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2020年7月10日
車いすテニス・船水梓緒里選手 (1)

7月4日(5日)の放送では、車いすテニスの船水梓緒里(ふなみず・しおり)選手と電話をつないでお話を伺いました。

 

前回のご出演は2年前。

当時は高校3年生でしたが、その後、筑波大学に進学し2年生になりました。

道徳や英語といった教職科目やコーチング学、トレーニング学、スポーツ医学、スポーツ産業学…などスポーツに関する学科のほか実技の授業もあるそうですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、実技以外はオンライン授業を行っているそうです。

ただ、大学での授業時よりも課題が増えているため、どうしても課題が溜まりがちで「早く大学に行きたいです!」と切実に語っていました(笑)

「大学に入ったからにはスポーツに関するいろいろな知識を身につけて、引退後に生かせるようにしたい」と文武両道を目指しています。

また、大学は環境がとても良く、先生方や周りの同級生、そして先輩方も、車いすの船水選手をサポートしてくれて、困ったことがあれば改善してくれるといいます。

トレーニングルームでは車いすを置くスペースを用意してくれたりと、不便さを感じることなく大学生活を送っているようです。

 

新型コロナウイルスが今なお猛威を振るうなか、障がいの関係で内部疾患もある船水選手は、体調管理には人一倍気を配っています。

朝起きたら毎日体温を計り、体温変化で熱が出ていないか、自分の体調に変化がないかをチェックして、水分量なども気にしながら、外出する際にはマスクや手洗い、消毒を徹底しているそうです。

 

競技においては、大会の見通しも全く立っていないため、そこに対する不安はあるといいます。

これまでコーチと話し合いながら、2020年のパラリンピックに出るために(出場する)大会を計画したり、勝つための戦術も考えてきたので、東京2020パラリンピックの1年延期が決まったときには、「最初は残念な気持ちが一番強かった」と率直に語ります。

その気持ちを切り替えてくれたのが、「いい練習期間ができた」というコーチの一言。

パラリンピックに向け世界を飛び回り大会を連戦する日々が続いていましたが、(大会がなくなり時間ができたことで)トレーニングを積むことができ、さらに上を目指せるチャンス、さらにレベルアップした姿を見せられるいい機会ができたと言われたことで、ポジティブに捉えられるようになりました。

「パラリンピックに向けた目標は変わらないので、地道な練習を続けていこう」

今はそんな強い気持ちで、来年に向けて準備をしています。

 

船水選手は、東京2020パラリンピックまでの目標を1年ごとに定めた「5か年計画」を自ら作成して、これまで着実に成長を遂げてきました。

昨年1年間をその計画と照らし合わせると、国内の大会にはあまり出場しなかったため国内ランキングは判断できないものの、ITF2カテゴリーの大会でシングルス準優勝、ダブルス優勝という目標を達成しました(計画ではITF1,2の大会でベスト8以上)。

世界ランキングとしては、目標が20位以内でしたが、昨年末時点で24位。

目標に一歩届かずという結果でしたが、年明けに20位まで上がったので「まあまあ」という自己評価です。

2020年の計画は、世界ランキング15位になって、東京パラリンピックの日本代表になること(計画を立てた当時)。

1年後のパラリンピックを目指して頑張りたい、と意気込みを語りました。

 

この計画書で船水選手がとくに意識しているのは「ウェポン(武器)」。

今年、自分の武器として身につけたいのが“強靭なメンタル世界一”ということですが・・・

「まだまだ課題ばかり、全然その目標に近づけていません。自分ができていないところに意識が向いてしまって、気になってしまうことが多々あります。できている部分、試合で良かった部分を自分で評価して、ポジティブに見られるようにしなければと思っています」

 

現在はメンタルの強化にも取り組んでおり、例えば、ネガティブな姿勢が練習中に見られると、一回練習を中断して「今どんな気持ちになっているの?」とコーチに聞かれたり、自分と向き合う時間を作ったりしながら、トレーニングを進めているそうです。

競技だけではなく大学生活でも、課題が溜まってしまうと「(課題がまだ)あと何個ある…」ではなく「何個できたからあともう少し!」というように考えるようにしているということです。

 

笑顔が印象的で、今回もハキハキと話してくれた船水選手。

来週もお話を伺います!

