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2019年2月1日
ゴールボール・川嶋悠太選手 (2)

ゴールボールの川嶋悠太(かわしま・ゆうた)選手を迎えてお送りした後編。

 

今回は、ゴールボールとの出会いからお話を伺いました。

野球少年だった川嶋選手は、小学4年生の夏に急激に視力が落ち、中学から東京・八王子にある盲学校に通いました。

その盲学校の体育の先生がゴールボール日本代表の監督だったこともあり、ゴールボールをやってみないかと誘われ、始めることになりました。

最初は、アイシェード(目隠し)を着けると右も左もわからなくなり、1kg以上ある重いボールが体に当たるのも痛くて嫌だったため、チームに溶け込むまでに時間がかかったといいます。

子供の頃からずっと夢見てきたプロ野球選手への道が断たれ、落ち込んでいた時期もあったという川嶋選手。

しかし、徐々に「(野球とは)違うもので世界と戦いたい」と思うようになり、日本代表になることを目標に定め、練習に励みました。

 

そのわずか数年後、2011年に開催された19歳以下のユースが集まる世界大会(IBSAワールドユースチャンピオンシップス)に日本代表として初出場を果たします。

「まさか自分が日本代表になれるとは思っていなかった」と当時の心境を語るように、初戦となったカナダ戦のことは緊張のあまり覚えていないといいます。

日本は予選敗退に終わりましたが、その大会で優勝した韓国の国歌を聞きながら、「次は自分たちの番」だと、世界の頂点に立つことを心に決めました。

そうして、2013年の同大会では、見事、金メダルを獲得!

喜びを仲間と分かち合いました。

 

現在24歳の川嶋選手は、今や、日本代表には欠かせない存在にまで成長しました。

昨年6月にはスウェーデンで世界選手権が開催され、川嶋選手は男子日本代表として出場しました。

日本は予選リーグで、チェコ、カナダ、エジプトに3連勝しますが、現在、世界ランキング1位のブラジル、そして、イラン、ドイツ、アメリカに敗れ、3勝4敗の5位。

上位4チームが進める決勝トーナメントを逃がして、16か国中9位という結果に終わりました。

男女それぞれ上位3か国に東京2020パラリンピックの出場権が与えられた、この世界選手権。日本は、開催国枠での出場がすでに決まっていますが、ここで上位3位以内に入って、自力で東京パラリンピックの出場権を得ようという目標を持って臨んだ大会でした。

川嶋選手は世界選手権での戦いをこう振り返ります。

「世界選手権のベスト8にも入れず、チームとして、まずはディフェンス面でもっと失点を減らさなければ上には行けないと話し合いました。1試合3失点以内というのを目標に頑張ります」

 

いよいよ来年に迫ったパラリンピック。

東京出身の川嶋選手にとって、東京2020パラリンピックにかける思いは特別です。

「地元・東京で開催されるということで、家族をはじめ協会関係者や会社の人など、たくさんの方が応援してくれているので、その応援に応えたいという気持ちが一番にあります。チームとしては、金メダルを獲ることを目標に頑張りたいと思います」

 

最後に、上をめざして進もうとする方に伝えたい “Going Upな一言”を伺いました。

『努力は必ず報われる』

「競技でも普段の仕事でも、小さな小さな積み重ねが大きなものを呼びこむ。競技において、自分は基礎練習があまり好きではないけど、基礎練習をしっかりやってきたからこそ今があるし、その小さな努力が試合で生きてきたり運を呼び込むこともあると思っている。なので、どんなことでも手を抜かずに努力することが大事」

そんな思いが込められた言葉です。

 

川嶋悠太選手のリクエスト曲:できっこないを やらなくちゃ / サンボマスター

ゴールボール選手としてけっして身長が高い方ではない川嶋選手。初めて競技を見た人から「身長が高い方が有利だね」と言われることもあるそうです。そんな時、「そんなことはない、(背が)小さくてもできる」と思いながら聴くのがこの曲だということです。

 

次回のゲストは、車いすバスケットボールの北間優衣選手です。どうぞお楽しみに!!

