リニア談合事件~談合は必要悪だった!?

By -  公開:  更新:

3/5(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ③

東京地検特捜部の発想自体が古いのではないか
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

大成建設の元常務と鹿島建設の元部長が独占禁止法違反で逮捕

リニア中央新幹線の工事をめぐる談合事件で東京地検特捜部は大成建設の元常務と鹿島の部長を独占禁止法違反の疑いで逮捕した。国の巨額投資が投入された国家プロジェクトを舞台にした疑惑は受注者側の刑事責任が追及される事態に発展した。

大成建設、鹿島、大林組、清水建設の大手ゼネコン4社がターミナル駅の新設工事で不正な受注調整をしていた疑いがあるというもの。今回逮捕されたのは、大成建設の元常務の大川孝容疑者(67)と鹿島の元部長大沢一郎容疑者(60)の二人です。JR東海が発注する品川駅と名古屋駅の工事に関して、受注予定業者を決めたり、あるいは落札できる価格で見積もりしたりすることを合意したというのが直接の容疑です。二人の内、大成建設の元常務の大川容疑者ですが、土木技術に詳しくてリニア新幹線事業には並々ならぬ意欲があり、周囲では教授という異名をとるなど信頼が厚かったということです。大川容疑者は特捜部の調べに対し、「他のゼネコンと受注調整できる環境ではなかった」と容疑を否認しているということです。

一方、鹿島の大沢容疑者ですが、大川容疑者から情報を得る為、何度も食事の席を設けていたと見られます。大沢容疑者の上司はライバル会社と協議したこと自体、コンプライアンス違反だとしていますが、情報を集めていただけで、受注を調整する立場では無かったとも指摘しています。何よりも今回の特徴ですけれども、逮捕された二人は談合を否定しております。

大林組、清水建設の担当者は受注調整を認めておりまして、特捜部はこの大林組、清水建設の両社の元幹部は在宅起訴する方針を固めています。つまり否定した側は逮捕、認めた側は在宅起訴と対応が分かれる結果になりました。このような対応でゼネコン関係者からは自白を強要しているように思えるという批判の声も上がっています。

高嶋)地検特捜部が動いたら、泣く子も黙るで、ひれ伏すかと思いきや、反抗してきたゼネコンがいるってんで、我々もちょっと驚きました。

須田)泣く子も黙る特捜部というのは、かつての栄光なんですよ。かつて、言ってみれば報告書だとか長所のでっち上げと言ったらいいんですかね、嘘を書いてしまったということで大スキャンダルになりまして、大阪・東京両地検特捜部は開店休業状態に長らく置かれていたのです。

高嶋)これという手柄がなかった。

須田)その復活第一号案件に位置付けられたのが、このリニア新幹線談合事件なのです。ですから絶対に失敗は許されない事件だった。そういった中で本来だったら東京地検特捜部が動いたならば、ゼネコン4社は皆ひれ伏すと思ったのだけれど、2社逆らったから失敗できない、その焦りが逮捕というところにも繋がっていったんじゃないかなと思いますね。

工期通りに全部できるのはゼネコン4社のみ

高嶋)一般的に言われるのが、私もその技術的なことはわかりませんが、これだけの巨大国家プロジェクトで、日にちがけっこう区切られている。そういう中で技術を以ってこの工事できる会社も限られているだろうと。

須田)ハッキリ言ってこのゼネコン4社しかないです。

高嶋)だからそれが談合と言われても、そこで手柄を上げて一体どうする気なんだよという、そんな意見ありますよね。

須田)加えて、人手も不足している、機材も不足しているという中で、工期通り全部やるよいうのは、やっぱり一定程度の受注調整は必要悪だったんじゃないかなと思いますよ。

高嶋)必要悪か。

須田)じゃあそれを一般競争入札やってしまって工期間に合いませんでしたじゃ、これ先ほど高嶋さんが言われた国家プロジェクトとしては失格ですからね。あまりこういうことは新聞記者とか担当の記者とかは言いませんが、東京地検特捜部の発想自体が古いのではないかなと。かつてだったらそれは問題があったかもしれないけれども、今日のその業界の状況であるとか、社会情勢を踏まえて考えてみると、そこにメスを入れることが果たして社会責任にそぐうことかどうなのかというところが甚だ疑問ですけれどね。

高嶋)なるほどね。それでもし、この4社じゃなくて、サブコンとかが値を付けて落ちたとしますよ。それで、できませんなんてことになってしまったらまた大変なことになるわけですよね。

須田)そうですね。ですからその点を考えると、この事件の持つ本質の意味というのはどこにあったのかなと。加えて、普通、談合というと天の声が下ってきて今回はどこが受注しろと、それで、次はどこだ、次はどこだ、そういうようなことが談合なんだろうと。普通考えてね。

高嶋)原則的にはね。

須田)ただ今回の場合は4社均等なんですよ。受注が。

高嶋)たらい回しで儲け先を変えていくのが、皆で話し合った談合で、今度はもう均等で、俺たち力を合わせてやらなきゃできやしないからみたいな、そういう側面だってあるのだよと。地検特捜部としてはどのように結論付けるのでしょうかね。

失敗は許されない東京地検特捜部

須田)失敗は許されませんから、否認している奴を逮捕して、拘置所に入れて、徹底的に締め上げる。とは言っても取調べの可視化という状況もありますから、東京地検特捜部としてはこれからちょっと難しい局面に入ってきたのではないかなと私は思いますけどね。

高嶋)無理にでも談合を認めさせるという。大林とかあっちの方と完全に意見が分かれちゃいましたけれども、こっちは可愛い奴らで。でも全部できないでしょ、大林と清水建設だけじゃ。

須田)ただ逆に言えば、今回の事件捜査が工期、要するに完成に影響を与えないようにやらなきゃならないというこういう十字架も特捜部は背負っていますから。

高嶋)じゃあむしろ焦っているかもしれないですね。

須田)そうですね。私は焦っていると思いますけどね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

Page top