 

船水梓緒里選手のリクエスト曲:Shine  /   家入レオ

昨年、船水選手が所属する筑波大学硬式庭球部女子部が日本一になり、その様子がテレビで放送された時に流れていたというこの曲。今ではすごく思い入れのある曲となり、とても好きな曲だということです。

2020年7月3日
元ラグビー日本代表・廣瀬俊朗さん (2)

6月27日(28日)の放送では、前回に引き続き、元ラグビー日本代表の廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)さんと電話をつないでお話を伺いました。

 

現在「車いすラグビーアンバサダー」を務める廣瀬さん。あることがきっかけとなり、その魅力に引き込まれたといます。

数年前、車いすラグビー選手兼指導者として活躍する三阪洋行(みさか・ひろゆき)さんに声をかけられイベントに出演した廣瀬さんは、そのイベントで車いすラグビー日本代表のエース・池崎大輔(いけざき・だいすけ)選手の強烈なタックルを受けます。

ラグビーでは日本代表にまで上り詰めた廣瀬さんであっても、車いす同士がぶつかるタックルの衝撃には驚いたといい、それを「面白い!」と感じた瞬間、一気にハマったそうです。

今でも「タックルの前の『やったるぞー!』みたいな池崎選手の嬉しそうな顔が忘れられない」と話し、同じく日本代表のベテラン・島川慎一(しまかわ・しんいち)選手も本気のタックルをしてくるので「あの人たちには気が抜けない」と親しみを込めてこれまでの体験談を語りました。

 

これには、同じく池崎選手の激しいタックルを受けたことがある鈴木亮平さんも共感。

「車いすに乗っているので痛みはないですけど、ガツンっていう音とGがかかる感じの衝撃がすごかったですね」と思い返していました。

試合形式の練習も経験した二人は、「ボールに集中すると車いすが漕げなくて全然うまくいかなかった」「ディフェンスの選手が巧妙で、違うところを見ている隙にすっと近寄ってきてポジショニングされるとどうしようもなかった」などと話に花を咲かせていました。

 

大会や日本代表合宿にも数多く足を運んでいる廣瀬さんに、車いすラグビー観戦の楽しみ方を伺いました。

「一つはタックルの部分だと思いますし、二つ目は攻守がどんどん入れ替わってスピーディーに展開が繰り広げられるのが面白いですね。そして、選手一人ひとりの役割が違うので、少し詳しくなってくると、そういうところに注目してみるのも面白いと思います。ボールを持っていない選手、例えば、障がいの重い(ローポインターと呼ばれる)選手が先々を見てどうやって相手を止めに行っているか、みたいなことを見てみると面白いんじゃないかなと。初めて観ても楽しめるスポーツだと思います!」

 

そして、東京2020パラリンピックでは金メダル獲得を狙う車いすラグビー日本代表にも大きな期待を寄せています。

「日本代表キャプテンの池透暢(いけ・ゆきのぶ)選手と池崎選手、“池・池コンビ”の2トップは世界トップレベルの素晴らしい選手なので、日本代表の強みです。そして、運動量だとかチームとして動くというところは日本のすごいところだと思います。個々のパワーやスピードは海外の選手もあったりしますが、全体としてまとまっているというところは日本代表の強みではないかなと思いますね。あとは、これからもっと強くなっていくためには選手層を厚くすることだとケビン・オアーHCも言っています。高校生の橋本勝也(はしもと・かつや)選手といった若い選手も台頭してきていますが、大会が延期した1年間でそういう選手の厚みが出てくると、最後の最後、決勝戦のみんなが疲れている時にいいメンバーで入れる、というようなことができるので、そういうところも大事になってくると思っています」

 

ご自身も長年「日本代表」としてプレーした経験を持つ廣瀬さん。

クラブチームの一員として試合をするのも大好きだったと話しますが、日本代表の試合は特別だと振り返ります。

「日本の皆さんに喜んでいただけるという思いがありましたし、日本のラガーマンの代表だと思うとやはり込み上げてくるものは違いました。僕は日本代表として28回試合に出させてもらいましたが、本当に毎回幸せだと思いながら試合をしていました」

 

なかでも印象に残っていると言うのは、2013年6月に東京・秩父宮ラグビー場で行われたウェールズ代表との試合。

今まで一度も勝てなかった強豪国のウェールズに初めて日本が勝ち、日本ラグビーが変わってきたことを見せることができたと誇らしく語ります。

この勝利は日本代表に自信を与え、2015年のラグビーW杯で南アフリカに対して歴史的な勝利を収めることにつながり、さらにそれが、昨年のW杯日本大会での大躍進へとつながったと話しました。

 

日本を代表するアスリートが躍動する来年の東京2020オリンピック・パラリンピック。

東京2020大会に向けて頑張るアスリートたちにエールを送りました。

「皆さん、大変な状況だと思いますが、皆さんが来年に素晴らしいパフォーマンスをされることを僕たちはめちゃくちゃ楽しみにしています。どんな結果になるにせよ僕たちは応援します。皆さんの態度や姿勢に僕らは共感するので、とにかく応援しています!」

 

最後に、上をめざして進もうとする方に伝えたい“Going Upな一言”を伺いました。

『自利利他』

人のためにやっていることが自分のためになる、人にとって利益になることをやって自分も成長する。そういうことをたくさんやっていきたいという思いがあり、大事にしている言葉だということです。