2019年1月24日
ゴールボール・川嶋悠太選手 (1)

今回のゲストは、ゴールボールの川嶋悠太(かわしま・ゆうた)選手です。

 

ゴールボールは、視覚に障害のある選手が行うチームスポーツで、鈴の入ったボールを互いに投げ合い得点を競う競技です。

コートに入れる選手は1チーム3人。選手は視力や視野など障がいの程度によって競技力の差が出ないよう、アイシェード(目隠し)をつけてプレーします。幅9m、高さ1.3mという大きなゴールも特徴です。

 

収録前、実際にゴールボールを体験した鈴木亮平さんが感じたのは、「かなり体力を使う競技」だということ。

試合は、前半12分、後半12分、計24分で行われますが、攻撃中は基本的に立ち、守備では膝をついてボールや相手が出す音に集中して、身体全体を使ってゴールを守ります。

「守備側の選手が初めてボールに触れてから、10秒以内にボールを投げ返しセンターラインを越えなければいけない」というルールがあるので、すぐに起き上がったり横になったりの連続。

競技歴の長い川嶋選手でも、試合終盤になると息があがることもあるといいます。

ゴールボールで使われるボールの大きさはバスケットボールと同じくらいですが、重さはおよそ2倍の1.25kg。

男子の場合、時速50km/h以上のスピードで飛んでくるので、当たった時の衝撃もかなり大きいそうです。

 

鈴木さんは川嶋選手のプレー見て、「バウンドしているボールでも、まるで見えてるかのように空中で受け取っていた」と表現。

川嶋選手はプレー中、頭の中にコートとボールの軌道を描いていると話します。

「ボールが弾んでくるタイミングや軌道が読める」といい、そこには小学校4年生まで野球をやっていた経験が生きているそうです。

川嶋選手のポジションはセンター。

文字通り、3人の真ん中でゴールを守ります(両サイドのプレーヤーは「ウィング」といいます)。

「センターは主にディフェンスが中心で、ゲームメイクも担当します。ゲームの流れを読んだり、ウィングの選手が熱くなってきた時に冷静に(プレーしよう)というような声をかけることもあります。ウィングに指示を出しながらディフェンスを固めて、チームに貢献するというポジションです」

 

ゴールボールのトレーニングには、“壁当て”と呼ばれる練習があります。

これは、ディフェンスの練習のひとつで、3m手前から「はい」という声に合わせて、自分の頭の方にボールが来たことを想定して、手先にボールを当ててもらったり、逆に、3m手前から、今度は足にボールを当ててもらったりという練習です。

壁当てをして、しっかり、手先や足先を強くしているそうです。

 

そして、実際に体験する中で鈴木さんが気づいたのは、ゴールボールは「聴覚」だけの競技ではないということ。

コート内のラインには、床との間に糸を通してその上からテープが貼られているため、凹凸があります。その糸を手で触ったり足の裏で感じたりして、自分がコート内のどこにいるかを確かめます。

触覚を使い、また、床からの振動も感じとりながら、視覚以外のすべてを使って行うのも、ゴールボールの魅力だと川嶋選手も語っていました。

 

試合を観戦してみたい!と思った方も多いと思いますが、観戦するうえで大事なことがあります。

選手たちは音だけを頼りにプレーするため、プレー中は、音を立てずに“静かに”応援するということです。

つい応援に力が入り、点が入りそうな場面で観客が声を出してしまうと、選手たちはボールが追えなくなってしまうため、そこはぐっと我慢して、心の中で応援をお願いします!

 

川嶋悠太選手のリクエスト曲:仲間 / ケツメイシ

選手6人、スタッフ3人の9人で戦うゴールボール。アイシェードをして真っ暗になるけど、一人じゃない、仲間がいるというのを思いながら試合に臨むといいます。試合前、ホテルを出る前によく聴いている曲だそうです。

 

次回も、川嶋悠太をゲストにお迎えしてお送りします。どうぞお楽しみに!

