しゃベルシネマ

デジタルネイティブ世代は、地球の裏側の相手に恋をする『きみへの距離、1万キロ』

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第389回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、4月7日公開の『きみへの距離、1万キロ』を掘り起こします。


ロボットがつなぐ運命の出会い、ピュアすぎるラブストーリー


デジタル機器やインターネットの普及によって、人との出会い方やコミュニケーションの方法が多種多様となった現代。いつでも何処でも誰とでもつながることが出来る日常が当たり前となっている“デジタルネイティブ”世代に向けた、新感覚なラブストーリーが誕生しました。

第74回ヴェネツィア国際映画祭においてヴェネツィア・デイズ部門フェデオラ賞を受賞し、批評家たちから大絶賛を受けた『きみへの距離、1万キロ』。ロボットがつなぐ運命の出会いをプラトニックに描き出します。


北アフリカの砂漠地帯にある石油パイプライン。地面には6本足のクモ型ロボットが動き回り、24時間、石油泥棒の監視をしている。

そこから遥か1万キロ離れたアメリカ・デトロイトでロボットのオペレーターをしているゴードンは、恋人と別れたばかり。“運命の人”と思い込んでいた彼女との破局に深く傷つき、誰も信じられず、次の恋にも進めずにいた。

ある日、ゴードンは監視ロボットを通じて若く美しい女性アユーシャと出会う。彼女には恋人がいるが、親からは別の男性との結婚を強要されていた。なんとかアユーシャを助けたいと思ったゴードンは、思わぬ行動に出る…。


地球の反対側で暮らしながらロボットを介して出会い、直接会うことも触れ合うこともないまま運命に導かれていく…という、これまでの映画にはない斬新なアイデアが光る本作。一度は絶望した人生に希望の光を見出そうとする男と、命の危険を冒してまでも自らの人生を切り開こうとする女性。それぞれの“願い”が交錯するストーリーは、ピュアすぎるぐらいピュアで、情感豊かに紡がれています。

しかもラブストーリーに乗せて、テクノロジーの持つ無限の可能性を伝えると同時に、どんなにテクノロジー化が進もうとも人が決して失ってはいけない心の優しさや、触れ合うことでしか得られない温もりの大切さに改めて気付かせてくれる…というのも、心憎い限りです。


さて、本作の“もうひとりの主役”とも呼べるのが、クモ型ロボット。
『スター・ウォーズ』シリーズに登場するBB-8を彷彿させるような愛らしさが印象的なロボットです。
大きなレンズの瞳がチャームポイントで、6本の足を巧みに使って歩く姿は愛嬌たっぷり。
多国語でおしゃべり出来たり、老若男女あらゆるタイプの声色を使い分けたりと“話し上手”な一面も。
しかし一度、怒り出したら相手を威嚇発砲。
“パイプラインを石油泥棒から守る”という任務には忠実な、頼りになる存在なのです。
このロボットが地球の反対側で暮らす男女をどう“つないで”いくかにも、注目ですよ。


きみへの距離、1万キロ
2018年4月7日から新宿シネマカリテほか全国順次公開
監督・脚本:キム・グエン
出演:ジョー・コール、リナ・エル=アラビ、フェイサル・ジグラット、ムハンマド・サヒー、ハーティム・スィディキー、マンスール・バドリ ほか
©Productions Item 7-II Inc. 2017
公式サイト http://kimikyori.ayapro.ne.jp/

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