 

廣瀬俊朗さんのリクエスト曲:Viva La Vida / Coldplay

2015年のラグビーW杯、試合に臨む日本代表に見せた映像で使われていた思い出の一曲。

2020年6月24日
元ラグビー日本代表・廣瀬俊朗さん (1)

6月20日(21日)の放送では、元ラグビー日本代表・廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)さんと電話をつないでお話を伺いました。

 

最近では、ラグビーを題材にしたドラマ「ノーサイド・ゲーム」の浜畑役が話題を呼んだ廣瀬さん。

5歳からラグビーを始め、学生時代、社会人、日本代表と各カテゴリーでキャプテンを務め、日本のラグビーシーンを牽引してきました。

2016年に現役を引退してからは、MBA(経営学修士)を取得するなどセカンドキャリアを構築。

現在は、ラグビーをはじめとするスポーツの普及と発展のため様々なプロジェクトを展開されています。

新型コロナウイルスの感染拡大はスポーツ界にも大きな影響を与えていますが、競技特性上、コンタクトスポーツであるラグビーにおいては、慎重にならざるを得ない状況があるといいます。

再開に向けて、密集や接触を伴うようなプレーでどれほどリスクがあるのかというリサーチも進められており、一部ではスクラムをしないラグビーを考えようかといった代替案も出たようです。

 

そんな中、廣瀬さんと車いすラグビーの三阪洋行さん(現・車いすラグビー日本代表アシスタントコーチ)の呼びかけにより、「Power of Sports~乗り越えよう、スポーツの力で~」という動画プロジェクトが立ち上げられました。

競技の垣根を越え様々なアスリートたちが、新型コロナウイルスの感染拡大によってもたらされたこの困難に負けないという強い思いや、“スポーツの力”で乗り越えようというメッセージを発信しています。これまでGoing Upに出演したアスリートの方々もたくさん参加しています。

三阪さんとは同い年でお互い大阪でラグビーをやっていたという共通点もあり、いろいろとお仕事を一緒にしていくなかで親しくなったといいます。

スポーツ界にも多大なる影響が及んでいる状況で、何か今できることはないかと話し合い、すぐに企画が動き出しました。

発起人である廣瀬さんは、パラアスリートと健常者のアスリートが一緒になって力強いメッセージを届けるこのプロジェクトに手応えを感じています。

「こういう、競技の枠の越え方は今までなかったので、すごくいいなと思っています。どんどん動画がシリーズ化されていくなかで、僕自身も今まであまり知らなかったアスリートのことを知るきっかけになっていますし、みんなポジティブなメッセージを出していますね」

 

“スポーツの力”といえば、思い出されるのが昨年のラグビーワールドカップ(W杯)です。

ONE TEAMの合言葉のもと日本中が熱狂に包まれ、日本代表の躍進やスタジアムの熱気だけではなく、ラグビーを通じた国際交流や日本のおもてなしも大きな話題となりました。

大会公式アンバサダーを務めた廣瀬さんは、「僕らラグビーで育ってきた人間としては日本でW杯が開催されるのは夢のようなことで、しかもその中で日本代表が活躍して、日本の皆さんにラグビーのみならずスポーツの素晴らしさを体感して頂けたので本当に感無量でした」と振り返りました。

そして、この盛り上がりをブームで終わらせないよう、競技の発展と普及のため力を注いでいます。

「大きな枠としてはラグビーをビジネスにするというところからです。ラグビーの競技特性上、試合数の問題や企業スポーツの流れもあるのでそう簡単ではないと思いますが、その方向にきちんと設計できることが大事だと思っています。また、普及という意味では、子どもたちが減っていく中で、ラグビーだけが(子どもたちを)取るみたいなことはよくないと思うので、ラグビーもやるしサッカーもやる、バスケットや柔道もやる、というように、いろいろなスポーツができる環境が作れたらいいなと考えています」

 

最後に、来年の東京2020オリンピック・パラリンピックに期待することを伺いました。

「オリンピックとパラリンピックではいろいろな競技が見られるので、こんなスポーツもあるんだと知れるのが面白いと思います。そしてもう一つは、大会が1年延期された中で選手もいろいろな葛藤があると思いますが、(大会本番では)プレーできる喜びを表現してくれると思うので、今までにないスポーツのイベントになるのではないかと楽しみにしています」

 

次回も引き続き、廣瀬俊朗さんにお話を伺います。どうぞ、お楽しみに!

 

廣瀬俊朗さんのリクエスト曲:涙そうそう/ ケアリイ・レイシェル

休みの日に「リラックスしたいな」とか「今日もがんばったな」いう時によく聴いている一曲だということです。