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2020年5月29日
日本ブラインドサッカー協会・松崎英吾さん (1)

5月23日(24日)の放送では、日本ブラインドサッカー協会・事務局長の松崎英吾さんと電話をつないでお話を伺いました。

 

ブラインドサッカーは視覚に障がいのある選手たちがシャカシャカと音の鳴るボールを使って行うサッカーです。

新型コロナウイルスによる生活への影響が続くなか、松崎さんは選手たちを通じて、視覚に障がいのある方が、毎日のように変化する社会のスピードについていけず、日常生活で不便を感じているという実情を知ったといいます。

「感染に対する不安もあるし買い物をどうしよう」

「こういう場合はどこに電話をすればいいのだろう」

そんな、身の回りのことで感じている不安や困っていることを解消したい、との思いから、日本ブラインドサッカー協会では先月「視覚障がい者ならどなたでも!おたすけ電話相談窓口」を設置しました。

 

ブラインドサッカーの選手でなくても、視覚に障がいのある方やそのご家族(同居人)なら、どなたでも無料(通話料金のみ)で利用できます。

日頃からスポーツを通じて視覚に障がいのある方と身近に接しているスタッフたちの協力のもと、こうやって解決してみてはどうか、こういう時にはここに連絡してみると良い、公式にはこのようになっている、といった解決方法の提案や情報の整理を、72時間以内で相談者に返せるように努めていらっしゃるそうです。

 

これまで寄せられた相談では、「マスクが手に入らなくて困っている」「お買い物のときに他のお客さんと距離をとりましょうと言われても、見えないので並ぶ時にどうしたら良いのかわからない」といった内容が多いといいます。

また、弱視の方は、値札や値段のシールが見えずらかったりするため、商品をひとつずつ手に取って目に近づけて確認することがありますが、今の世の中の状況では、何度も商品を触ることがあまり良しとされていないので、周りからどう思われているのか気になって買い物が不便だ、といった相談も寄せられたそうです。(ある方は、値段を確認せずに買い物カゴの中に入れるようにしています、と話していたそうです)

 

電話をくれた方一人ひとりと向きあって具体的に話を聞き、回答する時には”一般的”な方法をただ伝えるのではなく、状況に応じたご案内をするように心がけていると話します。

先ほどのお買い物に関する相談の場合、たとえば、相談者が若い方で、見えにくくてもスマートフォンを使いこなせているという人であれば、ネットスーパーの利用をご案内したり、視覚に障がいのある方が実際に利用して使いやすいと話しているネットスーパーはこれですよ、というような情報を伝えているそうです。

一方で、高齢者など普段からパソコンをあまり使わないという方には、ネットスーパーを勧めることはあまり適切ではないので、有料にはなってしまいますが、お買い物代行サービスをやっている会社をお知らせするなど、相談者の状況を伺いながら答えているそうです。

 

この「おたすけ電話相談窓口」のことを知ってもらうため、全国にあるクラブチームを通じて案内をしたり、視覚障がい者同士のネットワークを使って伝えているそうですが、「本当に必要な方には伝わっていないのかもしれない」と、松崎さんは課題を口にします。

電話相談窓口の詳細については、日本ブラインドサッカー協会のHPに掲載されていますので、みなさんの周りで視覚に障がいのある方やそのご家族(同居人)がいらっしゃるという方は、ぜひ声をかけてご案内してみてはいかがでしょうか?

 

そして、東京2020パラリンピックの開催が1年延期となった今、ブラインドサッカー日本代表の状況についても伺いました。

ブラインドサッカーは今年3月に、パラリンピックに出場する8カ国のうちの7カ国が参加する大きな国際大会が予定されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により中止となりました。

また、その後の遠征もなくなり、3月の中旬頃から選手たちは、基本的に在宅でできる範囲のトレーニングをしているそうです。

全国のクラブチームも活動自粛となり、基本的にはクラブチーム内でオンライントレーニングをしたりしながら、お家でできることをやっているという現状です。

ただ、「オンライントレーニング」といっても、選手たちは視覚に障がいがあり、画像や映像を見て理解することが非常に難しいため、トレーナーやコーチたちは工夫をしながら、声で伝えられるトレーニングや今までやってきたトレーニングの範囲の中でわかるものを選手たちに伝えているそうです。

