名護市長選挙~基地反対活動に疲れた市民が渡具知氏に投票か

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2/5(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

閉塞感を感じる名護市民
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

渡具知武豊 名護市 市長選

【名護市長選】当選し支援者らと握手する渡具知武豊氏(右)=2018年2月4日午後、沖縄県名護市 写真提供:産経新聞社

新名護市長は自公維新が推薦していた渡具知武豊氏

アメリカ軍の普天間飛行場の移設問題などが争点となった沖縄県名護市市長選挙は、安倍政権が支援した新人の渡具知武豊さんが、現職の稲嶺進さんを破り、初当選した。辺野古への移設反対を訴えた稲嶺さんの敗北で、移設への動きが加速することが予測される。

報道各社の出口調査では、渡具知さんと稲嶺さんはほぼ横一線と情報が入ってきていました。ただ、結果は渡具知さんが2万389票。稲嶺さんが1万6,931票で、およそ3,500票の差がついています。投票率は76.92%で、前回よりも0.21ポイント上回りました。

渡具知さんは、自民党、公明党、日本維新の会各党の推薦を受けました。普天間飛行場の辺野古への移設を推進する安倍政権の支援を受け、選挙戦では小泉進次郎筆頭副幹事長も現地入りをしていました。「教育と医療の充実」を訴えた渡具知さんですが、当選を受けて、勝利の弁です。

渡具知候補)(勝因は)2期8年の市民の閉塞感ですね。これからの名護の経済振興、あるいは子育て世代に対する支援ですね。そういったものが、全体的に支持されたもの。

辺野古への移設については、渡具知さんは「国と県の裁判の結果が出た段階で判断する」というような発言で留めています。一方、一貫して移設反対を訴えていた稲嶺さんの敗戦の弁です。

稲嶺候補)平和、安定、安全、安心あっての経済である。教育であると訴えたのですけれども、争点をはぐらかされてしまった。

基地問題を争点にしなかった点と、経済振興を市民が選んだのが勝因

畑中デスク)今回の選挙について、ラジオ沖縄の小磯誠報道部長に聞きます。小磯さん、出口調査では横一線という情報でしたが、3,500票という差が付きましたね。

小磯報道部長)ある意味で驚きの部分もありますが、本音ではやはり、基地建設が着々と進む中、地元の名護市民が経済振興を選んだ結果に繋がったのではないか、という感じはします。

畑中)実際、経済振興ということですが、名護市の経済は厳しい状態だったのでしょうか?

小磯)そうですね。名護市民の中には、このところ閉塞感を感じている。雇用面や教育面、医療面など、様々な面で感じている方が多かった点もあると思います。
それから今回の当選の要因というのは、何よりも「基地を争点にしなかった」辺りが大きかったということ。それから、自民や公明が推薦。維新の会も支持ということで、自・公・維新の体制がしっかり確立されたということも大きかったかもしれません。中央政界の流れが沖縄にも来たのかな、と。

畑中)前回の選挙では、公明党は自主投票だったのを、今回は立場をハッキリさせた。この辺りも1つ、結果として作用したと見てよろしいでしょうか。

小磯)そうですね。中にはやはり基地反対の根強い考えが女性中心にあるのですが、この辺りを、しっかりと……1部の調査では9割くらい固めているということもありますから、自・公という流れが、県内でもしっかり根付いてきたということ。この辺りも大きかったということが、言えるかと思います。

反基地運動に着かれ、将来が開けないと考えた人が投票した

高嶋)小磯さん、名護市民の方は、基地に対しては選挙で争点隠しみたいに触れないようにしているのは百も承知の話ですよね? 本音のところでは、今度は経済的なことを訴えた人が市長になりましたが、その後のことで、基地問題はどうなっていくと思いますか?

小磯)国としてはやはり、「地元の信任を得た」という形で……去年の4月に護岸工事に着手しているわけですから、着々と進んでいることが予想されると思います。地元の名護市長もいくつか権限を持っているのですが、渡具知さんはおそらく「容認に転じる」と言われていますので、名護市長の権限はおそらく使われない。
県の移設阻止の策や権限は何があるかというと、やはり手詰まり感があるのは事実です。なので今後の流れとして、秋の県知事選挙に向け、翁長知事の進退を中心とした動きが考えられます。県民投票とかそういったことも1部言われているのですが……

高嶋)期日前投票が何故こんなに多かったのでしょうか?

小磯)やはり期日前投票は、渡具知さんの方が多かったのではないかと予想されています。実は名護市民の7割近い方が「基地はいらない」という考えを持っているのです。その中で選んだのはやはり経済振興。つまり、容認に転ずるであろう渡具知さんが当選したということは、完全な信任をしたということではなく、これまでも容認派の名護市長が当選している中では、国と話し合って、たとえば「沖合に少し出すとか、埠頭をどうするか」とか、いろいろな話をしているわけですから。今度は渡具知さんがその辺りをどのようにするのか。最近のアメリカ軍機のトラブルがある中で、話し合いを進めていけるかが、焦点になってくると思います。

高嶋)すべてにわたって二律背反のジレンマみたいなのがあって。だけど、とりあえず生活を取ったということでしょうか。

小磯)そうですね。あと、若い方も渡具知さんに入れたと思います。そろそろ終止符を打ちたいという思いがあったかもしれませんね。

高嶋)須田さん、何か一言お願いします。

須田)名護市が位置する沖縄本島北部というのは、やはり経済的には恵まれていない、立ち後れた地域なのです。そのことを踏まえ、やはり反基地運動だけでは将来の展望が開けない。ようするに、反基地活動に疲れた人が、今回渡具知さんに投票したのだと思います。

高嶋)期日前投票には、やはり組織的な動きもあったのでしょうね。

畑中)そうでしょうね。結果的には投票率が前回より上回りましたので。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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