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2018年3月11日
ボッチャ・高橋和樹選手 (2)

ボッチャの高橋和樹(たかはし・かずき)選手を迎えてお送りした第2回目。

今回は、これまで高橋選手が出場した大会を振り返りました。

 

2014年3月にボッチャを始め、翌年12月の「日本選手権」では初出場にして初優勝、そして、2016年3月に北京で行われた「世界選手権」の個人戦ではボッチャ競技で日本人初となる銀メダル獲得という快挙を成し遂げました。

日本選手権での優勝について、東京2020パラリンピックに出場するためにはここで優勝しなければいけないという強い気持ちで挑んだ大会だったので「想定通りだった」といいます。

一方で、世界選手権は自身初の国際大会だったこともあり、ひとつひとつしっかり戦って、ひとつでも上に順位が上がればいいなという気持ちで臨んだ大会で、準優勝という結果は「想定外だった」と話します。

 

世界選手権での銀メダル獲得により、リオ2016パラリンピックへの切符を手にした高橋選手。

しかし、初めてのパラリンピックは「つらく苦しいものでしかなくて、喜びとか楽しさというのは全く残ってない」と当時の心境を語りました。

24時間かかったブラジルまでの移動に加え、現地で食事のコントロールもうまくいかず、パラリンピックという独特の雰囲気に、それまで感じたことのない緊張感のようなものまで襲ってきて、試合中にコートで気分が悪くなり、「棄権したいです」と言いたいくらいの状態だったと当時を振り返ります。

さらに、リオ2016パラリンピック・ボッチャ日本代表の5人中、4人はチームのメンバーで、高橋選手だけが個人。ちょうど高橋選手が個人戦に臨む前日に、団体戦でチームが銀メダルを獲得して、「もし自分がメダルを獲れなかったら、ボッチャ日本代表でメダルがないのは自分だけ」という重圧がのしかかりました。

結果は、1勝1敗で予選敗退。

日本に帰国すると、メダリストは盛大な歓迎を受けました。

(あの華やかさのところに、私もいなければいけなかった・・・)

出発から帰国まで、辛さと苦しさしか残らなかった18日間でした。

 

ただ、「その経験をできたことが、東京2020パラリンピックに繋がると心から思っている」という高橋選手。

昨年、2017年には香港で行われたアジアオセアニア選手権や、アメリカでのカンザスワールドオープンなどの国際大会に出場し、カンザスオープンではペア戦で銅メダルを獲得しました。

 

リオ2016パラリンピックで日本代表ヘッドコーチを務めた、日本ボッチャ協会・強化指導部長の村上光輝(むらかみ・みつてる)さんは、高橋選手についてこう語ります。

「真面目に見えるけど“遊び”のある選手。ボッチャでは“遊び”というのが大事で、その遊びの中で、相手のプレーに対して何を選択するか。その選択がはまると、一番(他の選手からすると)こわいのが高橋選手。いろんな選択を出し入れできる選手ですね」

戦略の柔軟性、ボールを確実に狙ったところに寄せていく細かい基本プレーを強みとする高橋選手。

自身の課題として挙げるのは『経験値』が少ないこと。

それを補うためには練習量や練習時間の確保が必要だということで、この2月から職場を変え、競技に専念できる環境を作りました。

現在は、8月に開催される世界選手権に向けて練習を積み重ねています。

 

そして、その先にある、東京2020パラリンピックに向けては、

「ボッチャを始めた時は、東京2020パラリンピックに出場するのが目標だったけど、リオ大会を経験して出場だけでは、私にとって意味がないというか満たされないということがわかった。当然、東京ではメダルを獲ること。ただ、そのために今はまだ世界のレベルに自分の力が追いついてないので、一戦一戦を大切にして結果を残して、世界のトップ選手が私のことを、『タカハシも世界のトップの一員だな』というような力をつけていきたい」と、思いを語りました。

 

最後に、高橋和樹選手が上をめざして進もうとする方に伝えたい“Going Up”な一言を伺いました。

『いつかのいい日のために』

生きていると、辛いこととか、嫌なこととか、逃げ出したくなることとかいろんな事が起きるが、そんな出来事も“いつかのいい日のために” 繋がっている。怪我をして障害を持ってリオ2016パラリンピックでは苦しく辛い経験をして… ただ、そういったこともすべていつかのいい日のためー東京2020パラリンピックのために繋がっている。そう考えると、自分にとって良いことがあった時、あの時あの経験をしたから今があるんだなと思える。高橋選手がとても大切にしている言葉です。

 

高橋和樹選手のリクエスト曲:彼こそが海賊 / 映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」より

リオ2016パラリンピックで選手が会場に入る時、名前をアナウンスされる際に使われていた曲。

リオ大会では(予選敗退のため)コートで2回しか聞くことができず、帰国した夜にこの曲を携帯に入れて、それ以来、毎朝この曲をきいて目を覚ましている。次の東京2020大会までの間、苦しかった、悔しかったリオでの経験を忘れないために4年間はこの曲で目を覚まそうと決め、毎朝この曲で起きています、とエピソードを話してくれました。

 

次回のゲストは、パラテコンドーの伊藤力選手です。お楽しみに!