 

グラウンドでなんの心配もなく楽しくプレーできる日が、1日も早く戻ってくることを願うばかりです。

次回も、日本ブラインドサッカー協会の松崎英吾さんにお話を伺います。

 

松崎英吾さんのリクエスト曲:NEXT ONE / GLIM SPANKY

ブラインドサッカー日本代表の公式応援ソング。next oneとあるように、2015年のパラリンピック予選で日本代表が敗れてしまったときに、その次を目指せ!という思いを込めて作られた曲だということです。

2020年5月21日
アーチェリー・上山友裕選手 (2)

5月16日(17日)の放送では、アーチェリーの上山友裕(うえやま・ともひろ)選手と電話をつないでお話を伺いました。

 

リラックス法は「人と話すこと」だという上山選手は、自粛生活が続くなか、オンラインでいろいろな人と交流しているそうです。

また、料理を始めたといい、最近のヒットはハヤシライスだったそうですよ。

 

上山選手はSNSで、世界のアーチェリー選手たちを紹介しています。

海外の選手を知れば、よりパラリンピックを楽しめる!ということで、親交の深い世界のアーチャーについて教えていただきました。

 

★イランのポーリャ(Pouriya Jalalipour)選手

上山選手がずっと目標にしていたイブラヒム選手(イラン)が引退した後、新エースとして台頭してきたポーリャ選手。代表歴はまだ浅いものの、昨年の世界選手権では予選で2位。イブラヒム選手よりも高い点数をマークするなど、今や世界トップクラスの選手です。
一番初めはポーリャ選手の方から上山選手に積極的に声をかけてくれたそうで、アジア大会の時に選手村の食堂で「アイス食べにいこうよ」と誘われて仲良くなったということです。

 

★イタリアのステファノ(Stefano Travisani)選手

2年前、イタリアで行われた大会の準決勝で、上山選手と熱戦を繰り広げたのがステファノ選手。上山選手が「僕のアーチェリー人生で一番いい試合ではないか」と振り返るくらい印象深い試合だったといいます。今一番仲が良く、競技においても意識している選手のひとりだそうです。最近の試合ではあまり調子が上がっていないな…と気にかけていたといいますが、昨年の世界選手権では見事に東京2020パラリンピックの出場枠を獲得!その試合をずっと見ていた上山選手は、号泣するステファノ選手に駆け寄り「おめでとう」と声をかけ、ふたりで肩を叩き合って喜んだそうです。「国を超えて応援できる仲間」だと語りました。

 

★韓国のキム・ミンス(Kim Min Su)選手

10歳くらい年下で、リオ2016パラリンピックの時から「友さん、友さん」と慕ってくれたというキム選手。ある大会で選手アンケートに”ライバル”という項目があり、その欄にキム選手の名前を書いたことがあったそうです(本人了承のうえで)。ところが、昨年6月の世界選手権で、キム選手は上山選手の目の前で世界記録を更新。「超えられた。すごく高いところに行っちゃったな…」と感じた上山選手は、それ以降、ライバルと言うのを止めたそうです…

 

私たちの想像を超える世界のトップアスリートたち。

東京2020パラリンピックの舞台でパフォーマンスを見る日が楽しみですね!

 

東京2020オリンピック・パラリンピック日本選手団が開会式や式典で着る公式服装がすでに発表されています。

日本史上初めて、オリンピックとパラリンピックで同じデザインとなった公式服装。

記者発表会にアスリート代表として登壇した上山選手は「これで開会式に出るんだ、いよいよ始まるな」と気持ちが高まったと同時に、「ついにオリンピックとパラリンピックが一緒になる日が来て、使命感のような気持ちが湧いてきた」と語りました。

“満員の会場で金メダルを獲る”と公言している上山選手。

「この目標を達成したいという思いは変わりませんが、東京2020大会の開催が1年延びたので、満員ではなく、会場に人が溢れかえるくらいにしたいと思っています!」と熱い思いを述べました。

 