2019年1月18日
車いすテニス・齋田悟司選手 (2)

車いすテニス界のレジェンド、齋田悟司(さいだ・さとし)選手を迎えてお送りした後編。

 

30年以上車いすテニスを続けて来られた齋田選手。

その中でもやはり「パラリンピック」は、ご自身にとって大きな区切りとなる特別な大会だといいます。

初めて出場したアトランタ大会、金メダルを獲得したアテネ大会…これまで6回出場したパラリンピックそれぞれが、印象に残っていると話します。

 

これまで、数えきれないほどの試合を経験していますが、試合前、リラックスするためにやるのは、(試合中の)ドリンクを作ること。

日本から“ドリンクの素”を持参するそうです。

その他にも、音楽を聴きながらラケットのグリップの具合を調べたり、じっとしているよりも何か(試合の準備など)をやっている方が落ち着くのだそうです。

 

2004年のアテネパラリンピックでは国枝慎吾選手とのペアで男子ダブルス金メダルを獲得。

10年以上にわたり、ペアを組む国枝選手について、齋田選手はこう語ります。

「国枝選手は(パラリンピックの)男子シングルスでもナンバーワンを獲っていますし、メンタルも強いんです。普段の練習でも妥協を許さず、テニスに関してはすごく真面目です。そういう彼を見ているので、ピンチになった時も信頼ができて、国枝選手がいれば大丈夫といった気持ちにさせてくれる選手ですね」

 

日本の車いすテニスプレーヤーの先駆者として、世界への道を切り開いた齋田選手。

今では、多くの日本人選手が世界のトッププレーヤーとして活躍しています。

日本人車いすテニスプレーヤーの強さの理由について、齋田選手は「合っているかどうかはわかりませんが…」とした上で、こう述べました。

「国枝選手も自分も同じテニスクラブで練習していますが、テニスの練習はもちろん、それ以外に、毎回欠かさずトレーニングもやっています。トレーナーにメニューを組んでもらい、ラケットを持たないで、テニスコートを走るというトレーニングをやります。例えば、コーンをいくつか置いてスラローム形式でコースを走ったり、ダッシュだけやったり。あとは、負荷をつけて走る練習をしたり、1km走を何セットかやったり、動きのトレーニング、チェアワーク(車いす操作)をしっかりやるんです」

ボールが飛んできた時、いい位置に、正確に、早く行くためには、やはりチェアワークのトレーニングが必要だといいます。走るのが速ければ、コートカバーによって守りも強くなり、(車いすテニスの場合は2バウンドしたボールも返球が許されていますが)2バウンドさせていたボールを1バウンドで攻めていくことも可能になります。

そのような、車いすのスピードを生かした、守りや攻めが、強さにつながっていると齋田選手は分析しています。

そして、パフォーマンスをするうえで重要な車いすについては、幅や高さ等ミリ単位でこだわり、より自分にフィットするものをオーダーすることで、“自分の体の一部”となってプレーできていることが、うまくいっているのではないかと話しました(齋田選手の車いすは日本製だそうです)。

 

いよいよ来年に迫った、東京2020パラリンピック。

東京大会にかける思いは人一倍大きなものでした。

「パラリンピックにはこれまで6回出場して、(東京大会に出場できることになれば)7回目ということになります。自分の中では、東京じゃなかったらひょっとしたら引退していたのかなと思うこともあります。でも、パラリンピックを目標に今までやってきて、7回目のパラリンピックが『東京』というと、やっぱり目指したいなと思いました。頑張って出場するということが、今、最大の目標で、達成したいと思っていますが、簡単ではないですね。若い選手もたくさん出てきていますし難しいことではあると思うんですけど、チャレンジして、出場することを目標にやっていきたいなと思っています」

 

最後に、上をめざして進もうとする方に伝えたい“Going Upな一言”を伺いました。

『継続は力なり』

30数年車いすテニスをやっていても、まだまだ知らないことも多く、続けることで学んだり発見すること、続けなければわからなかったことがたくさんある。継続することによって自分が成長していけると思っているので、この言葉を大切にしているということです。

 

齋田悟司選手のリクエスト曲:情熱大陸 / 葉加瀬太郎

気持ちを盛り上げてくれる曲。試合前や気合いを入れたいという時に必ず聴いているそうです。

 

次回は、ゴールボールの川嶋悠太選手をゲストにお迎えしてお送りします。

どうぞお楽しみに!