日常の豊かさが次の現場の熱量になっていく

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3月22日放送  ゲスト:映画監督・演出家 和泉聖治 第4回

日常の豊かさが次の現場の熱量になっていく

テレビ朝日で3月放送のアガサ・クリスティ 二夜連続ドラマスペシャル、『大女優殺人事件~鏡は横にひび割れて』で監督を務める。前作『そして誰もいなくなった』に続く、アガサ・クリスティ作品!


映画監督のオフの過ごし方~三線を弾く

黒木)毎日、さまざまなジャンルのプロフェッショナルにお話を伺っていくあさナビ、ゲストは、映画監督・演出家の、和泉聖治さんです。
45年間ずっとお忙しくしていらしたと思いますが、仕事のないときは何をしているのですか?

和泉)湘南の近くに住んでいるのですが、昔から海が好きなので、車で江ノ島に行ったり。あと、沖縄の楽器で「三線(さんしん)」というのがありますが、時間があるときにやっています。海を見るとすぐに弾きたくなるくらい、三線と海が僕の中でマッチしています。
「相棒」の映画を沖縄で撮ったときに、まったくやることがなくて。「そう言えば空港でおみやげに買った三線があるな」と弾き始めて、それからハマりました。

黒木)難しいですか?

和泉)最初だけちょっと教えてもらいましたが、すぐに弾けるようになりましたね。

黒木)そういうものですか?

和泉)いや、どうでしょう。1週間くらいずっと、時間があれば弾いてましたから。10曲くらい弾けるようになりました。いまは自分で工工四(クンクンシー)という譜面のようなものを書いて作曲したり、「三線じゃ弾かないだろう」という曲、マイ・ウェイとかにチャレンジしたりしています。

黒木)意外ですけれど、ギターをやっていたわけではないですよね?

和泉)いえまったく。楽器は初めてでした。

黒木)「楽器」が初めて。

和泉)この間も黒木さんと一緒にやった現場で、空き時間があるときに「やろうかな」と思ったのですが、黒木さんに怒られそうだったのでやめました(笑)。

黒木)どうして怒るんですか! 聴きたかったです(笑)

和泉)「そんなに余裕を持っていいんですか?」って言われるような気がして……

黒木)いえいえ、ぜんぜん。余裕のある監督の方がいいじゃないですか!

和泉)じゃあ、今度またお会いすることがあれば。普段、車に2本積んでるんですよ。部屋にも7、8本あるかな。

黒木)そんなに必要ですか?

和泉)沖縄に行くたびに買ってしまうので……それぞれ、音がちょっと違うんですよ。フィットするのがあれば「これいいな、自分に合うな!」と。


喫茶店で行う人物観察

黒木)普段生活の中で、「これは作品になる」とか「こういう場面は映像にしよう」とか、仕事に結びつけたりする部分はあるのですか?

和泉)ある方かな。ひどいときは半日喫茶店にいることもありますが、人を観察するというか、見るのが好きなんですよ。いろいろな方がいらっしゃいますよね。「ちょっと人生を覗いてみたいな」と。「こんなことをされて、いまのあの人がいるんだな」とか、勝手に自分で探っちゃうクセがあります。ときどきふと目が合うと、どんな顔で見ているのか知りませんが、スゴくビックリして、恐がられますね。

黒木)観察してるのですものね(笑)。でも「その人はどんな人生を?」というのを想像するのは、映画作りのうえでも役立ちそうですね。

和泉)そうですよね。原作付きもオリジナル作品もありますが、人物を掘り起こしていかないといけないじゃないですか。そういうとき、履歴も何も書いていないので、自分である程度作り上げて人物が見えてこないと、ほとんど俳優さんの力に頼ることになってしまいますからね。


次の現場に向け、日常生活でするべきこととは?

黒木)映画監督の醍醐味というか、一言はいえないでしょうけど、何でしょうか?

和泉)デビューしてから200本くらいテレビや映画を撮っていますが、ほとんど映画漬けの日々です。時間が空いたときの自分のモチベーションをどうしていないといけないのかな、と困ったりすることがあるのですが、最近こっちの方を充実していないと次の現場に入れない、という気持ちになってきましたね。

黒木)変わってこられたのですね。「好き」だけでやっていただけでなく、日常の豊かさが次の現場への熱量になっていく、ということでしょうか?

和泉)まさにその通りだと思います。よく仰ってくれました。

黒木)監督に褒められるとうれしいです。

(2018年3月22日放送分より)

日常の豊かさが次の現場の熱量になっていく

和泉聖治/映画監督 
1946年9月25日、神奈川県横須賀市出身。
父は彫刻家・劇作家・舞台演出家、元俳優で映画監督の木俣堯喬(あきたか)。
1972年に成人映画『赤い空洞』で監督デビュー。
1982年、36歳の時に『オン・ザ・ロード』で一般映画デビュー。
『さらば愛しのヤクザ』『南へ走れ、海の道を!』『お日柄もよくご愁傷様』など、数々の映画・ドラマの監督を務め、2000年からはテレビ映画『相棒』シリーズのメイン監督を務めるなど、監督・演出として幅広く活躍。
テレビ朝日で3月放送のアガサ・クリスティ 二夜連続ドラマスペシャル、『大女優殺人事件~鏡は横にひび割れて』で監督を務める。前作『そして誰もいなくなった』に続く、アガサ・クリスティ作品!

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