2018年3月5日
ボッチャ・高橋和樹選手 (1)

今回のゲストは、ボッチャの高橋和樹(たかはし・かずき)選手です。

 

高橋選手のトレードマークといえば、マッシュルームヘア!

以前は、髪型にこだわりはなく短髪だったそうですが、職場にマッシュルームカットの女の子がいて、それがかわいかったので、ある時、真似をしてみたそうです。同僚からは「似合わない」などと散々な言われようだったそうですが、その髪型のまま、世界選手権に出場。

その大会で、見事銀メダルに輝いた高橋選手は表彰式の時に「マッシュルームJAPAN! コングラチュレーション!」という言葉を会場からかけられ、これから世界を目指す上でインパクトも大事かなと思い、このことがきっかけで、マッシュルームヘアが定番となりました。

 

ボッチャは、バドミントンくらいの広さのコート(12,5m×6m)で行われ、赤と青、それぞれ6個のボールをスローイングボックスから投げたり転がすなどして、どれだけジャックボール(目標球)に近づけられるかを競うカーリングに似た競技で、パラリンピックの正式競技にもなっています。

 

高橋選手がボッチャを始めたのは4年くらい前のこと。

5歳で柔道を始め、小学校5年生の時に埼玉県少年柔道大会で優勝、中学3年生の時には東京都中学校柔道大会優勝を飾るなど柔道に励んでいましたが、高校2年の夏、試合で投げられ頚椎損傷の大ケガを負い、体の80%以上がまひ、常に介助を受ける生活となりました。

障害を持ってから、ずっと抱いていことは「ワクワク楽しい気持ちで生きたい」

2013年9月、どうしたらもっと楽しく生きられるだろうと思っていた高橋選手は、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催が決まったというニュースを見ます。

(自分がパラリンピックに出場したらどうかな・・・)

想像するとなんだかワクワクしてきて、その時、ある決意が生まれました。

「東京2020パラリンピックに出る!」

自身の障害を考えると、パラリンピック出場を目指すならボッチャしかないと考え、本格的にボッチャ競技に取り組むことになりました。

 

ボッチャでは障害によってクラスが分かれていますが、パラリンピック等の国際大会対象のクラスは、BC1からBC4までの4つとなります。

以前、Going Upにご出演した、廣瀬隆喜(ひろせ・たかゆき)選手は、脳性まひ等のBC2というクラスですが、高橋選手は最も障害が重いBC3というクラスです。

BC3クラスで特徴的なのは、四肢(手足)に障害があり選手自身でボールを投げることができないため、ランプ(勾配具)という道具を使うこと。アシスタントと一緒に競技を行います。

 

アシスタントは選手と向かい合わせに座り、コートを見てはいけません。喋ることも、うなずくことも禁止されています。

選手はアシスタントに、ランプのどの位置からボールを投げるか、ランプの角度、どのボールを使うか…等を指示してボールを投げます。

ボールは大きさや重さなど規定の範囲内で、自分仕様に硬さや素材などをカスタマイズすることが許されているので、選手それぞれ、柔らかいボールや硬いボールを持っています。

例えば、勢いよくコート上のボールを弾き飛ばしたい時には、ランプを長くして硬いボールを選んで強いボールを投げる・・・という指示をアシスタントに出すことになります。

選手は、コート上でボールがどう配置されているかという情報をアシスタントに伝えることができますが、持ち時間が決められているため、実際の試合では、選手が選んだボールの硬さやランプの長さ・方向などからアシスタントはコート上のボールを“想像する”といいます。

 

今回、鈴木亮平さんはボッチャのアシスタントに初挑戦!

「もうちょっと右、もうちょっと、はい、OK」

高橋選手に言われた通り、ランプの方向や角度を変え、選手が選んだボールをランプに置きます。

高橋選手が選手が放ったボールが見事にジャックボールに命中!

ナイスアシストをした鈴木さん。

高橋選手によると「亮平さんはアシスタントに向いている」とのこと。

試合中、選手とアシスタント、そしてランプなどの競技用具は2,5m×1mのスローイングボックスから出てはいけないため、アシスタントの体が大きいと、相手選手の視界を遮りコート上のボールが見えないこともあるそうです。それに背が高いと、ランプを長く伸ばした時に簡単にボールを置けるということから、アシスタントに向いているという訳です。

 

初のボッチャアシスタント体験を終えて鈴木さんは「面白い!選手と一心同体になっている感じがある!」「(自分でボールを投げるのとは)違った深みがあってワクワクした!」と感想を述べました。

そして、頭でコート上のボールの位置などを想像することから、「ひふみん(将棋の加藤一二三さん)になったみたい!」とも収録後に言っていましたよ。

アシスタントの方も選手と一緒にメダルをもらえるということもあり、ますます、ボッチャのアシスタントに興味を持った様子でした。

今度試合を観る時には、選手だけではなくアシスタントの動きに注目してみると、さらにボッチャを楽しむことができそうですね。

 

