TPP~米が復帰することのメリットとデメリット

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1/29(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!④

有利な条件で再交渉を行う考え
7:18~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

アメリカがTPPへの復帰の意向を表明

アメリカのトランプ大統領が、世界経済フォーラムの年次総会。いわゆる「ダボス会議」で、条件付でTPP(環太平洋連携協定)への復帰を検討する意向を表明した。また、中国を念頭に、不公正な貿易は黙認しないと表明している。

アメリカの大統領がダボス会議で演説するのは、2000年のクリントン氏以来18年ぶりですが、まず「すべての国の利益になるのならTPPに参加する国と多国間で交渉することも検討する」と述べました。アメリカに有利な条件を引き出した上での再交渉を迫る考えのようですが、これについて日本政府の茂木経済財政担当大臣は、「アメリカがTPPの意義を認めたことは歓迎したい」と述べました。ただ、現時点では日本政府は受け入れられない方針です。アメリカの復帰は念願ではあるのですが、既に固まった状態で戻ることを想定していますから、いずれにしても、「ちゃぶ台返し」という印象になりかねないので、復帰のハードルは依然高いと言えます。

パリ協定の話もありましたし、トランプ大統領の真意が測りかねるところではあります。

トランプ大統領は愚直に公約を実現しようとした結果のこと

高嶋)信用しかねる。とにかく、いままでの経過を辿ってもそう思うわけですが、こういうのを言い出したのを、どう思いますか?

須田)トランプ大統領のこれまでの行動を見ていると、僕は「愚直に大統領選挙の公約を実行しているのでは」と思います。減税についてもそうだし、TPP脱退というのも思いつきではなく、そもそも選挙公約だったのですよ。そうした点で言うと、いったん選挙公約を実行して、その後の状況変化によって対応を変えようとしているのではないかな、と思います。

高嶋)決して気まぐれでは無い、ということですか?

須田)ただ、アメリカ国内の事情はそうかも知れないけれど、諸外国から見ると、そもそもTPPというのはアメリカ主導でやって、しかも狙いは、明言していないけど対中国包囲網だったはずでしょう? その一方で、ダボス会議で「中国の不公正な貿易は認めない」と言っている。「なら、どうしてTPPを脱退したのか」という矛盾、不快感は強く感じていると思います。

高嶋)でも、またアメリカが納得できる条件にするには相当の長い時間がかかりますよね。

須田)ですからアメリカを除いたTPP11でとりあえず立ち上がって走り出して、そこに、あとから入ってくるということになるのではないでしょうか。

アメリカは高いGDPを交渉材料に有利な条件を引き出そうとしている

高嶋)この間やっとカナダもオーケーして、3月にサインすることになって。その話が出た直後に大統領がこんな事を言いだした。

須田)そのスケジュールを遅らせてまで、アメリカを入れることはしないと思います。ようするに、一旦走り出して調印が終わり、そこからアメリカが後発として入ってくる。ですから、「アメリカに美味しい思いはさせませんよ」という駆け引きが行われているのだろうな、と。

高嶋)でも規模で言うと、11カ国だとGDPで見ると10数%で。アメリカが加入すると40%を超える……そういう規模から言うと、アメリカを袖にするのももったいない部分もありますね。

須田)もちろんですよ。アメリカに入って貰わないと、TPPは意味がない。そうすると、その辺を盾に、有利な条件を引き出そうとしているのではないかと思います。

高嶋)最初にやっていた、甘利明さん。随分昔な感じがしますね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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