次回のゲストは、日本ブラインドサッカー連盟・事務局長の松崎英吾さんです。

どうぞ、お聴き逃しなく。

 

上山友裕選手のリクエスト曲:CHANGE THE WORLD / V6

“世界を変える”というこの曲のタイトルのように、パラリンピックを成功させて日本を変えていきたいという思いを込めて選曲していただきました。

2020年5月13日
アーチェリー・上山友裕選手 (1)

5月9日(10日)の放送では、アーチェリーの上山友裕(うえやま・ともひろ)選手と電話をつないでお話を伺いました。

 

1987年生まれの32歳。

大学生の頃にアーチェリーを始め、社会人で車いす生活となってからも競技を続けた上山選手は、リオ2016パラリンピックに出場し7位入賞を果たしました。

Going Upには2018年8月以来のご出演となりますが、WEB動画「鈴木亮平の熱血パラリンピックスポーツチャレンジ!」で鈴木亮平さんとアーチェリー対決をしたり、一緒にCM撮影に臨んだりと、何度かお二人が会う機会があったそうです。

 

さて、新型コロナウイルス感染症による影響が続くなか、現在の状況(4月下旬時点)について伺いました。

上山選手の種目では70m先にある的に向けて矢を放ちますが、今は70mの距離が打てる練習場が閉鎖されているため、自宅のガレージに設置している2~3mの距離で打つ練習場で練習したり、自宅で体幹トレーニングを行なったりしているといいます。

これまでフォームを変更するために近距離の練習ばかりすることはあったそうですが、それでも、70mの距離を1か月もの間打たなかったことは今までなかったと話します。

実際の距離を打っていないと「当てる感覚が鈍ってしまう」と言い、練習が再開された後「どれくらいの期間でその当てる感覚が戻せるかということに多少不安があります」と語りました。

 

練習で70mの距離が打てる環境が整ったときが「新しいスタート」。

それまでは、練習が中断される前の状態で弓を引けるように、筋力を落とさないためのトレーニングに励み、しっかりとした状態で再スタートを切れるように準備をしています。

そうして、コーチと相談しながら計画を練り直して、大会に向けて積み上げていきたいと力強く語りました。

 

東京2020パラリンピックが延期されるかもしれないという話が出た当時は「動揺した」という上山選手ですが、1年延期が正式に決定した今は気持ちを切り替え、この1年間を有効に使い、ルールを知ってもらったり選手を知ってもらうことで、パラリンピックを観に来る人が楽しめるようにしたい、と前向きに考えているといいます。

上山選手は、昨年の世界選手権で東京2020大会への出場が内定していましたが、この内定資格が維持されることが日本身体障害者アーチェリー連盟から発表されています。

「内定が取り消されてしまうと今までやってきた準備にもかなり支障が出るので、とりあえず良かったなと思っています。『(東京パラリンピックでは)満員の会場で金メダルを獲得しよう』とがんばってきたその気持ちのまま、あと1年4カ月走り抜けることができるのは、すごく良かったです」

 

そして、競技へのモチベーションも失っていないと頼もしく語ります。

「新型コロナウイルスの問題はありますが、2021年の東京パラリンピックに向けてがんばっていかなければいけない、パラリンピックを成功させる、その目標自体はブレていないので、モチベーションの維持はしっかりできます。僕を応援してくれている人たちがいっぱいいるので、その人たちが最後に、応援して良かったと思えるくらいの大会にしなければいけないという気持ちが今も全然ブレずにあるので、モチベーションはかなり高いです」

その応援してくれている方たち、そして、切磋琢磨するアスリート仲間に向けて、メッセージをいただきました。

「今は大変な状況ですが、パラリンピックを成功させるためにしっかりと準備を進めていきますので、引き続き、応援をよろしくお願いします!この環境に打ち勝つために一緒にがんばっていきましょう!」

 

次回も、上山友裕選手にご出演いただきます。どうぞ、お楽しみに!

 

上山友裕選手のリクエスト曲:君さえいれば / DEEN

大学生の時からよく聴いているというDEENの曲の中でもとくに好きだというこの曲。現在も試合の前に聴いている曲のひとつに入っているそうです。