高橋和樹選手のリクエスト曲:インディペンデント / おかん

ボッチャを始める前、これからの人生をどのように生きていこうかと模索していた時に知り合ったバンド。この曲をきくと「やってやるぜ!」と前向きな気持ちになるので、試合前に聞くこともあるそうです。

 

次回もボッチャ・高橋和樹選手をお迎えしてお送りします!お楽しみに。

2018年2月26日
ブラインドサッカー日本代表キャプテン・川村怜選手 (2)

ブラインドサッカーの川村怜(かわむら・りょう)選手を迎えてお送りした第2回目。

 

2013年から日本代表として活躍している川村選手にとって、『日本代表』とは、日の丸を背負って戦う気持ち、世界に挑戦する気持ちが高まる場所で、限界がきてもそれを越えていきたい、越えなければいけないという思いを沸々とわかせるパワーがあるといいます。

「自分には特別リーダーシップがあるわけではない」としながらも、自分が一番サッカーに対して真摯に取り組むことで、キャプテンとして、ピッチの中でも外でもチームを背中で引っ張っていけるような存在になりたいと語ります。

 

2015年11月から指揮を執る高田 敏志(たかだ・さとし)監督のもと、現在、日本代表が目指すのは、『主導権を持ってボールを動かしゴールを狙う、“攻撃的なサッカー”』

リオパラリンピック予選までの、いかに点を取られないかという守備重視のサッカーから、点を取るサッカーへと大きく戦術も変わりました。

代表合宿では、マイボールの時間を増やして、いかに相手陣地でプレーしてシュートチャンスを増やしていけるかというところを追求しながら、戦術的な練習、連携をとる練習を積み重ねています。

 

日本代表は今、ある大きな大会を控えています。

それが、『IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2018』

 

ブラインドサッカー日本代表の東京2020パラリンピックでのメダル獲得と、アジアおよび世界へのブラインドサッカー普及を目的に、3年連続 で東京で開催される国際公認大会です。

開催期間は、3月21日(水・祝)から3月25日(日)まで、会場は、東京・品川区天王洲公園

出場する6カ国が2グループに分かれて、1回戦総当たりのグループリーグを行い、各グループ3位同士が5位決定戦、2位同士が3位決定戦、1位同士が決勝戦を戦います。

 

初回となる今年は、日本、トルコ、イングランド、アルゼンチン、ロシア、フランスの6か国が出場します。(予選リーグ:日本はイングランドとトルコと同じグループA)

注目はなんといっても、世界ランキング2位のアルゼンチン!

昨年、世界一のブラジル代表にPK戦で勝ち、南米チャンピオンとして今回来日します。

日本とアルゼンチンは予選グループが違うため、「必ずグループを勝ち抜いて、決勝でアルゼンチンに挑戦したい」と川村選手は闘志を燃やしています。

 

開幕戦は3月21日(水・祝)、14:00K.O. 日本がイングランドと対戦します。

昨年のイングランド遠征時の対戦成績は日本の4勝1敗1分。6試合で日本は16得点を挙げるなど、イングランドに対して大きく勝ち越しています。

今回の大会で日本の初戦となるイングランド戦について、川村選手は「(イングランドとは)非常に相性はいいと思うが、さらにレベルを上げてこの大会に挑んでくると思うので、それに負けないように、自分たちもさらに上に行って、初戦で絶対に勝てるように準備していきたい」と意気込みを語りました。

 

そして、その先にある東京2020パラリンピックに向けては、「日本で開かれるオリンピック・パラリンピックの舞台。こんな経験はもう二度とできないんじゃないかと思っている。出場するからには、金メダルを目指して、メダル獲得を目指して挑みたいと思っている。後悔のないように一日一日を大事に過ごしていきたい」と思いを寄せました。

 

最後に、上をめざして進もうとする方に伝えたい“Going Up”な一言を伺いました。

『チャレンジして失敗を恐れるよりも、 何もしないことを恐れろ』

これは、本田宗一郎さんが残した言葉。

「失敗よりも、とにかく挑戦、挑戦。前を向いて進んでいくというこの言葉のように、自分もこれまでの人生で常に何かに挑戦してきたし、どんな壁があっても前に進もうという気持ちで前を向いて歩んできた。この言葉にすごく勇気づけられた」とこの言葉に込めた思いを話してくれました。

 

3月21日に開幕する『IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2018』

世界の強豪に挑むブラインドサッカー日本代表を応援しましょう!

(観戦チケットは、好評発売中です! 詳しくは、日本ブラインドサッカー協会の公式ウェブサイトでご確認ください。「ブラサカ」で検索を!)

 

川村怜選手のリクエスト曲:終わりなき旅 / Mr.children

 

次回のゲストは、ボッチャの高橋和樹選手です。お楽しみに!