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サンデー早起キネマ『あのこは貴族』

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おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
2/21は、3つの国のとっておきの3本をご紹介しました。

3本目は日本の作品。住む世界・階級が違う2人の女性の物語
『あのこは貴族』

原作は小説が次々と映像化され、映画界から注目される作家・山内マリコ氏の同名小説。

東京の上流家庭に生まれ三人姉妹の末っ子として何不自由なく育てられた榛原華子は、結婚=幸せだと信じ、お見合い、合コンなどあらゆる手段でお相手探しに奔走しています。
そんな中、義理の兄に紹介された良家の御子息で弁護士の青木幸一郎に出会いついにプロポーズされるのです!

一方、富山のごく普通の家庭で生まれ育った時岡美紀は、猛勉強の末、名門大学に合格。東京で一人暮らしを始めます。
しかし、ほどなく父が失業し、キャバクラのバイトで学費と生活費を稼ごうとしましたが、気力も体力も限界で、1年足らずで大学を中退。今は中途採用された会社で働いています。
同じ東京で暮らしながら、全く違う境遇で生きる華子と美紀が、一人の男・青木を通して出会い、違い過ぎる環境に驚きを感じながらもお互いを受け入れ、やがて、その出会いがきっかけとなり、恋愛や結婚だけではないそれぞれの人生を切り開いていくことになるのです。

上流階級の箱入り娘・華子役は門脇麦さん。
地方出身で挫折しながらも逞しく生きる美紀は、水原希子さんが演じました。
役柄も対照的ですが、女優さんとしても正反対のタイプの2人。
掛け合うシーンは多くないのですが、静かに変化していく様子に目が離せませんでした。
他に、特権階級の弁護士・青木役は高良健吾さん、華子の親友でバイオリニストの逸子役に石橋静河さん、美紀と一緒に名門大学に進み起業のため地元と東京を行き来している平田里英役に山下リオさんなど、個性が光る役者さんがいい味を見せてくれます。

原作者の山内マリコさんに、「このお話はある意味、今の日本の構造論。そこはぜひ意識して下さい」とアドバイスされたという岨手由貴子監督。
庶民がなかなか出会うことのない上流階級の世界を知るためツテを辿り、富裕層を沢山紹介してもらい綿密な取材を重ねました。半年かかったそうです。
確かに“平等平等”といいますが、お金持ちと庶民は本当に住む世界が違うんですよね。私のように地方出身者にとっては、東京はそれを実感させられる場所でもあります。
そして、どちらの世界にいても、押し付けられる既成概念と自分の思い込みでそれぞれに息苦しさも感じるのだと思います。

でも、華子と美紀のように、「自分にとって幸せとはなんなのか?自分が自由でいられる場所はどこなのか?」ということを忘れないで生きていけば、きっとその先には、優しい光に包まれた穏やかな幸せが待っているのではないでしょうか?
そんな清々しさを味わわせてくれる作品です。
沢山散りばめられている“日常が愛しくなるセリフ”にもグッときますよ!

爽やかなシスターフッド(女同士の連帯)ムービーの新境地
『あのこは貴族』

2021年2月26日(金)全国公開

公式サイト: anokohakizoku-movie.com
公式 Twitter&公式 Instagram:aristocrats0226

監督・脚本:岨手由貴子
出演:門脇麦 水原希子 高良健吾 石橋静河 山下リオ 佐戸井けん太 篠原ゆき子 石橋けい 山中崇 高
橋ひとみ 津嘉山正種 銀粉蝶
原作:山内マリコ「あのこは貴族」(集英社文庫刊)
配給:東京テアトル/バンダイナムコアーツ
©山内マリコ/集英社・『あのこは貴族』製作委員会

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