業はノーサイド寸前に最後のワンプレーでトライを奪い、さらにその後のゴールキックも決め、26対25と逆転。敗れた啓光学園は「限りなく優勝に近い“敗者"であった」と呼ばれ、勝者も敗者も共に賞賛されました。
 2011年1月の決勝、神奈川代表・桐蔭学園 対 福岡代表・東福岡高校の一戦も、最後まで勝負の行方が分からない試合でした。実はこの両校は前年の決勝戦でも対戦し、その時は東福岡が優勝。2度目の決戦はリベンジに燃える桐蔭学園が前半から圧倒し、最大21点のリードを奪います。しかしそこから東福岡が逆襲。ノーサイド寸前にトライとゴールを決め、31対31。同点で両校優勝となったのです。この両校は、次の91回大会でも準々決勝で激突。因縁の対決としてラグビーファンの間で語り継がれています。
   
  
   
【全国高校サッカー 伝説の決勝戦】
 
 全国高校サッカー選手権において、2大会連続で決勝戦に進出し、どちらの試合も延長戦の激闘を演じたチームがあります。第92回・93回大会の石川県代表・星稜高校です。第91回大会でもベスト4に進出するなど、全国屈指の強豪校と知られる星稜。2013年度に行われた第92回大会では、24回目の出場にして、ついに決勝戦に進出しました。迎えた相手は、富山県代表・富山第一高校。史上初の北陸勢同士の対決となった決勝戦は、解体工事が行われる国立競技場での最後の決勝戦ということもあり、大きな注目を集めました。序盤は富山第一のペースで進みますが、前半34分、ピンチにじっと耐えていた星稜がペナルティキックで先制。星稜は後半25分にも2点目をあげ、試合を有利に進めます。しかしここから、もう後がない富山第一は怒濤の反撃を見せました。後半42分に1点差に詰め寄ると、試合終了間際には波状攻撃で星稜のミスを誘い、ペナルティキックを奪取。これを決め、土壇場で試合を振り出しに戻したのです。富山第一の勢いは延長戦でも収まらず、延長後半9分に決勝点を挙げ、奇跡的な逆転劇で初優勝を遂げました。
 試合時間残り5分から2点のリードを守り切れずに初優勝を逃してしまった星稜は、その雪辱を晴らすべく、翌14年度も決勝の舞台に戻ってきます。迎えた相手は、群馬県代表の前橋育英高校。どちらも初優勝を懸けた決勝戦は、星稜が前半でペナルティキックを決め先制。ところが1点リードで迎えた後半、わずか2分間で前橋育英が逆転し、1年前の悪夢の逆転劇が再現されました。しかし1年前の悔しさを肌で知る選手たちは、ここで踏ん張り、後半19分に同点に追いつくと、2年連続の延長戦へ。延長の20分間で2得点を挙げ、星稜に悲願の初優勝をもたらしたのです。

   
  
【全国高校サッカー 得点王】

 将来の日本代表も数多く輩出してきた全国高校サッカー選手権大会。中でも、大会得点王に輝いたストライカーは個性派揃いです。過去にたった一人だけ、1年生で得点王に輝いたのが、第62回大会の清水東高校、武田修宏選手です。天才ストライカーとして注目を集めた武田選手は、のちにJリーグ・ヴェルディ川崎の黄金時代を支え、日本代表でも活躍。現在は解説者のほか、タレントとしても人気を集めています。
 同様に2大会連続で得点王となったのも、過去にたった一人だけ。国見高校の平山相太選手です。1年から3年目での3大会通算では17ゴール。これは、全国高校サッカーにおける通算最多ゴール記録です。その才能を見込まれ、高校卒業直後の2004年、アテネオリンピックにも19歳で代表に選ばれました。
 1大会での最多ゴール記録を持っているのが、現在ドイツ・ブンデスリーガでプレーし、日本代表としても活躍している大迫勇也選手です。大迫選手は第87回大会で、史上最多となる1大会10ゴール。さらに10アシストも記録し、鹿児島城西高校の準優勝に貢献しました。
 昨年のリオ オリンピックに出場し、現在はブンデスリーガでプレーする浅野拓磨選手も、四日市中央工業時代の第90回大会で全試合ゴールを決め、得点王に輝いています。当時、浅野選手はまだ2年生。2年生での全試合ゴールは史上初の快挙でした。
 歴代得点王の中で、もっともJリーグでゴールを量産している選手といえば、12年から15年までJリーグ史上初の3年連続得点王に輝いた大久保嘉人選手です。高校時代から別格の得点感覚を持っていた大久保選手は、今シーズンからFC東京に移籍。移籍後の活躍も期待です。


   
来週のスポーツ伝説は……

  1月 9日(月) プロ野球 糸井嘉男選手
  1月10日(火) 大リーグ 岩隈久志投手
  1月11日(水) プロ野球 武田翔太投手
  1月12日(木) プロ野球 今永昇太投手
  1月13日(金) プロ野球 高山俊選手
            
                       お楽しみに!!
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